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低腫瘍量の濾胞性リンパ腫では、再燃後リツキシマブ再治療は同維持療法に匹敵

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低腫瘍量の濾胞性リンパ腫では、再燃後リツキシマブ再治療は同維持療法に匹敵

米国国立がん研究所(NCI)臨床試験結果

要約

ランダム化臨床試験が実施され、リツキシマブ(リツキサン)による初回治療が奏効した低腫瘍量濾胞性リンパ腫では、引き続きリツキシマブによる維持療法を実施した場合も、病勢進行が明らかになってからリツキシマブで再治療した場合も、疾患抑制効果に差がないことが明らかになりました。

リツキシマブが奏効しなくなるまでの期間(治療不成功までの期間)の中央値は、両治療グループともほぼ同じでした。

出典

2014年8月25日Journal of Clinical Oncology(論文抄録参照)

背景

濾胞性リンパ腫は、B細胞性非ホジキンリンパ腫のなかで頻度が高いもののひとつです。濾胞性リンパ腫は、一般に進行が遅く、症状がほとんどありません。濾胞性リンパ腫は、通常、進行期に診断されますが、生存期間の中央値は診断から8~15年です。

症状のない低腫瘍量濾胞性リンパ腫には、治療法がいくつかあります。そのひとつに、すぐに治療を開始せず、注意深く経過観察(待機療法)をする選択肢があります。治療は、症状や病勢進行の徴候などが現れ始めたときに開始します。

もうひとつの選択肢に、B細胞上のCD20と呼ばれるタンパク質に結合し、腫瘍細胞を死滅させるモノクローナル抗体であるリツキシマブを用いた治療法があります。リツキシマブは多くの場合、濾胞性リンパ腫の導入療法の一部として用いられます。さらに、導入療法が奏効した患者には、寛解を維持するため、一定間隔で継続して投与する維持療法として使用されることもあります。しかし、低腫瘍量濾胞性リンパ腫では、リツキシマブの至適投与スケジュールが未だ試験によって確立されていません。

試験

米国の多数のがんセンターが参加したRESORT試験(Rituximab Extended Schedule or Re-Treatment Trial)には、進行が緩やかな(低悪性度)リンパ腫で、これまでそのリンパ腫に対する治療を受けたことがない患者545人が登録されました。この論文では、登録患者のうち、濾胞性リンパ腫の408人の試験成績が報告されました。

患者は、導入療法として、週に1回のリツキシマブの投与を4回受けましました。リツキシマブ単剤による導入療法によって部分寛解または完全寛解が得られた289人が、3カ月に1回、リツキシマブの維持療法を受けるグループと、濾胞性リンパ腫の再発または進行が明らかになった場合にリツキシマブの再治療を受けるグループに無作為に割り付けられました。

試験の主要評価項目は、治療不成功までの期間でした。副次評価項目は、細胞傷害性療法(たとえば、化学療法、放射線療法、放射免疫療法)を受けるまでの期間、副作用および健康関連QOLでした。

試験担当者らはこのほか、事前に定められた評価項目にはありませんでしたが、患者が受けたリツキシマブの回数と全生存を報告しました。

RESORT試験は、米国国立癌研究所の支援を受け、Eastern Cooperative Oncology Groupが実施したものです。ウィスコンシン大学医学部および公衆衛生学部のBrad S. Kahl医師が試験を主導しました。

結果

治療不成功までの期間は、治療グループ間で統計学的な有意差はありませんでした。追跡期間中央値4.5年の時点で、治療不成功までの期間の推定中央値は、リツキシマブの維持療法を受けたグループでは4.3年、リツキシマブの再治療を受けたグループでは3.9年でした。追跡期間3年の時点で、再治療グループの61%と、維持療法グループの64%が、治療不成功となる事象を経験していました。

追跡期間3年の時点で、維持療法グループの95%と再治療グループの84%が細胞傷害性療法による治療を開始していませんでした。この差は統計学的に有意なものでした。

健康関連QOLに関しては、試験のいずれの時点でも両グループに差はありませんでした。

維持療法を受けた患者は、再治療グループよりもはるかに多くのリツキシマブの投与を受けていました。導入療法を含めたリツキシマブの投与回数中央値は、維持療法グループが18回に対して、再治療グループでは4回でした。

両グループとも、重篤な副作用(グレード3、4、5)の頻度は低く、いずれの治療法も良好な耐容性が示されました。維持療法グループの14人と再治療グループの16人に二次がんが発症したと報告されました。特定の二次がんが発症するという明確な傾向はいずれのグループにも認められませんでした。リツキシマブによる維持療法グループの1人が、進行性多巣性白質脳症を発症し死亡しました。

死亡例は稀で、再治療グループで11人、維持療法グループで13人でした。全生存率は、両グループとも94%でした。

制限事項

「PRIMA試験(Primary Ritxumab and Maintenance)によって、維持療法の方が経過観察よりも無進行生存期間が長いことが示された2011年以降は、 濾胞性リンパ腫に対するリツキシマブによる2年間の維持療法を実臨床で使用してしまうケースが増加してしまいました」と、NCI癌研究センターのMark Roschewski医師が述べています。(しかし、PRIMA試験に登録されたのは高腫瘍量濾胞性リンパ腫患者でした)。

しかし、リツキシマブによる維持療法は、実臨床ではRESORT試験で採用されたようなリツキシマブ単剤による導入療法ではなく、PRIMA試験のようにリツキシマブと化学療法を併用する導入療法後に実施されることがほとんどです。

このように導入療法が異なるため、RESORT試験は、濾胞性リンパ腫の治療に現在最もよく用いられている「維持(療法)の是非に対する直接の解答ではないという点に注意が必要です」とRoschewski医師は指摘しています。

さらに論文著者らも、再治療グループに割り付けられた患者の「優れた試験結果」は、試験デザインによって、リツキシマブによる導入療法が奏効した患者のみを再治療グループに組み入れたことも一因であると言及しています。「それでも、リツキシマブによる導入が奏効する場合は、この(再治療)療法により、化学療法や放射線療法を何年ものあいだ回避することができる可能性がきわめて高い」と記しています。

コメント

RESORT試験の結果は、影響が多方面にわたる可能性があると著者らは述べ、「(リツキシマブ維持療法が)これほど広く使用されていることを考えると、資源利用に及ぼす影響は大きい」と書いています。

Roschewski医師も同意しています。今後、試験によって「計画的維持療法が有益である一部の患者」が明らかになる可能性は否定できないものの、「計画的維持療法に有益性が認められなかったことには大きな価値があると思います」と述べています。

ロチェスター大学Wilmotがん研究所のJonathan W. Friedberg医師は、付随する論説の中でRESORT試験を「診療を一変させる試験」であるとしています。「リツキシマブによる再治療によって遜色のない結果が得られることを考えると、リツキシマブ維持療法は、新たに低腫瘍量濾胞性リンパ腫と診断され、リツキシマブ単剤による導入療法が奏効する患者に今後実施するべきではない」と記しています。

 

 

 

原文掲載日

翻訳中村幸子

監修佐々木裕哉(血液内科、血液病理/久留米大学病院)

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