KRAS阻害薬ゾルドンラシブ、G12D変異肺がんで有効性と持続的奏効を示す
治験中のKRAS G12D阻害薬zoldonrasib[ゾルドンラシブ]はKRAS G12D変異を有する治療歴ありの非小細胞肺がん(NSCLC)において、臨床活性のエビデンスと良好な安全性プロファイルを示した。これは米国がん学会(AACR)年次総会(2026年4月17日〜22日)で発表された最新の試験解析によるものである。
KRAS G12C変異を有する非小細胞肺がん患者に対する治療として、2種類のKRAS阻害薬が米国食品医薬品局(FDA)に承認されている一方で、KRAS G12D変異を有する腫瘍を持つ患者に対するRAS標的治療は現在存在しない。これらの変異は非小細胞肺がんのおよそ4%に認められ、また膵がんおよびその他の消化器がんのかなりの割合にも認められると、カリフォルニア大学デービス校総合がんセンターの医学部教授であり、胸部腫瘍学部門長および早期治療ディレクターを務める発表者のJonathan W. Riess医師は説明する。「非小細胞肺がんを含むKRAS G12D変異によるがんを次世代KRAS阻害薬で標的化し克服することは、患者にとって大きなアンメットニーズである」とRiess氏は述べた。
KRASは活性型(ON)状態と不活性型(OFF)状態の間を循環することで機能する。変異はKRASをGTP分子に結合した活性状態に固定し、その結果として制御されない腫瘍形成シグナル伝達が生じる。ゾルドンラシブは経口投与可能なG12D選択的トリコンプレックスRAS(ON)阻害薬であり、KRASと三者複合体を形成する。複合体を形成することにより、KRASが細胞生存および増殖に関与する主要な下流エフェクタータンパク質と結合し活性化することを阻害する。
ゾルドンラシブの安全性および有効性は、1ライン以上の治療を受けたKRAS G12D変異固形がん患者を対象とした第1相臨床試験で評価されている。初期試験結果では、非小細胞肺がんのあるグループにおいて有望な奏効と安全性プロファイルが示された。これらの観察に基づき、ゾルドンラシブはこの患者集団に対して2026年1月にFDAの画期的治療薬指定を受けた。
最新の解析では、第2相試験での推奨用量である1日1回1200mgで治療を受けた、治療歴のある非小細胞肺がん患者すべて(40人)において、安全性および忍容性が評価された。グレード4以上の治療関連有害事象(TRAE)は認められなかった。グレード3のTRAEは13%の患者で報告され、下痢および貧血などであった。TRAEにより15%の患者が投与中断、3%が減量、5%が中止となった。
臨床的有効性は、第2相試験での推奨用量を受け、かつ免疫チェックポイント阻害療法およびプラチナ製剤ベース化学療法(同時または逐次)による治療歴があるがドセタキセル治療歴はない27人の患者で評価された。このグループにおいて、研究者は確認された客観的奏効率52%、病勢コントロール率93%を報告した。奏効期間中央値は算出不能であり、無増悪生存期間中央値は11.1カ月、全生存期間中央値は未到達であった。12カ月時点の全生存率は73%であった。
「ゾルドンラシブは、安全性および忍容性プロファイルが良好であり、持続的な奏効を伴う有望な奏効率を示し、さらに既存の化学療法および免疫療法により病勢進行を来した肺がん患者さんにおいて、良好な疾患制御率を示しました」とRiess氏は述べた。「今回の結果は、KRAS G12D変異肺がんがゾルドンラシブにより有望な有効性をもって治療可能であることを示唆してます」。
「安全性の指標および初期の抗腫瘍活性は有望である一方で、結果は小規模サンプルに基づくものです」とRiess氏は付け加えた。「本研究はKRAS G12D変異非小細胞肺がんにおけるゾルドンラシブ活性についての予備的で有望なシグナルを示しています。進行中の追加試験により、この文脈におけるゾルドンラシブの潜在的な有益性がさらに明らかになるでしょう」。
資金提供元の詳細については原文を参照のこと。
監修 花岡秀樹(遺伝子解析/イルミナ株式会社)
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原文掲載日 2026/04/19
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