【ESMO 2025】既治療の進行腎がんにレンバチニブ+エベロリムスによる二重標的療法の有効性

【ESMO 2025】既治療の進行腎がんにレンバチニブ+エベロリムスによる二重標的療法の有効性

MDアンダーソン研究ニュース 

● 研究により、レンバチニブ(販売名:レンビマ)とエベロリムス(販売名:アフィニトール)の併用療法を受けた患者は、疾患の進行なく生存期間が延長したことが判明
 
● 二次治療におけるレンバチニブ+エベロリムスの併用療法と、カボザンチニブ(販売名:カボメティクス)を初めて直接比較した試験
 
● 転移性淡明型腎細胞がん(ccRCC)患者で、初回免疫療法後に疾患進行を経験した患者に対する併用療法の選択肢

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らが主導した試験の結果、免疫療法後に疾患が進行した腎臓がんの一種である転移淡明型腎細胞がん(ccRCC)患者に対して、分子標的薬併用療法により治療成績が改善したことが明らかになった。
 
LenCabo 第2相試験のデータは、本日、欧州臨床腫瘍学会 (ESMO 2025) (抄録 LBA94) で、Andrew W. Hahn医師(泌尿生殖器腫瘍内科助教)によって発表され、同時に Annals of Oncology 誌にも掲載された。


この研究の主な結果とは何か

ランダム化試験では、免疫療法後に病状が悪化した患者において、レンバチニブ+エベロリムス併用療法を受けた群は、カボザンチニブを投与された群と比較して、無増悪生存期間が延長したことが確認された。
 
「これは、一般的に使用される2つの二次治療を直接比較した初めてのランダム化試験です」とHahn氏は述べた。「これらの結果は、治療の順序決定に関する洞察と、臨床判断を導くための直接比較データの重要性を示しています」。
 
本試験には、転移性または進行淡明型腎細胞がん(ccRCC)、つまり以前に1回または2回の治療(PD-1またはPD-L1標的免疫療法を1回以上含む)を受けた既往のある腎細胞がん(RCC)患者90人を登録した。
 
レンバチニブとエベロリムスを併用した群では62.5%にがん進行が認められたのに対し、カボザンチニブによる治療群では76%であった。レンバチニブ+エベロリムス併用群の無増悪生存期間(PFS)中央値は15.7カ月であったのに対し、カボザンチニブ群では10.2カ月であった。
 

これらの知見が患者にとって重要な理由は何か

転移性淡明型腎細胞がん(ccRCC)患者に対する現在の一次治療は、免疫チェックポイント阻害薬であり、場合によっては分子標的療法と併用される。これらの治療にがんが反応しなくなった場合、次の治療選択肢としてレンバチニブとエベロリムス、またはカボザンチニブが挙げられる。
 
本試験は、二次治療の比較有効性を評価し、より長い無増悪生存期間(PFS)と患者の転帰を改善する治療レジメンを特定するためにデザインされた。
 
この研究結果は、レンバチニブとエベロリムスの併用療法が二次治療としてより有意義な効果をもたらす可能性があり、必要とする患者の今後の治療選択の指針となる可能性があることを示唆している。
 
本研究は、米国国立がん研究所(P30 CA016672)、MDアンダーソンがんセンターPrometheus informatics system、および泌尿生殖器腫瘍科のEckstein and Alexander Laboratoriesの支援を受けて実施された。共著者、開示情報、資金提供元の一覧については、論文全文またはデータ抄録をご覧ください。

  • 監修 榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)
  • 記事担当者 青山真佐枝
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  • 原文掲載日 2025/10/17

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