FDAが再発または難治性の辺縁帯リンパ腫にザヌブルチニブを迅速承認

2021年9月14日、米国食品医薬品局(FDA)は、過去に1種類以上の抗CD20ベースのレジメンを受けた再発または難治性の辺縁帯リンパ腫(MZL)の成人患者に対して、ザヌブルチニブ(商品名:Brukinsa、BeiGene社)を迅速承認した。

本承認は、次の2つの多施設共同非盲検単群試験に基づいている。すなわち過去に1種類以上の抗CD20抗体ベースの治療を受けた辺縁帯リンパ腫患者66人を対象とするBGB-3111-214試験(NCT03846427)と、治療歴のあるMZL患者20人を対象としたBGB-3111-AU-003試験(NCT02343120)である。両試験でザヌブルチニブ160mgを1日2回または320mgを1日1回経口投与した。

有効性評価項目は、2014年ルガノ基準を用いて独立審査委員会が評価した全奏功率(ORR)および奏功期間(DoR)であった。前者の試験では、CT画像ベースのORRが56%(95%CI:43%、68%)であり、20%が完全奏効(CR)を達成した。後者の試験では、ORRは80%(95%CI:56%、94%)であり、CR達成率は20%であった。DoRの中央値は推定できず、1年間の推定DoR率はそれぞれ85%(95%CI:67、93)、72%(95%CI:40、88)であった。

ザヌブルチニブの主な副作用(30%以上)は、好中球数減少、上気道感染、血小板減少、出血、リンパ球減少、発疹、骨格筋痛などである。重篤な副作用は辺縁帯リンパ腫患者の40%に認められ、その多くは発熱と肺炎によるものであった。なお、全処方情報には出血、感染症、血小板減少、第二原発がん、および心筋梗塞に対する警告と注意事項が記載されている。

ザヌブルチニブの推奨用量は、病勢進行または許容できない毒性が現れるまで、160mgを1日2回または320mgを1日1回経口投与する。

Brukinsaの全処方情報はこちらを参照。

翻訳担当者 山本哲靖

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