プラチナ抵抗性卵巣がんの生存を改善したリラコリラント、欧州/米国で承認申請
Corcept Therapeutics社は、白金製剤耐性卵巣がん患者を対象としたrelacorilant[リラコリラント]をナブパクリタキセルとの併用療法で欧州医薬品庁(EMA)、米国食品医薬品局(FDA)に販売承認申請したと発表した。本申請のもとになった第3相ROSELLA試験では、リラコリラントがナブパクリタキセル単剤と比較して無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)を有意に延長し、忍容性も良好であることが6月、ASCO2025 で報告された。
リラコリラントは、経口で服用できる選択的グルココルチコイド受容体拮抗薬であり、免疫療法薬や従来の細胞障害性抗がん薬とは異なる作用機序を持つ。第3相ROSELLA試験には、白金製剤投与後6カ月以内に再発した上皮性卵巣がん、原発性腹膜がん、卵管がんの患者381人が参加した。患者は、リラコリラント150mg+ナブパクリタキセル80mg/m²投与群とナブパクリタキセル100mg/m²単剤投与群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。主要評価項目はPFSとOS、副次評価項目は奏効率(ORR)、臨床的有益率(CBR)、安全性などであった。
試験結果では、無増悪生存期間(PFS)中央値は併用群で6.54カ月、単剤群で5.52カ月と、リラコリラントの併用により進行や死亡のリスクが約30%減少した(ハザード比0.70, P=0.0076)。また、生存期間(OS)中央値は15.97カ月対11.50カ月であり(ハザード比0.69、 P=0.0121)、生存期間の延長が確認された。奏効率は36.9%対30.1%、臨床的有益率は51.1%対38.9%で、併用群の方が明確に優れていた。安全性の面では、重篤な副作用は併用群で35.1%、単剤群で23.7%にみられたが、リラコリラントに起因する致死的な副作用は報告されなかった。
副作用としては腸閉塞や感覚異常などがあったが、既知の毒性プロファイルの範囲内で管理可能であった。全体として、併用療法の忍容性は良好と評価された。
Humanitas大学のDomenica Lorusso医学博士は、「ナブパクリタキセルにリラコリラントを加えることで、白金耐性および難治性卵巣がんにおける新しい標準治療となる可能性があります」と述べた。また、ピッツバーグ大学のAlexander Olawaiye医師は、「この併用療法では、バイオマーカー検査が不要かつリラコリラントが経口投与可能であるため、患者が自宅で服用できるという利便性があります」と述べた。
Corcept Therapeutics社は、EMAへの承認申請に加え、米国食品医薬品局(FDA)にも新薬承認申請(NDA)を提出しており、FDAの審査完了目標日は2026年7月11日とされている。
- 監修 太田真弓(精神科・児童精神科/クリニックおおた 院長)
- 記事担当者 仲里芳子
- 参考原文
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