腎臓がん腫瘍に新たなヒストトリプシー(集束超音波)治療
オハイオ州立大学総合がんセンターのアーサー・G・ジェームズがん病院およびリチャード・J・ソロブ研究所(OSUCCC–James)の腎臓がんおよび画像下治療(IVR)の専門医らは、進行中の臨床試験の一環として利用可能な、がん性腎腫瘍に対する新たな非侵襲的方法であるヒストトリプシー(組織破壊)治療において、このほど3回目の成功を収めた。
世界で15施設でしか行われていないヒストトリプシー治療がオハイオ州で初めてOSUCCC-Jamesにおいて実施されたのは2024年10月のことで、今年の4月に2人目の患者、5月に3人目の患者がこの治療を受けた。米国国立がん研究所(NCI)によると、米国では今年、新たに80,980人が腎臓がんと診断されると推定されている。
OSUCCC-Jamesの泌尿器腫瘍学部長でトランスレーショナル治療プログラムのメンバーであるEric A. Singer医師と、オハイオ州立大学ウェクスナー医療センターの放射線学研究部長で画像下治療医であるMina S. Makary医師をリーダーとするチームが上記患者を治療した。
オハイオ州立医科大学の泌尿器科教授でもあるSinger医師は、「ヒストトリプシー治療後、すべての患者が極めて良好な経過をたどっています。この臨床試験が進み、腎細胞がん患者の治療選択肢が増えることを期待しています」と言う。
オハイオ州立大学は、腎臓腫瘍治療におけるヒストトリプシー技術の安全性と有効性を評価する多施設臨床試験に参加している。この臨床試験は#HOPE4KIDNEYと呼ばれ、ミネアポリスの医療技術企業であるHistoSonics社によって昨年開始された。この試験は、米国で最大68人の患者を登録することを目標としている。
「腎腫瘍治療を目的とする、この非侵襲的方法には、腎がん治療を進展させ、患者のQOLを改善する可能性があります」と、オハイオ州立医科大学の放射線科臨床准教授でもあるMakary氏は言う。「すべての腎腫瘍患者がヒストトリプシーの適応になるとは限りませんが、適応となる患者は利益を得る可能性があります」。
ヒストトリプシーは集束超音波エネルギーを用いて腫瘍組織を破壊する。このエネルギーによって「バブルクラウド」も作られ、これは腫瘍細胞を破壊するのに必要なレベルに達したことを示す。現在、ヒストトリプシー技術は米国食品医薬品局(FDA)によって肝臓の腫瘍の治療にのみ承認されている。
- 監修 榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)
- 記事担当者 山田登志子
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- 原文掲載日 2025/05/21
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