転移トリネガ乳がんでイベルメクチン+balstilimabの安全性・有効性評価
抄録
e13146
背景:免疫チェックポイント阻害剤(ICI)および抗体薬物複合体(ADC)が近年、FDAで承認されたにもかかわらず、転移性トリプルネガティブ乳がん(mTNBC)の治療選択肢は依然として限られている。前臨床データでは、イベルメクチン(販売名:ストロメクトール)が乳がん細胞への強力なT細胞浸潤を誘導し「冷たい」腫瘍を「熱い」腫瘍に変えることが、トリプルネガティブ乳がん細胞移植のマウスモデルで示された。Balstilimab [バルスチリマブ] は、完全ヒト型モノクローナル免疫グロブリンG4(IgG4)抗PD-1抗体薬であり、転移性子宮頸がんにおいて安全性と有効性が証明されている。現在の第1相、第2相試験は、mTNBC患者におけるイベルメクチンとバルスチリマブの併用の安全性と有効性を検証することを目的とする。
方法:主要な適格基準には、切除不能または遠隔転移を有するトリプルネガティブ乳がん患者、ICI含有レジメン(治療計画)などを含む1~2種類の前治療としての化学療法で増悪した患者、ECOG 0-1(がん患者の全身状態を示す指標が0~1)の患者、RECIST 1.1(固形がんの治療効果判定のためのガイドライン)で測定可能な病変を有する患者などが含まれる。適格患者は、21日サイクルごとに、疾患進行または毒性に不耐となるまで、バルスチリマブ450mgを1日目に静脈内投与し、イベルメクチン(30,45、または60mgを毎日投与)を1-3日目、8-10日目、15-17日目の期間に経口投与する。本試験の第1相部分における主要目的は、NCIーCTCAE v5.0(がん治療で発生する有害事象共通用語基準)に基づき、バルスチリマブとの併用におけるイベルメクチンの第2相推奨用量を決定することである。第2相部分における主要目的は、客観的奏効率(ORR)を用いて併用療法の有効性を測定することである。副次目的は、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、臨床有益率(CBR)およびEORTC QLQ-C30(欧州がん研究治療機関(EORTC)が開発した、がん患者の生活の質(QOL)を評価する30項目の質問票)による患者の生活の質(QOL)の評価である。
結果:本試験では、現在までに9例の患者が登録された。年齢中央値は52才 (四分位範囲 47-56才、範囲 38-68才)、非ヒスパニック系白人4例(44.4%)、ヒスパニック系3例(33.3%)、その他2例(22.2%)であった。試験登録開始前の転移性がんに対する化学療法または標的療法の治療ライン数中央値は5(四分位範囲 2-5, 範囲 1-7)であった。用量レベル1および2は完了し、疾患関連貧血に起因する重篤な有害事象(AE)は1件のみであった。治療関連有害事象(全グレード)は以下のとおりである。斑状丘疹状皮疹2例(グレード1)、貧血1例(グレード3)、下痢1例(グレード1)、味覚異常1例(グレード1)、全身性筋力低下1例(グレード1)、甲状腺機能低下症1例(グレード2)、嘔吐1例(グレード1)。初期ECOG値は8例が0、1例が1であった。6例(66.7%)が免疫チェックポイント阻害剤の既往歴を有し、6例(66.7%)が腫瘍PD-L1発現が陽性であった。本試験は用量レベル3の患者の症例集積を継続する。評価可能な8例中、1例がSD(安定)、6例がPD(進行)、1例がPR(部分奏効)を示した。無増悪生存期間の中央値は2.5カ月(95%信頼区間 : 66~未到達)であった。4カ月臨床有益率は37.5%(95%信頼区間 : 15.3%~91.7%)であった。全生存期間の評価には時期尚早である。
結論:イベルメクチンとバルスチリマブの併用療法は安全で良好な忍容性を示した。多くの治療歴のある患者集団において有望な臨床有益率が認められ、継続的な検討が正当化される。臨床試験情報:NCT05318469。
これは、2025 ASCO年次会議 1のASCO会議抄録です。この抄録には全文コンポーネントは含まれていません。
監修者注 : 本抄録にはphase1の結果のみ記載されています。
- 監修 下村昭彦 (腫瘍内科/国立国際医療センター乳腺・腫瘍内科)
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- 原文掲載日 2025/05/28
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