放射線療法と薬物療法併用の安全性についての共同声明を欧州腫瘍学会(ESMO–ESTRO)が発表
現代の腫瘍学は急速に進化し、ますます複雑化している分野であり、全身療法(標的薬、免疫療法薬)と局所療法を組み合わせた併用療法への依存度が高まっている。こうした併用療法は治療成績の改善に大きな期待が寄せられている一方で、日常診療での安全性に関する重要な課題も生じる。そのため、安全性をどのように確保するかが、臨床におけるますます重要な優先課題となっている。これは特に放射線治療の役割を考えると重要である。その理由は、患者のおよそ半数が治療経過のどこかで放射線治療を受けており、さらに放射線治療は、根治目的・積極的治療・緩和治療のいずれの場面においても、分子標的治療や免疫療法と併用されることが多いからである。
こうした背景を受け、ESMOとESTROは、放射線療法と標的治療薬・免疫療法薬の併用に関する安全性について論じた一連の共同コンセンサス文書を発表した。特に、これらの文書では、放射線療法と以下の薬剤との併用について検討している。
⚫︎免疫チェックポイント阻害剤・VEGF(R)阻害剤・多標的チロシンキナーゼ阻害剤
⚫︎CDK4/6阻害剤・HER2標的療法・PARP阻害剤・mTOR阻害剤
⚫︎EGFR阻害剤・ALK阻害剤・BRAF阻害剤/MEK阻害剤
全体として、この一連のコンセンサス論文は、放射線療法と免疫チェックポイント阻害薬および抗HER2療法の併用による予想される毒性が一般的に低いことを示唆している一方、VEGF(R)阻害薬、多標的チロシンキナーゼ阻害薬、CDK4/6阻害剤、PARP阻害剤、mTOR阻害剤、EGFR阻害剤、ALK阻害剤、およびBRAF/MEK阻害薬を含む併用については、より慎重な対応が必要であると指摘している。
これらの論文は、ESMOおよびESTROの国際的専門家による学際的な協力のもとで作成されたものであり、日常診療において放射線治療と全身性抗がん薬を安全に併用するための指針を求める腫瘍内科医、放射線腫瘍医および多職種がん診療チームにとって、重要なエビデンスに基づく参考資料となる。特に、高品質な毒性データが依然として限られている領域においてはなおさらである。これらの薬剤クラス別の推奨事項および臨床的安全性に関する声明を補完するものとして、評価枠組みを示した論文「放射線療法と標的がん治療または免疫療法の併用における相互作用および安全性を評価するためのESMO-ESTROフレームワーク」は、薬剤と放射線療法の潜在的な相互作用の背景にある生物学的メカニズムを解明することで、このESMO-ESTROの共同取り組みに貢献している。これらの資料は総じて、学際的な連携、患者の安全性、そして放射線療法と最新の全身療法を安全に統合するための実践的かつエビデンスに基づいたガイダンスを通じて臨床医を支援するという、両学会の共通の取り組みを強調するものである。
- ESMO-ESTRO framework for assessing the interactions and safety of combining radiotherapy with targeted cancer therapies or immunotherapy
DOI: 10.1016/j.radonc.2025.110910 - ESMO–ESTRO consensus statements on the safety of combining radiotherapy with immune checkpoint inhibitors, VEGF(R) inhibitors, or multitargeted tyrosine kinase inhibitors
DOI: 10.1016/j.annonc.2025.09.008 - ESMO-ESTRO consensus statements on the safety of combining radiotherapy with CDK4/6, HER2, PARP, or mTOR inhibitors
DOI: 10.1016/j.radonc.2025.111330 - ESMO-ESTRO consensus statements on the safety of combining radiotherapy with EGFR, ALK, or BRAF/MEK inhibitors
DOI: 10.1016/j.esmoop.2026.106076
- 記事担当 加藤千恵
- 監訳 山﨑知子(頭頸部・甲状腺・歯科/埼玉医科大学国際医療センター 頭頸部 腫瘍科)
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- 原文記載日 2026年5月5日
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