ベルズチファンとペムブロリズマブの併用は術後の腎がん再発を抑制か
ASCOの見解(引用)
「LITESPARK-022試験のデータは期待が持てるものであり、ある意味では意外な結果でもあります。これまでの研究では、高リスクまたは再発リスクの高い腎がんの手術後に標的療法を行うことによる明確な有益性は示されていなかったからです。ベルズチファン(販売名:ウェリレグ)とペムブロリズマブ(販売名:キイトルーダ)の併用療法は、ペムブロリズマブ単独療法と比較して、腎がん患者が手術後に無病状態を維持する期間を有意に延長しました。これらの結果は有望ですが、併用療法では毒性の増加が認められており、この治療法が全生存期間の明確な延長につながるかどうかを判断するには、長期データの結果を待つ必要があります」と、ASCO腎がん専門医のBrian I. Rini医師(FASCO:ASCOフェロー)(ヴァンダービルト大学医療センター、腫瘍内科医)は述べた。
| 焦点 | 淡明型腎細胞がん(ccRCC)に対する術後療法の進歩 |
| 対象者 | 北米、ヨーロッパ、アジアの、再発リスクの高い淡明型腎細胞がん患者1,841人 |
| 主な結果 | 再発リスクの高い淡明型腎細胞がん患者において、ペムブロリズマブによる標準治療にベルズチファンを追加することで、腎がん手術後の再発リスクが低下する |
| 意義 | ・ 2022年に、世界中で43万人以上が腎臓がんと診断され、15万人以上が死亡した。腎臓がんの中で最も一般的なのは淡明型腎細胞がん(ccRCC)で、症例の約5分の4を占めている。 ・ がんが他の臓器に転移していない場合、このタイプのがん患者の多くは、腫瘍を取り除くために、罹患した腎臓の一部または全部を切除する手術(部分腎摘出術または根治的腎摘出術)を受ける。 ・ 現在、再発リスクが高い患者には、通常、手術後にペムブロリズマブ(PD-1阻害薬と呼ばれる免疫療法薬)が投与される。 ・ ペムブロリズマブは術後療法として有効であるものの、この治療を受けた患者の約5人に2人は再発する可能性がある。 ・ LITESPARK-022試験は、ベルズチファンという新薬をペムブロリズマブと併用することで、標準治療よりも淡明型腎細胞がんの再発を効果的に防げるかどうかを検証する目的で設計された。 |
ITESPARK-022試験の結果によると、ペムブロリズマブとベルズチファンの併用療法は、免疫系と血流というがん細胞の増殖に関わる2つの経路に作用することで、手術後のがん再発リスクを約28%低減させたことが示された。この研究結果は、2026年米国臨床腫瘍学会(ASCO)泌尿生殖器がんシンポジウム(2月26日~28日、サンフランシスコ)で発表される。
試験について
「現在の治療をもってしても、高リスクの腎がん患者のかなりの割合が、体内に検出されないまま残っているがん細胞のために、手術後5年以内に再発または死亡します。本研究は、術後治療の有効性を高めることで、その課題を解決することを目的としています」と、ダナ・ファーバーがん研究所の腫瘍内科医であるToni Choueiri医師は述べた。
ベルズチファンは、低酸素誘導因子2α(HIF-2α)と呼ばれるタンパクを標的とする初めての薬剤である。この薬剤は、2019年のノーベル生理学・医学賞を受賞した低酸素誘導因子に関する知見に基づいて開発された。
HIF-2αタンパクは酸素レベルが低く血管が必要であることを細胞に知らせるシグナルを送る。多くの淡明型腎細胞腫瘍には、HIF-2αタンパクを活性化させる遺伝子変異が見られる。その結果、腫瘍は血管を新たに形成し、栄養を取り込み、転移細胞が体の他の部位に広がるのを助ける。ベルズチファンはHIF-2αタンパクに結合し、その働きを阻害する。これにより血管の成長が阻害され、腫瘍細胞の増殖が抑制される。
本試験には、淡明型腎細胞がん患者1,841人が参加した。参加者の平均年齢は60歳で、70%が男性であった。腫瘍の特性から、すべての参加者は手術後にがんの徴候が認められなかったにもかかわらず、再発リスクが高いと判断された。
参加者は以下の2群に分けられた。
1. 921人:手術後にペムブロリズマブとベルズチファンを投与。
2. 920人:手術後にペムブロリズマブとプラセボを投与。
主な知見
結果はまだ初期段階ではあるが、以下のことが示されている:
・ 術後療法にベルズチファンを追加することで、淡明型腎細胞がん(ccRCC)の再発リスクが約28%低下した。
・ ベルズチファン群では、治療開始2年の時点で約81%の参加者が無がん状態にあると推定されるのに対し、プラセボ群では74%であった。
・ ベルズチファン群の半数以上、およびプラセボ群の約3分の1で、重度または生命を脅かす可能性のある副作用(グレード3~4)が認められた。ベルズチファン群でみられた副作用はベルズチファン治療でよく見られるものであり、赤血球数の減少(貧血)、肝障害の指標となり得る血中アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)高値、ならびに酸素濃度の低下(低酸素症)が含まれていた。参加者の報告によれば、これらの副作用は通常管理可能であった。
・ 治療を最後まで完了できた参加者の割合は、両群でほぼ同じであった。ベルズチファン群では70%、プラセボ群では71%であった。
次のステップ
LITESPARK-022試験は現在も進行中である。研究者らは、両群の参加者がどのくらいの期間がんのない状態を維持できるか、またベルズチファンを投与された参加者が投与されなかった参加者と比べて全生存期間が延長するかどうかを明らかにするため、引き続きデータを収集していく予定である。さらに、併用療法から最も恩恵を受ける可能性のある患者を特定する指標(バイオマーカー)を見つけるためのデータ解析も行われる。
LITESPARK-022試験は、Merck & Co. Inc.の子会社であるMerck Sharp & Dohme LLCの資金提供を受けて実施された。
- 監修 高濱隆幸(腫瘍内科・呼吸器内科/近畿大学病院 ゲノム医療センター)
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- 原文掲載日 2026/02/28
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