エンザルタミドは進行前立腺がんの生存期間を延長

エンザルタミド(販売名:イクスタンジ)とアンドロゲン除去療法(ADT)の併用により、転移性ホルモン感受性前立腺がんの男性の5年生存率が大幅に向上することが、デュークがん研究所主導による国際ARCHES研究の5年間追跡調査で明らかになった。

骨転移が5カ所以上ある、あるいはがんが肝臓や肺に転移している高ボリューム前立腺がん(high volume disease)の男性患者では、5年生存率が13%向上した。これらの患者は通常、診断後の生存期間が最も短い。

本研究では、併用療法により、高ボリューム病変患者の生存期間が約4年から7年へと3年延長したことが明らかになった。低ボリューム病変患者では、この新たな治療法により生存率が9%向上し、患者の75%以上が5年以上生存した。

「前立腺がんの臨床試験で、中央値がこれほど改善したことはありませんでした。平均余命が3年延びることは、患者さんにとって大きな意味を持ちます」と、筆頭著者のデューク大学医学部教授Andrew Armstrong医師は述べる。「これらのデータは、より強化された治療を行うことで、患者さんが寛解状態を維持し、質の高い生活を楽しみ、病状が制御された状態を維持し、人生の重要な節目に到達できることを示しています」。

FDAは、ARCHES臨床試験の結果を受けて、2019年に去勢抵抗性(監訳者注:去勢感受性の誤り)前立腺がん患者に対してエンザルタミドを承認した。この試験には、世界中の施設で1,150人の男性が登録された。参加者は2つのグループに無作為に分けられ、半数はエンザルタミド+ADT併用療法、残りの半数はADT+プラセボ投与を受けた。

エンザルタミド+ADT併用療法を受けた男性の5年生存率は66%であったのに対し、ホルモン療法のみを受けた男性では53%であった。より強化されたホルモン療法を受けた患者では、プラセボ群と比較して死亡リスクが30%低下した。

エンザルタミドは、アンドロゲン受容体を阻害することで作用し、テストステロンによるがん細胞の生存と増殖を阻害する。年齢、がんの広がり、化学療法などの治療歴、がんがリンパ節や骨などの体の他の部位に転移した時期に関わらず、延命効果があることがわかっている。

「この生存率解析は、転移性ホルモン感受性前立腺がんに対するエンザルタミド+ADT併用療法の長期的な有用性を明らかにしています」とArmstrong医師は言う。「この解析は、すべての患者に最初から治療強化を提案すべきであることを示しています。まれな場合を除き、ADT単独によるホルモン療法という古い治療法を提案すべきではありません。治療強化は現在、標準治療となっています」。

5年全生存期間の結果は、シカゴで開催される米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で6月3日に発表される。

  • 監修 榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)
  • 記事担当者 山田登志子
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  • 原文掲載日 2025/05/22

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