一般的な卵巣がんに対する特殊なナチュラルキラー細胞の有効性が非臨床で示される

研究タイトル

メソセリンの膜近位領域を標的とするCARメモリー様NK細胞が卵巣がんに有望な活性を示す

掲載誌

Science Advances誌

著者(ダナファーバーがん研究所)

Rizwan Romee医師(統括著者)、Mubin Tarannum博士(第一著者)、KhanhLinh DinhおよびJuliana Vergara医師(MMSc)

要約

新しいキメラ抗原受容体(CAR)を装備したメモリー様能力を持つナチュラルキラー(NK)細胞は、上皮性卵巣がん(EOC)細胞を用いた実験で有望な結果をもたらした。EOC細胞上のメソセリンタンパクの末端を標的とした以前の研究と比較して、この新しいCIML NK細胞は、CARが膜に近いメソセリンタンパクを標的とし、実験室のEOC細胞株および動物モデルに移植したヒトEOC細胞において優れた抗腫瘍活性を作り出した。重要なことは、この新しいCAR CIML NK細胞が腹水(腹腔内にたまり免疫系を抑制する作用のある液体)にさらされても活性を維持することが確認されたことである。この新しい細胞を腹膜がんの動物モデルでテストしたところ、がんが退縮しただけでなく、がんの主要臓器への転移も阻止した。

意義

実験室および動物モデルにおける上皮性卵巣がんに対する有効性に基づき、この新しいメモリー様CAR NK細胞は、他の選択肢がほとんどない進行卵巣がんにおいて評価されるべきであると研究者らは述べている。

資金提供

本研究は、ダナファーバー/ハーバードがんセンター卵巣がんSPORE助成金(1P50CA240243-01A1)、Ted and Eileen Pasquarello Research Fund、Expert Miracles Foundation、Robert A. and Renée E. Belfer Family Foundation、および統括著者であるRizwan Romee医師への慈善活動支援により行われた。

  • 監訳 勝俣範之(腫瘍内科/日本医科大学武蔵小杉病院)
  • 記事担当者 奥山浩子
  • 原文を見る
  • 原文掲載日 2024/07/12

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

卵巣がんに関連する記事

一部の早期婦人科がんにペムブロリズマブ+化学放射線や抗Claudin6抗体薬物複合体が有益の画像

一部の早期婦人科がんにペムブロリズマブ+化学放射線や抗Claudin6抗体薬物複合体が有益

ESMO 2024で報告された研究により、現在の標準治療に免疫療法を追加することで臨床的に意味のある利益が得られる早期の子宮体がん(子宮内膜がん)(1)および子宮頸がん(2)の新たな患...
【ASCO2024年次総会】進行卵巣がんにリンパ節郭清が不要である可能性の画像

【ASCO2024年次総会】進行卵巣がんにリンパ節郭清が不要である可能性

ASCOの見解(引用)「このランダム化第3相臨床試験は、進行卵巣がんの手術を受ける患者が、原発巣からの転移がないと思われるリンパ節の追加切除を安全に回避できる可能性を示していま...
デリケートゾーン用タルクの使用は卵巣がんリスク上昇と関連の画像

デリケートゾーン用タルクの使用は卵巣がんリスク上昇と関連

ASCOの見解「本研究は、インティメイトケア製品、特にデリケートゾーン用タルクに関連する潜在的リスクを強調している。このような製品が、特に頻繁に使用する人や20代や30代で使用...
【ASCO2024年次総会】ホルモン補充療法、エストロゲン単剤でがんリスク増加、エストロゲン+プロゲスチン併用でリスク低下の画像

【ASCO2024年次総会】ホルモン補充療法、エストロゲン単剤でがんリスク増加、エストロゲン+プロゲスチン併用でリスク低下

ASCOの見解(引用)「Women's Health Initiative研究の長期追跡調査から、閉経後の女性が結合型エストロゲン(CEE)を単独で服用した場合、プラセボを服用...