二重特異性抗体AFM13とNK細胞複合体の投与が、リンパ腫で高い奏効率
AFM13-NK細胞が、すでに多くの治療を受けた患者に対して、安全かつ非常に効果的であることが第1相試験で示された。
臍帯血由来ナチュラルキラー(NK)細胞と、CD30/CD16Aの二重特異性抗体であるAFM13を事前に複合化して投与する新たな細胞療法のアプローチが、難治性CD30陽性リンパ腫患者に対し、安全で高い奏効率を示したことが、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの新しい研究で明らかになった。
本日Nature Medicine誌に発表された第1相試験の結果では、すでに多くの治療を受けた患者42人において、奏効率92.9%、完全奏効率66.7%を示した。この結果は、この独特な細胞療法のアプローチが特定のリンパ腫患者に対して有望であることを示唆しているが、将来的にはより多くのがん種に適応される可能性がある。
「AFM13-NKを用いたこの新しい治療法では、即効性と優れた奏効が認められました。私たちは、このような治療困難な悪性腫瘍に対するこの治療の有効性を評価しています」と、本試験の責任医師で、研究の発表者でもある幹細胞移植・細胞療法学教授のYago Nieto医学博士は述べる。「今回のデータは、この治療法が、ある患者さんには根治的治療として、また他の患者さんには幹細胞移植への橋渡しになり得ることを示しています」。
この臨床試験の新しいアプローチでは、NK細胞上のCD16Aと、リンパ腫細胞上のCD30に結合するように設計されたAffimed社のAFM13二重特異性抗体を使用する。したがって、事前に複合化したAFM13-NK細胞は、CD30陽性リンパ腫細胞をより容易に見つけ、排除することができる。NK細胞はまずサイトカインで活性化し、人工抗原提示細胞の存在下で増殖させた後、投与する前にAFM13と複合化する。
この技術は、共同研究者であるKaty Rezvani医学博士(Sally Cooper Murray Endowed Chair in Cancer Research、幹細胞移植・細胞治療学教授、MDアンダーソン細胞治療研究所副所長兼所長)の研究室で最初に開発されたものである。同研究所を通じて、Rezvani氏と研究チームは、さまざまな疾患に対して有用となる細胞療法の開発と前進を続けている。
本試験では、CD30陽性ホジキンリンパ腫成人患者37人とT細胞リンパ腫患者5人が登録された。患者はすでに多くの治療を受け、ブレンツキシマブ ベドチンと抗PD1免疫チェックポイント阻害薬に抵抗性を示した。試験参加者の年齢中央値は43歳で、患者の治療歴は中央値で7ラインであった。
試験参加者は、2~4サイクルの化学療法を受けた後、AFM13-NK細胞を3段階の用量で3週毎に投与された。各サイクルの28日目に各患者の治療に対する奏効を評価し、その後3カ月ごとに追跡評価を行った。試験参加患者の奏効率(ORR)は92.9%、完全奏効率(CR)は66.7%であった。 ホジキンリンパ腫患者では、ORRは97.3%、CRは73%であった。追跡調査期間中央値20カ月の時点で、全参加者の2年無イベント生存率(EFS)は26.2%、生存率(OS)は76.2%であり、腫瘍が難治性で、患者に多くの治療歴があることを考えれば、期待できる結果であった。
EFS中央値は8.8カ月、OS中央値はデータカットオフ時点ではまだ未到達であり、良好な結果となる可能性が窺えた。11人の患者が少なくとも14カ月間完全寛解を維持し、何人かは治療後40カ月まで完全寛解を維持した。5人の患者は追加治療なしで完全寛解を維持し、6人は幹細胞移植を受けた。
AFM13-NK細胞治療の忍容性は良好で、サイトカイン放出症候群、免疫細胞関連神経毒性症候群、移植片対宿主病などの症例は確認されなかった。グレード2の注入関連反応が1例あった。
NK細胞に使用された各サイクルの臍帯血単位は、MDアンダーソンがんセンター臍帯血バンクから選択され、以前に最適な臍帯血単位として特定された基準に基づいて選択された。ドナーのNK細胞は注入後1日で患者の血液中でピークを示し、3週間まで持続し、腫瘍部位に浸潤した。
「私たちの臨床試験は、すでに多数の治療を受けたCD30陽性の難治性ホジキンリンパ腫患者さんにおいて、AFM13-NK細胞の良好な安全性プロファイルと有望な活性を示しました」とNieto氏は言う。「AFM13と予め複合したサイトカイン誘導メモリー臍帯血由来NK細胞を用いるこのアプローチは、ホジキンリンパ腫の治療に有望であるだけでなく、二重特異性エンゲイジャーを持つNK細胞の臨床応用に関する将来の研究をサポートするものです」
本試験はAffimed社の支援を受けた。その他の支援はMDアンダーソンおよび米国国立衛生研究所(P30CA016672)より受けた。Nieto氏は本試験を実施するためにAffimed社から財政的支援を受けた。共同研究著者の全リストおよび開示情報は原文を参照。
- 監修 パーキソン理咲 (血液内科)
- 記事担当者 平沢沙枝
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- 原文掲載日 2025/04/04
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