米FDA、膀胱がんにマイトマイシン膀胱内注入製剤を承認
2025年6月12日、米国食品医薬品局(FDA)は、再発低悪性度中間リスク筋層非浸潤性膀胱がん(LG-IR-NMIBC)の成人患者を対象に、マイトマイシン膀胱内注入製剤(販売名:Zusduri、UroGen Pharma社)を承認した。
Zusduriの詳細な処方情報は、こちら に掲載される。
単群多施設共同試験であるENVISION試験(NCT05243550)にて、有効性を評価した。本試験は、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)後に再発した低悪性度筋層非浸潤性膀胱がん(NMIBC)の成人患者240名を対象とし、患者は以下の基準のうち1~2つを満たした:多発性腫瘍、3cmを超える孤立性腫瘍、および/または1年以内の再発。患者に対し、マイトマイシン膀胱内注入製剤75 mgを週1回、6週間連続で投与した。腫瘍の状態は、膀胱鏡検査、必要時の生検、尿細胞診によって3カ月ごとに評価した。
主要な有効性評価項目は、3カ月時点での完全奏効(CR)と奏効期間(DOR)であった。CRは、膀胱鏡検査および尿細胞診で膀胱に病変が検出されないことと定義した。必要に応じて生検を実施した。奏効評価可能であった患者223人のうち、78%(95%信頼区間:72~83)がCRを達成した。DORは0カ月から25カ月以上であり、効果が見られた患者の79%は12カ月以上奏効を維持した。
臨床検査値異常を含む特に多く認められた副作用(10%以上)は、クレアチニン増加、カリウム増加、排尿困難、ヘモグロビン減少、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加、好酸球増加、リンパ球減少、尿路感染症、好中球減少、および血尿であった。重篤な副作用は12%に認められ、尿閉(0.8%)および尿道狭窄(0.4%)などがあった。致死的な副作用として心不全が1人に認められた。
マイトマイシンの推奨用量は、尿道カテーテルを介した膀胱への週1回75 mg(56 mL)の6週間注入である。
医療従事者は、医薬品および医療機器の使用に関連すると疑われるすべての重篤な有害事象を、FDAのMedWatch報告システムまたは1-800-FDA-1088に報告しなければならない。
がん領域の治験薬の単一患者INDに関する支援については、医療関係者はOCEのProject Facilitate(電話:240-402-0004、Eメール:OncProjectFacilitate@fda.hhs.gov)に連絡することができる。
- 監修 榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)
- 記事担当者 仲里芳子
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- 原文掲載日 2025/06/12
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