[AACR] 特定の進行固形がんでゼドレセルチブ+ルンレセルチブは有望な抗腫瘍活性を示す

[AACR] 特定の進行固形がんでゼドレセルチブ+ルンレセルチブは有望な抗腫瘍活性を示す

MDアンダーソン研究ニュース 2026年4月19日

● 第I相試験により、特定の進行固形がんにおけるzedoresertib[ゼドレセルチブ]とlunresertib[ルンレセルチブ]の併用療法を裏付ける初期の臨床的有効性(概念実証)が示された
● WEE1を標的とするzedoresertibと、PKMYT1阻害薬であるlunresertibは、いずれも細胞周期タンパク質を阻害することで合成致死効果をもたらす治験薬である
● この併用療法は、第2相試験の暫定推奨用量において卵巣がんに対し顕著な奏効を示し、全患者における奏効率は50%、CCNE1増幅を有する患者では60%であった
● この併用療法は、CCNE1増幅、FBXW7またはPPP2R1A遺伝子に変異を有する卵巣がん患者を対象に、FDAのファストトラック指定を取得している

アブストラクト:CT022

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らが報告した第I相MYTHIC試験のデータによると、特定の遺伝子変異を有する進行固形がん患者において、WEE1阻害薬zedoresertibとPKMYT1阻害薬lunresertibを併用するfirst-in-class[画期的医薬品]の合成致死療法は、有望な抗腫瘍活性を示し、全体的に良好な忍容性が確認された。
 
これらのデータに基づき、この併用療法は、こうした遺伝子変異を有する卵巣がん患者を対象として、米国食品医薬品局(FDA)からファストトラック指定を受けた。本日、2026年米国がん学会(AACR)年次総会の臨床試験全体会議において、主任研究者であるTimothy Yap医学博士(M.B.B.S., Ph.D.)が本研究の結果を発表した。Yap氏は、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの治療薬開発部門における副部長、臨床開発責任者を務めるとともに、がん治療学教授も兼任している。
 
「この併用療法は前臨床試験で強力な相乗効果を示しており、今回、さまざまな腫瘍タイプ、特に卵巣がんの患者さんにとって、新たな治療選択肢として大きな可能性を秘めていることが実証されました」とYap氏は述べた。「CCNE1の増幅やFBXW7およびPPP2R1A遺伝子変異を有するがん患者さんには、十分な治療法が確立されていないという課題があります。そうした患者さんにとって、この併用療法は新たな治療選択肢となる可能性があります」。
 
UT MDアンダーソンがんセンターのAACR年次総会に関する詳細情報は、MDAnderson.org/AACRでご覧いただけます。

zedoresertibとlunresertibとはどのような薬で、どのように作用するのか?

Debiopharm社が開発したzedoresertibは、高選択的で脳移行性を有するWEE1キナーゼ阻害薬である。WEE1タンパクは細胞周期の重要なゲートキーパーであり、細胞分裂が起こる前にDNA修復が行われるようすることで、がん細胞がDNA損傷を乗り越えて生き延びるのを助ける。したがって、zedoresertibによるWEE1の阻害は、CCNE1増幅による複製ストレスなど、DNA損傷を受けたがん細胞を早期に有糸分裂へと誘導し、アポトーシスを介した細胞死をもたらす。
 
同様に、Repare Therapeutics社が開発し、Debiopharm社にライセンス供与されたlunresertibは、異なる経路を介して細胞周期を調節する高選択的なPKMYT1キナーゼ阻害薬であり、FBXW7PPP2R1A、あるいはCCNE1の増幅といった特定の遺伝子変異を有する腫瘍において、合成致死を引き起こす。
 
zedoresertibとlunresertibは、生体内の複数の腫瘍タイプにおいて良好な相乗効果を示し、zedoresertibの連続投与および間欠投与のいずれにおいても、持続的な腫瘍縮小が認められた。また、この併用療法は前臨床試験においても良好な忍容性を示した。

MYTHIC試験の主な目的は何であり、どのような患者が対象となったのか?

第I相MYTHIC試験の主要目的は、zedoresertibとlunresertib併用療法の安全性および忍容性を評価するとともに、最大耐用量を特定することであった。さらに、研究者らは予備的な抗腫瘍活性、薬物動態および薬力学についても評価した。
 
進行中の本試験では、データカットオフ時点で、CCNE1増幅、FBXW7変異、PPP2R1A変異を有する進行性の治療抵抗性/難治性固形がん患者62人が登録されていた。対象には、卵巣がん、結腸直腸がん、膵臓がん、乳がんなどの患者などが含まれていたが、これらに限定されなかった。研究者らは、zedoresertib 150~260 mg/日とlunresertib 60 mgまたは80 mgを、3日投与/4日休薬スケジュールで併用する用量について検討している。

zedoresertib と lunresertibの併用により、どのような結果が得られたのか。

全投与量群において評価可能であった患者54人全体の疾患制御率は68.5%であった。標的病変を有する51人のうち、26人で腫瘍縮小が認められ、10人で画像学的奏効が得られた。
 
CCNE1増幅、FBXW7変異、またはPPP2R1A変異を有する進行卵巣がん患者において、80%で一貫した腫瘍縮小が認められ、持続的な奏効も観察された。少なくとも10人(37%)が16週間以上治療を継続し、5人(18.5%)が32週間以上治療を継続した。
 
全投与量群のすべての患者における分子学的奏効率(MRR)は47%であった。進行卵巣がん患者では、MRRは67%であった。
 
安全性プロファイルは管理可能であり、いずれの阻害薬の単剤療法時とも一貫していた。最も多く報告された副作用は、グレード 1または2の悪心、嘔吐、無力感、あるいは全身倦怠感であった。
 
有望な抗腫瘍活性および管理可能な安全性プロファイルが認められたことから、研究者らは本研究で対象とした様々ながん種において、この併用療法の投与量および投与スケジュールの最適化を引き続き進めていく予定である。
 
本研究はDebiopharm社およびRepare Therapeutics社から資金提供を受けて実施された。共著者の全リストおよび開示情報についてはアブストラクトをご覧ください。

  • 監修 勝俣範之(腫瘍内科/日本医科大学武蔵小杉病院)
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  • 原文掲載日 2026/04/19

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