がん研究
がん治療戦略として炎症の標的化が浮上
2022年9月7日
1863年、ドイツの病理学者は、がん組織内の白血球を観察した。白血球は人体の炎症反応の一部で、病原微生物などの侵入微生物に対抗し、かつ、損傷組織を治癒するために活性化される。 この観察に基づいて、病理学者Rudolf Virchow氏は、が
米国がんムーンショット計画:ヒトとイヌの比較腫瘍学
2022年8月15日
米国国立がん研究所(NCI)が制作した動画に、一社)日本癌医療翻訳アソシエイツ(JAMT/ジャムティ)が日本語字幕を付けたものです。 ◆─────────────────◆ ペンシルバニア大学獣医学部のNicola Mason博士が、P
がんを感染症に見せかけることで、免疫系の腫瘍排除を促進
2022年8月15日
免疫系はがんに対して強力な打撃を浴びせることができるとはいえ、多くの腫瘍は免疫細胞の働きを失わせたり、妨害したりする手段を見出している。しかし、NCIの研究者らは、がんをウイルス感染症に見せかけることで、免疫細胞を優位に立たせることを可能に
免疫チェックポイント阻害薬による皮膚障害は微生物が原因か
2022年8月1日
免疫チェックポイント阻害薬は免疫療法の一種で、多くのがんの治療を一変させた。しかし、多くの患者にとってこれらの薬剤は、かゆみや痛みを伴う皮膚の発疹など、さまざまな副作用を引き起こす可能性がある。時には、重度の皮膚障害により、投薬を中止するこ
NCI研究室ツアー
2022年3月14日
米国国立がん研究所(NCI)が制作した動画に、一社)日本癌医療翻訳アソシエイツ(JAMT/ジャムティ)が日本語字幕を付けたものです。 ◆─────────────────◆ 米国国立がん研究所(NCI)がん疫学・遺伝学部門のトランスレー
あなたの微生物叢(マイクロバイオーム)とがん:知っておくべきこと
2021年1月29日
◆ あなたの微生物叢(マイクロバイオーム)とがん:知っておくべきこと 人体には、食べ物の分解から病気との戦いまであらゆることを助けてくれる数多くの有益な細菌が存在しています。微生物叢(びせいぶつそう)と呼ばれるこれらの細菌は、私たちの健康と
ナノ粒子で訓練免疫を誘導してがんを攻撃
2021年1月18日
がん研究者らは、免疫療法(免疫系ががんに対抗するよう促す治療法)について、あらゆる種類の独創的で新たな方法を模索している。その最新方法の1つが、免疫細胞を訓練してがんを攻撃させるナノ粒子である。 人体で発見された物質を主成分とするナノ粒子が
コレステロール低下薬は免疫チェックポイント阻害薬の効果を増強できるか
2021年1月4日
免疫チェックポイント阻害薬は優れた薬であり、一部の進行がん患者において治癒をもたらすこともある。しかしながら、大多数の患者では短期間しか奏効しないか、全く奏効しない。現在研究者らは、コレステロール低下薬が免疫チェックポイント阻害薬の奏効率を
PCSK9阻害薬が免疫チェックポイント阻害薬の効果を高める可能性
2020年11月29日
治療抵抗性の高コレステロール血症を改善するために使用される注射薬には、免疫チェックポイント阻害薬として知られるがん治療薬による免疫反応を高める働きもあるかもしれないという知見が、Duke Healthの研究者らが主導する研究下で実施された動
腸内細菌叢で免疫チェックポイント阻害薬の効果がわかる可能性
2020年8月5日
・腸内に生息する細菌が免疫系と相互作用することが、研究で示されている。 ・本研究は、その相互作用ががん患者の免疫療法への応答に影響を与えるかどうかを調べた。 ・本研究は、免疫療法が患者に有効かどうかが腸内細菌叢からわかる可能性があること
抗がん剤でない薬の大規模スクリーニングで約50種に抗がん効果
2020年2月23日
・約50の、抗がん剤ではない薬が一部のがん細胞株を死滅させた ・これらの非抗がん薬に含まれる化合物が高い抗腫瘍効果を示したことに研究者らは驚いた 糖尿病、炎症、アルコール依存症、犬の関節炎などを治療するためのさまざまな既存の薬に、がん細胞を
PD-1阻害薬が奏効しない理由を解明
2019年12月9日
一部の腫瘍では免疫細胞の浸潤が認められず、したがって新たなPD-1標的治療に反応しない。その理由の解明につながる発見をオハイオ州立大学総合がんセンターのアーサー・G・ジェームズがん病院およびリチャード・J・ソロブ研究所(OSUCCC – J
腫瘍細胞を殺傷し、免疫細胞を支援するように遺伝子改変された二機能性ウイルス
