アビラテロン併用で前立腺がん患者の生存期間が延長 | 海外がん医療情報リファレンス

アビラテロン併用で前立腺がん患者の生存期間が延長

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アビラテロン併用で前立腺がん患者の生存期間が延長

ASCO(米国臨床腫瘍学会)

ASCOの見解

「本研究は、主に転移前立腺がん患者の標準ホルモン療法にアビラテロンを追加することを支持する有力なエビデンスを示すものであり、これにより、同条件下においてアビラテロンを標準治療として確立するエビデンスを一層強固なものにしています」と、ASCO専門委員のSumanta Kumar Pal医師は言う。

 

およそ2,000人を対象とした臨床試験では、高リスクの進行前立腺がんの標準治療に酢酸アビラテロン(ザイティガ)を追加すると、相対死亡リスクが37%低下することが示された。3年生存率は、標準治療単独群で76%、標準療法とアビラテロンの併用群で83%であった。これは進行前立腺がんの一次治療として、アビラテロンを検討した最大規模の試験である。

 

本研究は、本日の記者会見で紹介され、2017年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会での発表が予定されている。

 

「アビラテロンにより生存期間が延長しただけでなく、再発率が70%、重篤な骨合併症の発症率が50%低下しました」と本研究の筆頭著者であり、英国バーミンガムにあるQueen Elizabeth病院の臨床腫瘍科教授である Nicholas James医学博士は言う。「臨床上の利点の大きさに基づいて、新たに診断された進行前立腺がん患者に対する最新のケアは変わるはずだと考えています」。

 

テストステロンは前立腺がん細胞の増殖を促す。アンドロゲン除去療法(ADT)では、睾丸からのテストステロンやこれと同様のホルモン(アンドロゲン)の産生を抑制することで、前立腺がんの増殖を遅らせる。ADTを実施したにもかかわらず、前立腺や他の体内器官では、少量のテストステロンやその他のアンドロゲンが産生され続ける。アビラテロンは、他のホルモンをアンドロゲンに変換する酵素を標的として、体内のテストステロンと他のアンドロゲンの産生を阻害する。

 

試験内容

STAMPEDEは、英国とスイスで現在進行中の多群多段階ランダム化臨床試験である。今回の解析結果では、ADTを開始した高リスク前立腺がん患者を対象に、標準療法と標準療法+アビラテロンとを比較した。患者は局所進行または転移がんのいずれかを有しており、全員が初回の長期標準ADTを開始していた。標準療法は2年以上のADTとしたが、局所進行がん患者(全患者の48%)については、ADTに加えて放射線療法を受けることを可能とした。

 

臨床試験デザインに対する新たなアプローチを採用したことで、この比較では、多くの研究者主導による試験と比べて、はるかに迅速に患者が募集され、STAMPEDEでは20年間の間に少なくとも10以上の比較試験を実施し、そこから得られた無作為化データが報告される予定である。

 

主な知見

追跡期間中央値40カ月の時点で、標準治療群では262人、アビラテロン群では184人が死亡した。 3年生存率は、アビラテロン群で83%、標準療法群で76%であった。標準治療と比較して、アビラテロンにより治療不成功(画像または症状の悪化、あるいはPSA値の上昇で測定)の相対的可能性が71%低下した。この効果は、試験に登録された異なったサブグループにわたって一貫していた。

 

全体として、副作用は両群間で同様であった。重篤な副作用は、アビラテロン群でより頻度が高く、標準治療群での発生率29%に対してアビラテロン群では41%に生じた。アビラテロンにより頻繁に生じる主な副作用は、高血圧など心血管系の症状であり、肝臓の問題の頻度も高かった。治療に関連した死亡は、アビラテロン群で2例、標準治療群で1例認められた。

 

今後の展開

これまでの臨床試験3件の結果から、転移前立腺がん患者の初回ADTに化学療法ドセタキセル(タキソテール)を追加投与することで、同様の効果が示された。この2つの治療法を組み合わせることで、患者が両薬剤の恩恵を受けることができるかを調べる研究が必要である。このことに関しては、現在までのところ不明であり、研究者らは、あるサブグループではドセタキセルまたはアビラテロンのいずれかの追加投与はより有益となるかを調べるために、本試験で収集した組織検体の分子分析を計画している。本試験のデータは、「ネットワークメタ解析」という手法を用いて、ドセタキセル、アビラテロンおよびその他の治療法を追加した結果を間接的に比較する上でも有用である。

 

「がんの進行が速い特定の患者が、アビラテロンとドセタキセルを併用することで、利益を得られる可能性はあるが、このことを確認するにはさらなる研究を要します」とジェームス博士は述べた。

 

本試験はCancer Research UK、Medical Research CouncilおよびJanssenからの助成ならびにAstellas、Clovis Oncology、Janssen、Novartis、PfizerおよびSanofi-AventisによるSTAMPEDE試験計画書への追加寄付による資金提供を受けた。

 

全要約はこちら: full abstract.

原文掲載日

翻訳今泉眞希子

監修榎本裕(泌尿器科/三井記念病院)

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