【ASCO26】高リスクの限局性前立腺がんでアパルタミド追加の選択肢

【ASCO26】高リスクの限局性前立腺がんでアパルタミド追加の選択肢

ASCOの見解(引用)

「これは、根治的前立腺全摘除術を受けた高リスクの限局性前立腺がん患者において、臨床的に意義のある評価項目の改善を実証した、初めての説得力のあるランダム化比較試験です。病理学的完全奏効率は9%近くに達し、アンドロゲン除去療法単独と比較して無転移生存期間が20%改善したことから、アンドロゲン除去療法にアパルタミド(販売名:アーリーダ)を追加することは、再発リスクの高い手術患者の転帰を明らかに改善することが示されました。とはいえ、現時点では、初期段階での手術や、放射線療法とアンドロゲン除去療法の併用といった既存の治療法との直接的な比較は行われていません」と、William K. Oh医師(イェール大学医学部、ASCO泌尿生殖器がんエキスパート)は述べた。

試験概要

焦点高リスクの限局性前立腺がん患者
対象者世界18カ国から2,109人
主な結果高リスク前立腺がん患者において、根治的前立腺全摘除術を受け、アパルタミドとアンドロゲン除去療法(ADT)を併用した群は、プラセボとアンドロゲン除去療法を併用した群と比較して、がんの再発や転移を認めずに生存する期間がより長かった。
意義・ 前立腺がんは、米国の男性におけるがんによる死亡原因の第2位である。アメリカがん協会(ACS)の推計によると、2026年には333,830人が前立腺がんと診断され、36,000人以上が死亡するとされている。
・ 前立腺がん患者の多くにおいて、最初の治療は前立腺を摘出する手術(根治的前立腺全摘除術)である。しかし、高リスク患者の約半数では、がんが再発する。
・ がんの再発を防ぐために、アンドロゲン除去療法による治療を行うことがある。アンドロゲン除去療法は、前立腺がんの増殖を促進するアンドロゲンの体内での生成を抑制する。
・ アンドロゲン受容体経路阻害薬(ARPI)は新たな治療選択肢である。アパルタミドなどのアンドロゲン受容体経路阻害薬は、アンドロゲンの作用を阻害する。アンドロゲン除去療法アンドロゲン除去療法と併用することで、前立腺がんの再発や転移を防ぐ効果を期待できる。

第3相PROTEUS試験の結果により、高リスクの限局性前立腺がん患者において、アパルタミドとアンドロゲン除去療法を手術と併用する治療は、アンドロゲン除去療法と手術のみを行う場合と比較して、副作用をほとんど増やすことなく、疾患の進行を遅らせたり予防したりできることが明らかになった。この研究結果は、5月29日から6月2日にシカゴで開催される2026年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表される。

試験について

「本試験では、腫瘍を縮小させ、存在する可能性のある微小病変を除去し、長期的な予後の改善を目的とした、強化アンドロゲン除去療法について検討しました。良好な結果が得られたことから、アパルタミドとアンドロゲン除去療法を根治的前立腺全摘除術と併用する治療は、高リスクの限局性前立腺がん患者に対する新たな治療選択肢となり得ることが示されました」と、本研究の筆頭著者である Mary-Ellen Taplin 医師(ダナ・ファーバーがん研究所)は述べた。

本試験は、手術の前後にアパルタミドとアンドロゲン除去療法を併用することで、プラセボとアンドロゲン除去療法を併用した場合と比較して、転移の発生を抑制できるかどうかを評価する目的でデザインされた。本試験には、世界118施設から2,109人の患者が登録された。患者の年齢中央値は66歳であり、人種別では白人が69.4%、アジア人が19.3%、黒人またはアフリカ系アメリカ人が3.7%であった。患者の前立腺特異抗原(PSA)値の中央値は14.8 ng/mLであり、大多数が高リスク疾患を示すグリーソンスコア8以上であった。いずれの患者も前立腺がんに対する治療歴はなかった。
 
試験に参加した患者は2群に分けられた。全員が根治的前立腺全摘除術を受け、術前6カ月間および術後6カ月間にわたりアンドロゲン除去療法を受けた。2つの群の違いはアンドロゲン除去療法に併用された治療薬にあり、1,057人がアパルタミドを投与され、1,052人がプラセボを投与された。

主な知見

 追跡期間中央値が約62カ月の時点で、根治的前立腺全摘除術の前後にアパルタミドを投与することで、高リスク前立腺がん患者の治療成績が改善したことが示された。
 術前治療としてアパルタミドを投与された患者は、前立腺摘除術を受ける時点で腫瘍細胞が大幅に減少している可能性が約10倍高かった。病理学的完全奏効または微小残存病変を達成した割合は、アパルタミド群で8.9%、プラセボ群で1.0%であった。
 アパルタミドを投与された患者では、前立腺がんの再発リスクが29%低下した。術前および術後のアパルタミド治療により、無イベント生存期間の中央値は、プラセボ群で38.4カ月、アパルタミド群では57.1カ月へと延長した。
 アパルタミドによる治療は、プラセボと比較して転移リスクを20%低下させ、5年無転移生存率はプラセボ群で73.5%、アパルタミド群で78.2%となり、改善が認められた。

プラセボ群と比較して、アパルタミド群では重篤かつ生命を脅かす(グレード3~4)有害事象の発生率が高く、アパルタミド群で39.6%、プラセボ群で31%に認められた。両群で頻度の高かった有害事象は、リンパ液の貯留(リンパ嚢腫)と尿路感染症であった。プラセボ群では肺塞栓症も発生した。アパルタミド群において、治療中止の最も多い理由は発疹であった。

次のステップ

研究者らは、PROTEUS試験のデータを用いて、腫瘍縮小の程度と長期的な転帰との関連性を評価する予定である。さらなる解析では、どの患者がアパルタミドの恩恵を受けるか、また治療効果が最終的に失われる可能性があるかを予測するのに役立つバイオマーカーについて調査を行う。さらに、研究者らは患者報告アウトカムを分析し、治療が生活の質に及ぼす影響を評価する予定である。
 
PROTEUS試験は、ジョンソン・エンド・ジョンソン社の資金提供を受けて実施された。

  • 記事担当 青山真佐枝
  • 監修 榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)
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  • 原文掲載日 2026/05/31

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