2019年11月5日
がん細胞を殺傷するよう遺伝子改変されたウイルスはすでにある種の皮膚がんの治療に使用されており、他のがんに対する治療法としても広範に検討されている。 最新の研究から、こうした腫瘍溶解性ウイルスは人体の抗腫瘍免疫応答を高めるために、さらに改良で
2019年ノーベル生理学/医学賞、ウィリアム・ケリン氏の低酸素誘導因子(HIF)発見
2019年10月28日
ダナファーバーがん研究所、ハーバード大学医学大学院およびブリガム・アンド・ウイメンズ病院に所属しているウィリアム・ケリン(William G. Kaelin Jr.)医師が2019年ノーベル生理学・医学賞を受賞した。 この賞はノーベル財団に
がん免疫療法を改善、「疲弊した」T細胞の問題を克服する
2019年8月27日
がん免疫療法は、感染細胞や疾患細胞を排除する免疫系の主要因子であるT細胞に腫瘍細胞を攻撃、排除させることに頼っている。しかし、免疫療法には重大な障害物がある。それはT細胞の攻撃力が弱まること、しばしば疲弊化と呼ばれる現象である。 これまでに
T細胞の「幹細胞性」を活用し、がんの免疫療法を強化する
2019年4月18日
米国国立がん研究所(NCI)のがん研究センター(CCR)の研究者らが率いる新しい試験は、がん細胞を殺傷する免疫細胞が存在するにもかかわらず、腫瘍が増殖し続ける道筋を明らかにしている。2019年3月29日付Science誌で発表されたこの知見
プロテオゲノミクス:プレシジョン医療 最前線
2018年11月12日
米国国立がん研究所(NCI)が制作した動画に、一社)日本癌医療翻訳アソシエイツ(JAMT/ジャムティ)が日本語字幕を付けたものです。 ◆─────────────────◆ ゲノミクスとは、生物が持つ全DNA(ゲノムといいます)の
2018年ノーベル医学生理学賞、CTLA-4およびPD-1の発見に
2018年10月16日
免疫チェックポイント療法によりがん治療に大変革がもたらされた 2018年10月1日、カロリンスカ研究所、ノーベル生理学・医学賞選考委員会は2018年ノーベル生理学・医学賞を“負の免疫制御を阻害するというがんの治療法の発見の功績に関し”、Ja
CAR-T細胞シグナル伝達に関する初の解明が同免疫治療の改善を示唆
2018年10月3日
2種類の一般的なCARのデザインが、がんに対するT細胞の有効性にどのように影響を及ぼすかを、シグナル伝達に関する研究論文が報告 CAR-T細胞療法は、免疫細胞をがん細胞と闘うように再プログラムする方法で、他の治療に反応を示さなかった一部の血
高脂肪食や糖尿病薬ががん分子標的薬の奏効率を高める
2018年8月30日
マウスを用いた最近の試験から、PI3K阻害剤と呼ばれるがん分子標的薬に対する治療抵抗性を克服し、有効性を高める2種類の方法が示された。研究者らが示すところでは、PI3K阻害剤に対する抵抗性が、グルコースを調節するホルモンで糖尿病の発現に大き
循環無細胞DNA検査の普及―治療方針決定からがんの早期発見まで
2018年6月18日
血液から採取した血漿/血清中の循環無細胞DNA(cell-free DNA, 以降 cfDNA)の検査により、非侵襲的に腫瘍の遺伝子型を判定して治療方針決定を支援し、将来的には治療効果のモニタリング、再発の予測、がんのスクリーニングができる
内因性オピオイドはモルヒネとは大きく異なる影響を脳細胞に及ぼす
2018年6月8日
合成オピオイド薬の中毒性の解明につながる可能性のある研究 運動によって生じる「ナチュラルハイ」状態の原因と言われるエンドルフィンなどは体内で作られるオピオイド物質である。脳細胞すなわち神経細胞のそれらに対する反応は、モルヒネやヘロイン、およ
米国国立衛生研究所が33種のがんの徹底したゲノム解析を完了
2018年5月7日
NCI(米国国立がん研究所)ニュースリリース 米国国立衛生研究所(NIH)による助成を受けた研究者らは、「PanCancer Atlas(汎がんアトラス)」という詳細なゲノム解析を完了させた。PanCancer Atlasは、33種類のがん
正確なテロメア長検査が治療法の選択に影響
2018年3月30日
ある種の疾患では、正確なテロメア長検査が治療法の決定に影響を与える。 テロメアは染色体DNAの末端を保護するキャップである。テロメアが短いという特徴を持つ疾患があるが、どの程度短いと短すぎるのか? ジョンズホプキンス大学 ジョンズホプキンス