メトホルミン+GLP-1薬は、2型糖尿病においてDPP-4阻害薬よりもがんリスク/死亡率低下と関連
2型糖尿病患者において、メトホルミンとGLP-1受容体作動薬の併用療法は、DPP-4阻害薬療法よりも、脂肪関連がんのリスクを39%低下させ、5年間の死亡リスクを67%低下させることと関連していた。
これまでの研究では、メトホルミンやGLP-1受容体作動薬などの2型糖尿病治療薬ががんリスクを低下させる可能性が示唆されてきたが、これらの併用ががん発症に与える影響は明らかではなかった。
研究者らはTriNetXデータベースを用いて、18歳以上の2型糖尿病患者を対象に、メトホルミンおよびGLP-1受容体作動薬の単独および併用使用が、脂肪関連がんのリスクおよび死亡発生に与える影響を検討した。治療群は、メトホルミン群、GLP-1薬群、メトホルミン+GLP-1薬併用群の3群とし、対象群をDPP-4阻害薬投与群とした。
傾向スコアマッチング後の各群の症例数は以下の通り:
メトホルミン vs DPP-4阻害薬:88,786人
GLP-1受容体作動薬 vs DPP-4阻害薬:112,735人
メトホルミン+GLP-1受容体作動薬併用療法 vs DPP-4阻害薬:36,347人
主要評価項目は、肥満関連がんの発症までの期間。追跡期間は治療開始から5年間。
その結果、 2型糖尿病患者において、メトホルミン使用群ではDPP-4阻害薬治療群と比較して、脂肪関連がんリスク4%低下(ハザード比 0.96)、死亡発生22%低下(ハザード比 0.78)と関連していた。GLP-1受容体作動薬単独療法群では、脂肪関連がん発症14%低下(ハザード比 0.86)、死亡発生39%低下(ハザード比 0.61)と関連していた。メトホルミンとGLP-1受容体作動薬の併用療法群では、脂肪関連がんリスク39%低下(ハザード比 0.61)、死亡発生67%低下(ハザード比 0.33)と関連していた。
特に併用療法は以下のがんリスク低下と関連していた:肝細胞がん、大腸がん、膵がん、食道がん、胃がん、子宮がん、乳がん、腎がん、脳腫瘍、多発性骨髄腫、頭頸部がん、メラノーマなど。
本研究により、メトホルミンとGLP-1受容体作動薬の併用が、肥満の有無にかかわらず2型糖尿病患者におけるがん発症低下と関連する新たな相乗効果を初めて示したと述べている。また、肥満および2型糖尿病の世界的増加と、特に若年層でのがん発症率上昇を踏まえ、効果的ながん予防戦略の検討が臨床および公衆衛生上重要であると指摘している。
本研究は電子健康記録に基づく解析であるため欠測データの可能性や交絡因子の影響を完全には排除できず、因果関係を証明するものではない。また、追跡期間が5年と比較的短く、メトホルミンおよびGLP-1受容体作動薬ががん発症に与える長期的影響を十分に評価できていない可能性もある。
本研究は、英国リバプール大学のAlex E. Henney氏らが実施し、Diabetes, Obesity and Metabolismのオンライン版に掲載された。
- 監修 石井一夫(公立諏訪東京理科大学工学部情報応用工学科/疫学・統計学)
- 参考記事
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