【ASCO26】減量プログラムにより乳がん患者の身体機能と生活の質が向上

【ASCO26】減量プログラムにより乳がん患者の身体機能と生活の質が向上

ASCOの見解(引用)

「私たちは長年にわたり、過体重または肥満のステージ2~3の乳がん患者に対し、体系的なプログラムをほとんど提供することなく減量を勧めてきました。乳がん減量(Breast Cancer Weight Loss: BWEL)試験は、生存率に関するデータだけでなく、介入群の患者が身体機能、疲労感、社会的関与の面で明らかに改善を実感したという点からも、その状況を一変させました。生存率と生活の質を同時に向上させるプログラムは、実施する価値のあるプログラムです」と、Marcin Chwistek医師、FAAHPM(Fox Chaseがんセンターの支持療法・緩和ケアプログラム責任者、ASCO専門家)は述べた。

試験概要

焦点体格指数(BMI)が、過体重または肥満に分類される乳がん患者
対象者ステージ2~3の乳がんと診断され、BMIが27以上である542名の参加者
主な結果電話による減量プログラムを利用することで、乳がん患者でBMIが過体重または肥満の範囲にある人は、身体機能や生活の質を向上させ、症状を軽減することができる。
意義• 米国では、女性の約8人に1人が生涯のうちに乳がんと診断される。乳がんの発症リスクを高める要因は数多くあり、その中には過体重などの生活習慣に関連する要因も含まれる。
• 試験によると、乳がんと診断された人の最大4人に3人が、過体重または肥満であると推定されている。
• 過体重は、がん治療による副作用の増悪と関連している。また、肥満は仕事や日常の活動を行う能力に影響を及ぼし、生活の質全体に悪影響を与える可能性がある。
• 肥満は、がんの再発や死亡のリスクが高まるなど、乳がんの予後悪化と関連している。

体重が過体重または肥満に分類される乳がん患者にとって、電話による減量プログラムへの参加は、身体機能や生活の質全般の向上に役立つ可能性がある。本試験結果は、5月29日~6月2日までシカゴで開催される2026年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表される。

試験について

第3相乳がん減量(BWEL)試験のこれまでの結果によると、電話による減量プログラムは、体格指数(BMI)が過体重または肥満に分類される乳がん患者で、著しい減量達成に役立つことが明らかになった。乳がん減量(BWEL)プログラムは、行動変容戦略を用いて、参加者が食事、運動、および全体的な減量の目標を達成できるよう支援し、カロリー摂取量の削減と身体活動の増加を促す。2年間にわたるプログラム期間中、参加者には担当コーチが割り当てられ、電話で最大42回相談を行うことになっていた。

乳がん減量(BWEL)試験のサブスタディにおいて、研究者らは、本減量プログラムが参加者の身体機能や生活の質の向上にも寄与するかどうかを明らかにすることを目指した。参加者は、減量プログラムへの参加と健康教育の受講のグループ(272名)、または健康教育のみの受講のグループ(270名)に無作為に割り当てられた。健康教育には、健康的な食事の遵守や定期的な身体活動の重要性を説く様々な学習教材が含まれていた。

研究者らは、患者報告型アウトカム測定情報システム(PROMIS)の質問項目を用いて、参加者の身体的、精神的、社会的健康状態を評価した。PROMISでは、50点が米国一般人口の平均値に相当する尺度を採用している。登録時、6カ月後、および2年後のスコアが収集された。

主な知見

本試験によると、6カ月時点で、減量プログラムグループの参加者は、健康教育グループの参加者と比べて、生活の質(QOL)に有意な改善が見られた。減量プログラムグループの参加者は身体機能が優れており、スコアの平均差は健康教育グループよりも1.9ポイント高かった。また、全体的な身体的健康状態(平均スコア差2点)および全体的な精神的健康状態(平均スコア差1.3点)も良好であった。

減量プログラムに参加した人々は、仕事や社交活動といった社会的役割や活動においても改善が見られ、平均スコア差は2.3であった。疲労感も軽減しており、健康教育グループの参加者よりも平均スコアが1.7ポイント低かった。研究者らは、これらの改善のいずれもが、登録から2年後も概ね維持されていることを確認した。

「乳がん減量(BWEL)試験プログラムは、米国およびカナダの635箇所の腫瘍科診療所から登録された1,500人以上の参加者を対象に実施されました。したがって、これらの知見は、減量が乳がんと肥満を併発している人々に有意義な利益をもたらすだけでなく、多種多様な腫瘍科診療所に登録された数千人の患者においても、これが達成可能であることを示しています」と、Jennifer Ligibel医師(筆頭著者、ダナ・ファーバーがん研究所のLeonard P. Zakim統合療法・健康生活センター長)は述べた。

次のステップ

研究者らは、ベースライン時の身体機能と生活の質が、減量介入の成功と関連しているかどうかを評価する予定である。この介入から最も利益が得られる人を特定するため、参加者のベースライン時の身体機能と生活の質が、介入の成功度合いを予測する要因となるかどうかを明らかにしたいと考えている。また、研究者らは、減量が患者報告アウトカムの改善を予測するかどうかについても調査することに興味を持っている。これにより、コーチングセッションへの参加ではなく、減量そのものが、身体機能や生活の質の向上と最も密接に関連しているかどうかについて、知見が得られることとなる。

本試験は、米国国立がん研究所(NCI)、Susan G. Komen財団(Susan G. Komen Foundation)、乳がん研究財団、およびアメリカがん協会の資金提供を受けて実施された。

  • 記事担当 平 千鶴
  • 監修 小坂 泰二郎(乳腺外科/JA長野厚生連 佐久総合病院 佐久医療センター)
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  • 原文掲載日 2026/05/22

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