かつて開発されたがんワクチンが長期生存への鍵を握る可能性
数十年前に開発された乳がんワクチンが強力な免疫記憶反応を引き起こし、その効果は新抗体によって現在さらに大幅に強化できる可能性が新たな研究により示された
20年以上前、進行乳がんの女性からなる小規模なグループが、臨床試験においてワクチンの投与を受けた。そして今も、全員が生存している。研究者らによると、転移乳がん患者においてこのような長期生存はほとんど前例がなく、そのため現在、研究者の注目を集めている。
デューク大学医療センターの研究者らは、この臨床試験に参加した女性たちの免疫システムについて研究した。本研究は、デューク大学医学部のジョージ・バース・ゲラー免疫学名誉教授であるHerbert Kim Lyerly医師が主導したものである。驚くべきことに、彼女たちは今なお自身のがんを認識する強力で持続的な免疫細胞を保持していることが、本研究で明らかとなった。
これらの免疫細胞はCD27と呼ばれる特別なマーカーを持っており、免疫システムががんのような脅威を記憶し、攻撃するのを助ける働きを持つ。10月28日付のScience Immunology誌に掲載された本研究の結果は、CD27を標的とすることで、がんワクチンの効果を飛躍的に高められる可能性を示している。
「長い年月を経ても、このような持続的な免疫反応が認められたことに私たちは驚きました」と、本研究の統括著者であり、デューク大学医学部の外科学、統合免疫学、病理学部門の准教授であるZachary Hartman博士は述べた。「そこで、もしこの免疫反応をさらに強化できたらどうなるのだろうかと考えたのです」。
それを確かめるため、CD27を標的とした刺激性抗体と、HER2(乳がんを含めた一部の細胞表面に存在するタンパク質)を標的としたワクチンの組み合わせを、様々なマウスモデルで検証した。その結果、併用投与したマウスの40%近くで腫瘍が完全に退縮したのに対し、ワクチンのみではわずか6%であった。
研究者らは、この抗体がCD4陽性T細胞と呼ばれる免疫細胞を強力に活性化することで作用していることを明らかにした。
Hartman博士は、CD8陽性キラーT細胞に焦点が当てられる傾向にあるがん研究において、CD4陽性ヘルパーT細胞は見落とされがちであると述べた。また、本研究はCD4陽性細胞がこの免疫反応の強化において中心的な役割を果たしており、長期免疫記憶の促進および他の免疫細胞がより効果的に機能するのを助けていることを示しているとも、Hartman博士は述べた。
さらに、CD8陽性T細胞を助ける別の抗体を後から追加投与することで、マウスにおける腫瘍拒絶率は90%近くにまで向上した。
「この研究は、私たちの認識を大きく変えるものです」と、Hartman博士は述べた。「CD4陽性T細胞は単なる脇役ではなく、それ自体ががんと闘う強力な存在であり、真に効果的な抗腫瘍応答に不可欠である可能性を示しています」。
研究者チームはまた、CD27抗体はワクチンと同時に1回投与するだけで持続的な効果を発揮することを明らかにした。このことから、免疫チェックポイント阻害剤や抗体薬物複合体など、すでに患者に用いられている既存のがん治療薬と併用しやすくなる可能性がある。
Hartman博士は、このアプローチががんワクチンの潜在能力を最大限に引き出せる可能性があると考えている。
「ワクチンががんに有効であることは長年知られていたが、期待されたほどの効果は得られていなかった」と、彼は述べた。「これが、欠けていたパズルの最後のピースなのかもしれない」。
本研究は、米国国立衛生研究所(117 R01CA238217-01A1/02S1)および米国国防総省(W81XWH-20-1-034618 and W81XWH-21-2-0031)の支援を受けた。
- 監修 下村昭彦(腫瘍内科/国立国際医療センター乳腺・腫瘍内科)
- 記事担当者 田村克代
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- 原文掲載日 2025/10/28
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