エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブは一部の筋層浸潤性膀胱がんで再発リスクを低減か

エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブは一部の筋層浸潤性膀胱がんで再発リスクを低減か

ASCOの見解(引用)

「筋層浸潤性膀胱がんは治療が難しく、従来の治療法では転移再発の予防に不十分な場合が多い。KEYNOTE B-15試験は、こうした患者に対する新たな治療選択肢と標準治療の確立に向けた画期的な進展を示すものである。試験の対照群には補助療法は含まれていなかったものの、今回の結果は、より厳密に設計された比較試験を実施する説得力のある根拠となる」。
ーWm. Kevin Kelly医師(米国臨床腫瘍学会(ASCO)泌尿生殖器腫瘍学エキスパート、トーマス・ジェファーソン大学 腫瘍内科教授)

焦点シスプラチンベースの化学療法による治療が可能な筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)
対象者シスプラチン投与の対象となるMIBC患者808人
主な結果シスプラチン投与の適応となる筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)患者の場合、手術前後にエンホルツマブ ベドチンとペムブロリズマブを併用投与することで、再発リスクが低減し、現在の標準治療と比較して生存期間が延長する可能性がある。
意義膀胱がんは米国で6番目に多いがんである。膀胱がん患者の約4人に1人は筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)で、治療が難しい場合がある。

筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)患者の約半数はシスプラチンによる治療の対象となる。しかし、標準治療の一環としてシスプラチンを投与した場合、患者の約半数で転移再発が起こる。

現在、進行膀胱がん、およびシスプラチンによる化学療法が適応とならない筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)の治療には、手術前後にエンホルツマブ ベドチンとペムブロリズマブの併用療法が用いられている。本研究では、シスプラチンによる化学療法が適応となるMIBC患者においても、この併用療法で転帰が改善するかどうかを検討した。

第3相KEYNOTE-B15臨床試験の結果、標的療法薬エンホルツマブ ベドチンと免疫療法薬ペムブロリズマブを手術前後に併用投与することで、プラチナ製剤シスプラチンによる化学療法が可能な筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)患者の再発リスクを低減できることが明らかになった。また、現在の標準治療と比較して、生存期間の延長にもつながる可能性がある。この研究結果は、2月26日から28日にサンフランシスコで開催される2026年米国臨床腫瘍学会(ASCO)泌尿生殖器がんシンポジウムで発表される。

試験について

「シスプラチンをベースとした術前化学療法と根治的膀胱全摘除術は、20年以上にわたり筋層浸潤性膀胱がんの標準治療となっています。今回の研究は、プラチナ製剤を用いた化学療法と直接比較して、非プラチナ製剤を用いた治療法で治療成績が向上することを初めて示したものです」と、本研究の筆頭著者であるMatthew Galsky医師(ニューヨーク、マウントサイナイ・ティッシュがんセンター副所長)は述べる。

シスプラチン投与の適応となる筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)患者の場合、標準治療はシスプラチン投与後の根治的膀胱全摘除術および骨盤リンパ節郭清術である。しかし、この治療では約半数の患者が転移再発となる。

本研究には、シスプラチン投与の適応となるMIBC患者808人が参加した。参加者は、リンパ節転移のないT2~T4a期のがん、またはリンパ節転移のあるT1~T4a期のがんのいずれかであった。参加者を、以下の2つの治療群のいずれかに無作為に割り付けた。

  • 405人の参加者は、手術前後にエンホルツマブ ベドチンとペムブロリズマブの投与を受けた。
  • 403人の参加者は、根治的膀胱全摘除術および骨盤リンパ節郭清術の前に、現在の標準治療であるシスプラチン投与を受けた。

主な知見

この研究では、エンホルツマブ ベドチン+ペムブロリズマブ併用療法が、現在の標準治療と比較して患者の転帰を改善することが明らかになった。

  • エンホルツマブ ベドチン投与群の患者は、標準治療群の患者と比較して、がんが再発または悪化する可能性が約47%低かった。
  • 病理学的完全奏効(pCR)率、つまり膀胱摘出後に膀胱内にがんの痕跡が認められなかった人の割合は、エンホルツマブ ベドチン投与群では約56%であったのに対し、標準治療群では32.5%であった。
  • エンホルツマブ ベドチン投与群の患者では、無イベント生存期間(EFS)(治療開始後、がんの再発、進行、または死亡がない期間)が中央値に到達しなかったのに対し、標準治療群では48.5カ月であった。
  • いずれの治療群においても、全生存期間は中央値に達しなかった。しかしながら、研究期間を通して、エンホルツマブ ベドチン投与群の患者は、標準治療群の患者と比較して、死亡率が約35%低かった。

エンホルツマブ ベドチン投与群では、より多くの副作用がみられた。この群では、75.7%の患者がグレード3以上の治療関連有害事象を経験したのに対し、標準治療群では67.2%であった。重度の皮膚反応は、エンホルツマブ ベドチン投与群の患者の約14%にみられた。

次のステップ

研究者らは、この研究から得られたデータに基づき、追加の追跡調査および応用分析を実施する予定である。

  • 監修 榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)
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  • 原文掲載日 2026/02/27

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