【米国血液学会(ASH)】マントル細胞リンパ腫、イブルチニブ+ベネトクラクス経口薬併用で予後改善

MDアンダーソンがんセンター

MDアンダーソン主導の第3相試験が、無増憎悪生存率と寛解率の有意な改善を示す

アブストラクト:LBA-2

イブルチニブ(販売名:イムブルビカ )とベネトクラクス(販売名:ベネクレクスタ)との分子標的薬併用により、再発・難治性マントル細胞リンパ腫(MCL)患者において、無増悪生存(PFS)の改善と、82%の全奏効率を達成したことが、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らによって示された。第3相SYMPATICO試験の結果は、2023年米国血液学会(ASH)年次総会で発表された。

追跡期間中央値51.2カ月において、無増悪生存期間中央値はイブルチニブ+プラセボの22.1カ月に対し、併用療法では31.9カ月であった。PFSベネフィットは、芽球性亜型やTP53変異型のMCL患者を含む患者サブグループで一貫していた。併用群では、プラセボ群の32%に対し、54%の患者が完全寛解を達成し、有意な改善を示した。

「われわれは本試験から得られたデータによって、また患者さんに対して、この標的療法により寛解を達成することが出来て大変勇気づけられています。この併用療法により、がん細胞を2つの方法で狙い撃ちすることができ、腫瘍が耐性を獲得しにくくなりました」と試験責任医師のMichael Wang医師(リンパ腫・骨髄腫教授)は述べた。

この国際多施設共同試験では、BTK阻害剤であるイブルチニブにBCL-2阻害剤であるベネトクラクスを組み合わせた治療について評価を行った。この2つの薬剤は連携してMCLの細胞を狙い撃ちする。マントル細胞リンパ腫(MLC)は、まれなタイプの非ホジキンリンパ腫で、米国では毎年約4,000人の新規患者が診断されている。多くの場合、ステージ4で診断され、進行性の疾病経過をとる。Wang氏によると、マントル細胞リンパ腫は人口の高齢化に伴い、より一般的になってきている。

本試験には、少なくとも1ラインの治療歴のある再発・難治性マントル細胞リンパ腫の成人患者267人が登録された。患者はイブルチニブ+ベネトクラクスを投与する群と、イブルチニブ+プラセボを投与する群とに無作為に割り付けられた。

副作用は管理可能であり、過去の試験と一致していた。グレード3以上の有害事象は、併用療法で治療を受けた患者の84%、プラセボ群の76%に発現した。最も多く生じた副作用は好中球減少症であった。

「マントル細胞リンパ腫患者に対する効果的で、標的を絞った、化学療法を必要としない治療選択肢の特定に取り組む中で、今回の結果に励まされています」とWang氏は述べた。「私たちは、マントル細胞リンパ腫患者にとっての最良の治療方法を決定するために、本試験の長期追跡調査データに期待しています。この治療方法は、マントル細胞リンパ腫患者にとって画期的な研究成果です」。

本試験は、AbbVie社の支援を受けている。共同著者の全リストと開示情報は演題アブストラクトに掲載されている。

  • 監訳 喜安純一(血液内科・血液病理/飯塚病院 血液内科)
  • 翻訳担当者 山口みどり
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  • 原文掲載日 2013/12/12

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