FDA、尿路上皮がんにニボルマブを迅速承認

米国食品医薬品局(FDA)は201722日、プラチナ製剤による化学療法中または化学療法後に病勢進行が認められるか、プラチナ製剤による術前化学療法または術後化学療法の開始後12カ月以内に病勢進行が認められる局所進行または転移性の尿路上皮がん患者の治療に、ニボルマブ(商品名:オプジーボ、Bristol-Myers Squibb社)の迅速承認を認めた。

承認は、プラチナ製剤化学療法中または化学療法後に病勢進行が認められるか、プラチナ製剤による術前化学療法または術後化学療法の開始後12カ月以内に病勢進行が認められた局所進行または転移性の尿路上皮がん患者270人を対象とした単群試験に基づいて行われた。患者は、ニボルマブ3mgkg2週間ごとに、病勢が進行するか容認できない毒性が発現するまで投与された。放射線診断の独立審査委員会によって固形腫瘍における効果判定基準(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors1.1を用いて確認された客観的奏効率は19.6%53/270; 95% CI: 15.1, 24.9)であった。完全奏効を示した患者は7人で、部分奏効は46人であった。奏効期間中央値は推定10.3カ月であり、データカットオフ時点での奏効は継続していた。

頻度の高かった副作用(患者の20%以上で報告された)は、疲労、筋骨格痛、悪心、食欲低下であった。病勢進行以外の原因で死亡した患者は14人であり、ニボルマブに起因する肺臓炎または循環器不全で死亡した4人が含まれていた。副作用により投与を中止した患者は17%であった。

上述の適応に対して推奨されるニボルマブの用量と投与スケジュールは、2週間ごとに240 mgの静脈内投与である。

FDAはニボルマブの申請に対して画期的な治療薬指定と優先審査を認めた。この申請は、審査終了目標日の約1カ月前に承認された。FDAの迅速承認プログラムの詳細は、企業向けガイダンス、「重篤疾患のための迅速審査プログラム医薬品および生物学的製剤(Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)」に記載されている。

全処方情報は以下に記載:

http://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2017/125554s024lbl.pdf

医療従事者は、医薬品および医療機器の使用との関連が疑われる重篤な有害事象を認めた場合、すべてFDAMedWatch報告システムに報告しなければならない。この報告は、オンラインフォームへの入力(http://www.fda.gov/medwatch/report.htm)、ファックス送信(1-800-FDA-0178)、オンラインで提供されている受取人払いフォームの郵送、または電話(1-800-FDA-1088)にて行う。

翻訳担当者 青山真佐枝

監修 榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)

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