難治性腎がんに新規CAR-T細胞療法が有望な治療選択肢に

難治性腎がんに新規CAR-T細胞療法が有望な治療選択肢に

MDアンダーソン研究ニュース 2026年7月14日

淡明型腎細胞がん(ccRCC)は腎がんの中で最も多い型であり、標準治療後に病勢進行した患者では、治療選択肢が限られ、予後も極めて不良である
CD70を標的とするCAR-T細胞療法「ALLO-316」は、既治療の進行淡明型腎細胞がん患者において有望な結果を示した
本データは、固形がん治療における細胞療法の発展に大きな可能性があることを示している
 
テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らが主導した第1a/b相臨床試験の結果によると、CD70を標的とする同種キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法「ALLO-316」の投与を受けた進行淡明型腎細胞がん(ccRCC)患者において、持続的な奏効を含む有望な治療成績が認められた。

TRAVERSE臨床試験の結果がJournal of Clinical Oncology誌に掲載された。本試験は、初めてヒトに投与する(first-in-human)試験であり、免疫チェックポイント阻害薬およびチロシンキナーゼ阻害薬による治療後に病勢進行を認めた転移性淡明型腎細胞がん(ccRCC)患者を対象に、ALLO-316を評価した。第1a相試験では、ALLO-316の推奨投与量およびリンパ球除去療法のレジメンを確立するとともに、安全性プロファイルが管理可能であることが示された。第1b相試験では、患者の約半数で腫瘍の増殖が停止または著しく縮小し、一部の患者ではALLO-316の単回投与後、1年以上も奏効が持続した。

「標準治療後に病状が進行した進行淡明型腎細胞がんの患者では、治療選択肢が極めて限られており、これまで治療成績も不良でした」と、治験責任医師であるSamer Srour医師(M.B. Ch.B.)(幹細胞移植・細胞療法部門の准教授)は述べた。「長年にわたり、CAR-T細胞療法は血液腫瘍の予後を劇的に改善してきましたが、固形がんにおいてその成功を再現することは困難とされてきました。今回の結果は、CAR-T細胞療法の可能性を腎がんやその他の固形がんへと拡大する上で、重要なマイルストーンとなるものです」。

淡明型腎細胞がんに対するCAR-T細胞療法の試験における主な知見は何か

本試験には、これまでに平均4種類の治療歴があるステージ4の患者51人が登録された。このうち46人が治療を受け、追跡期間の中央値は28.8カ月であった。
 
第1a相試験では、用量設定および安全性に関する結果が得られたことにより、第1b相の拡大コホートへ試験を進めることが可能となった。CD70陽性で、多くの治療歴を有する患者23人が登録され、そのうち20人がALLO-316の投与を受けた。

第1b相コホートの患者の半数で病勢コントロールが認められ、CD70高発現(50%以上)患者では、客観的奏効率は31.3%に達した。同コホートの全生存期間中央値は15.2カ月であったが、CD70高発現患者では全生存期間中央値は未達であった。これらの結果は、CD70発現レベルが、ALLO-316による治療から最も利益が得られる可能性の高い患者を特定する上で有用である可能性を示唆している。
 
全体として、本治療の安全性プロファイルは管理可能であり、血液腫瘍におけるこれまでの知見と一致していた。重度の神経毒性や移植片対宿主病は認められなかった。

ALLO-316とは何か

ALLO-316は、腎がん細胞に広く発現しているタンパク質であるCD70を標的とするよう設計された、すぐに使用可能な(オフ・ザ・シェルフ)CAR-T細胞療法製剤である。患者自身の細胞から作られる従来のCAR-T細胞療法とは異なり、ALLO-316は健康なドナーの細胞を由来とし、がん細胞を攻撃しながら免疫拒絶反応を回避できるよう遺伝子改変されている。

再発または難治性の淡明型腎細胞がんにおいて、なぜ新たな治療法が必要なのか

淡明型腎細胞がんは、腎がんの中で最も多くかつ悪性度の高いタイプのがんであり、典型的には進行した段階で診断されるまで症状がほとんど現れない。TRAVERSE試験に参加した患者の多くは、利用可能な複数の治療法をすでに使い切っており、予後は不良で、生存期間は数カ月単位と見込まれる状況であった。
 
免疫チェックポイント阻害薬や分子標的治療薬によって治療成績は改善しているものの、多くの患者では最終的にこれらの既存治療に反応しなくなることから、新たな治療選択肢の開発が強く求められている。
 
研究者らは、TRAVERSE試験の結果が、同種CAR-T細胞療法を固形がんに対して有効に適用できることを示す証拠となると述べている。現在、淡明型腎細胞がんにおけるALLO-316の臨床開発をさらに進めるとともに、この新規治療法をCD70を発現する他のがん種へ適応拡大するための研究が進められている。

本研究は、UT MDアンダーソンとの戦略的提携の一環として、Allogene Therapeutics社から資金提供を受けて実施された。共同執筆者の全リスト、開示事項、および資金提供元については、Journal of Clinical Oncology誌に掲載された論文全文をご覧ください。

  • 記事担当 青山真佐枝
  • 監修 榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)
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  • 原文掲載日 2026/07/14

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