血管新生を標的とした新規併用療法は単剤より腎臓がん抑制効果が高い

血管新生を標的とした新規併用療法は単剤より腎臓がん抑制効果が高い

ASCOの見解(引用)

「この第3相試験データは、ベルズチファン+レンバチニブ併用療法が、カボザンチニブによる従来の単剤療法と比較して、特定の利点をもたらす可能性を示している。重要な点として、安全性プロファイルでは、特定の有害事象に関してトレードオフがみられる。しかし、免疫療法薬治療を受けたにもかかわらず再発した進行性淡明型腎細胞がん患者において、がん増殖が長期間遅延したことは、この併用療法が新たな治療選択肢となる可能性を示唆している」。
ーSumanta Kumar Pal医師(FASCO、ASCO腎臓がんエキスパート、シティ・オブ・ホープ病院 腎臓がんプログラム共同ディレクター)

焦点免疫療法薬治療を受けたにもかかわらず再発した進行性淡明型腎細胞がん(ccRCC)患者に対する併用療法オプション
対象者免疫療法薬治療を受けた後にがんが悪化した進行性淡明型腎細胞がん(ccRCC)の成人患者747人
主な結果免疫療法薬でがんが制御されなかったccRCC患者の場合、ベルズチファン+レンバチニブ併用療法は、一般的に使用されている薬剤カボザンチニブよりもがん増殖を抑制する効果が高い。
意義2022年、世界中で43万人以上が腎臓がんと診断され、15万人以上が腎臓がんで死亡した。腎臓がんの中で最も多いのが淡明型腎細胞がん(ccRCC)で、症例の約5分の4を占める。

この診断を受けた人の約5人に1人は、発見された時点で既にがんが腎臓の外に転移しており、さらに3人に1人は腫瘍摘出手術後もがんが転移する。

淡明型細胞腎細胞がん(ccRCC)の患者のほとんどは、まず免疫療法薬治療を受ける。免疫療法薬でがんが制御できない場合は、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)チロシンキナーゼ阻害薬と呼ばれる別種の薬物療法が用いられることが多い。VEGFRチロシンキナーゼ阻害薬は、腫瘍内の血管新生を阻害することができる。

ベルズチファンは、VEGFRチロシンキナーゼ阻害薬とは異なるメカニズムで血管新生を阻害する標的療法薬である。

第3相LITESPARK-011試験は、進行性ccRCCをベルズチファンと、VEGFRチロシンキナーゼ阻害薬の一つであるレンバチニブの併用で治療した場合、現在使用されているVEGFRチロシンキナーゼ阻害薬であるカボザンチニブよりもがん増殖を効果的に抑制できるかどうかを検証するために設計された。

LITESPARK-011臨床試験の結果から、血管新生を阻害する2剤併用療法が、免疫療法薬治療後に再発した進行性淡明型腎細胞がん(ccRCC)患者の治療に効果的であることがわかった。ベルズチファン+レンバチニブ併用療法は、一般的に使用されているカボザンチニブよりも進行性ccRCCのコントロールに優れている。この研究成果は、2月26日から28日にサンフランシスコで開催される2026年米国臨床腫瘍学会(ASCO)泌尿生殖器がんシンポジウムで発表される。

試験について

「免疫チェックポイント阻害薬による免疫療法を試みた後の進行性腎臓がん患者に対する明確な標準治療は確立されていません。これらの患者の転帰改善を目指した最近の臨床試験は成功していません。今回の試験は、この患者集団において、新たな併用療法プログラムが既存の治療法よりも優れていることを示した初めての試験です」と、本研究の筆頭著者であるRobert J. Motzer医師(腫瘍内科医、スローンケタリング記念がんセンター)は述べる。

カボザンチニブとレンバチニブは、腫瘍血管新生を阻害する血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)である。ベルズチファンは、VEGFR TKIとは異なる方法で血管新生を阻害する新しい標的療法薬である。ベルズチファンは、低酸素誘導因子2α(HIF-2α)というタンパク質を阻害する。ほとんどのccRCC腫瘍にはHIF-2αタンパク質を活性化させる遺伝子変異があるため、ベルズチファンは有望視されている。この薬剤はHIF-2αタンパク質に結合してその働きを阻害する。これにより血管新生が阻害され、腫瘍細胞の増殖と転移が抑制される。

第3相LITESPARK-011試験は、免疫療法薬による治療歴のある進行性腎細胞がん(ccRCC)成人患者747人を対象とした。試験参加者は2つのグループに分けられた。
1.371人がベルズチファン+レンバチニブ併用療法を受けた(併用療法群)。
2.376人がカボザンチニブ投与を受けた(対照群)。

主な知見

中央値で約29カ月の追跡期間後、研究結果は以下の通りであった。

  • ベルズチファン+レンバチニブ併用群の約53%でがんが縮小または消失したのに対し、カボザンチニブ投与群で縮小または消失したのは約40%であった。
  • 治療に反応したがん患者に関して、ベルズチファン+レンバチニブ併用療法群では中央値で23カ月間病状をコントロールできたのに対して、カボザンチニブ単独療法群では約12カ月であった。
  • ベルズチファン+レンバチニブ併用群では、がん増殖の徴候が現れるまでの期間の中央値は約15カ月であったのに対し、カボザンチニブ投与群では約11カ月であった。

 ・ 併用療法によってがんをより長く安定させることができたものの、それが患者の全生存期間延長に役立つかどうかを判断するには、まだ十分なデータがない。

  • 両群とも10人中およそ8人に副作用がみられた。

 ・ ベルズチファン+レンバチニブ併用群で最も多くみられた副作用は、赤血球減少(貧血)、下痢、高血圧であった。
 ・ カボザンチニブによる治療では、下痢と皮膚疾患(手足症候群)が多くみられた。

  • 治療に関連した死亡は、併用療法群で2例、対照群で1例あった。

次のステップ

研究者たちは、両群でがん制御期間がどのくらいになるか、またベルズチファン+レンバチニブ併用群は対照群よりも長生きするかどうかを判断するために、引き続きデータを収集する予定である。

研究者らは、VEGFRチロシンキナーゼ阻害薬と低酸素誘導因子(HIF)阻害薬の他の組み合わせがさらに効果的であるかどうかを検証するため、今後の研究を計画している。

  • 監修 榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)
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  • 原文掲載日 2026/02/28

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