【ASH25】ダナファーバーの発表:鎌状赤血球症、マクログロブリン血症、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、骨髄異形成症候群
ダナファーバーがん研究所は、第 67 回米国血液学会年次総会(2025年12月6日〜9日、米国フロリダ州オーランド)において、120件を超える口頭発表およびポスター発表を行い、患者ケアと転帰の改善を目的とした基礎研究の発見から臨床試験に至るまでの進展を紹介した。
B細胞リンパ腫における化学療法を行わない期間限定治療戦略、ワルデンストレームマクログロブリン血症における固定期間の標的治療レジメン、鎌状赤血球症の病態形成メカニズムに関する洞察、高リスク骨髄異形成症候群(MDS)を対象とした第3相試験のサブグループ解析、小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)における患者中心の転帰研究、などの研究データがダナファーバーの研究者により発表された。
ASH 2025でダナファーバーが発表した研究一覧は、こちら。
ASH 2025 ダナファーバー発表の研究ハイライト
- Lachelle Weeks医師は、「鎌状赤血球症は、DNA損傷応答経路の変異を伴う早発性クローン性造血と関連」を発表。
会場と日時:OCCC-W311ABCD、12月6日(土)09時45分〜10時00分 EST - Jacqueline Garcia医師(上級著者):「治療歴のない中間リスクおよび高リスク骨髄異形成症候群患者を対象に、ベネトクラクス(商品名:ベネクレクスタ)+アザシチジン(商品名: ビダーザ)(Ven+Aza)と、プラセボ+アザシチジン(Pbo+Aza)を比較したランダム化第3相VERONA試験のサブグループ解析」
発表者:Guillermo Garcia-Manero医師
会場と日時:OCCC-Valencia Room W415BC、12月6日(土)午後2時 - Kira Bona医師(上級著者):「小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)治療中における経済的毒性の指標としての、世帯の物質的困窮および所得減少の累積発生率:DFCI ALL 16-001試験からの報告」
講演者:Daniel Zheng医師(MHS、MSHP)
会場と日時:OCCC-W230、12月7日(日)午後4時45分 - Jorge Castillo医師およびShayna Sarosiek医師は、ワルデンストレームマクログロブリン血症における標的・期間限定治療について発表。
・Castillo氏は、「既治療ワルデンストレームマクログロブリン血症におけるピルトブルチニブとベネトクラクス併用による高いVGPR/CR率:多施設第2相試験の結果」を発表。
会場と日時: OCCC-Tangerine Ballroom F2、12月6日(土)午後2時30分
・Sarosiek氏は、「再発/難治性で、高リスクかつTP53変化を伴う症例を含むワルデンストレームマクログロブリン血症患者における、ロンカスツキシマブ テシリン治療後の深い奏効(WM-NET1試験)」を発表。
会場と日時:OCCC-West Hall E2、12月7日(日)午後1時 - Reid Merryman医師およびAustin Kim医師は、B細胞リンパ腫における化学療法を用いない治療戦略について発表。
・Merryman氏は、「高腫瘍量の濾胞性リンパ腫患者に対する一次治療としてのリツキシマブとエプコリタマブ (商品名:エプキンリ):多施設第2相試験の結果」を発表。
会場と日時:OCCC-West Hall D2、12月7日(日)午前9時45分〜10時00分
・Kim氏は、「マントル細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、その他の低悪性度B細胞リンパ腫:臨床および疫学―マントル細胞リンパ腫に対する新規治療と知見」を発表。
会場と日時:OCCC-Tangerine Ballroom F2、12月7日(日)午後5時15分
BPDCNにおいて3剤併用療法が活性と移植可能性を示す TAG AZA VENは第2相試験で有効性と忍容性を示した
Andy Lane医師は、治療選択肢が限られる稀で悪性度の高い血液がんである芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)を対象としたTAG-AZA-VEN (タグラクソフスプ、アザシチジン、ベネトクラクス)の第2相試験結果を発表した。タグラクソフスプは唯一承認されている治療であるが、多くの患者が再発し、5日間投与スケジュールでは毛細血管漏出リスクのため集中的なモニタリングが必要となる。本研究では、TAG-AZA-VENにおいてTAGを3日間に短縮して投与したところ、忍容性は良好で、毛細血管漏出の発生率はTAG単剤と同等かそれ以下であった。初期転帰(奏効率、移植率、生存)は、TAG単独またはAZA-VEN単独と同等かそれ以上であるように見えたが、直接比較試験ではない点に留意が必要である。このレジメンはモニタリングの負担を軽減する可能性があり、AZA-VENがBPDCNと同時に骨髄異形成症候群や慢性骨髄単球性白血病などの併存する骨髄系疾患を治療可能であることから、これらの患者にさらなる有用性が示唆される。
「これらの初期結果は、併存疾患に対処しながら、患者さんを治療の軌道に乗せ、多くの場合は移植へとつなげることができる、より安全で実行可能性の高い選択肢を示しています」とLane氏は述べる。
●研究タイトル:タグラクソフスプ、アザシチジン、ベネトクラクス(TAG AZA VEN)による3剤併用療法が、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)患者において有効性、忍容性、移植可能性を示した第2相試験の結果
●セッション:OCCC-Chapin Theater(W320)、12月7日(日)午後5時30分から5時45分 EST
HLA不一致非血縁ドナー移植後GVHD予防の進歩― ACCESS拡大試験における移植後シクロホスファミド戦略
Mahasweta Gooptu医師は、強度減弱前処置を行ったHLA不一致非血縁ドナー移植後における、移植後シクロホスファミドを用いた移植片対宿主病(GVHD)予防についての第2相試験結果を発表した。本研究はNMDP主導のACCESS拡大試験として実施された。このアプローチは、疾患制御を維持しながらGVHD予防を改善することを目的としており、完全一致ドナーを有さない患者に対する安全な移植選択肢を拡大する可能性がある。
「私たちの目標は、不一致の非血縁ドナー移植をより安全で、より利用しやすいものにすることです」とGooptu氏は述べる。「この戦略が良好な忍容性とGVHD制御を示し続ければ、ドナーを緊急に必要とする患者さんに対する治癒的選択肢を広げることができます」。
●研究タイトル:HLA不一致非血縁ドナー移植および強度減弱前処置後における、移植後シクロホスファミドを用いた移植片対宿主病(GVHD)予防の第2相試験―NMDP支援ACCESS拡大試験の結果
●ポスターセッション:OCCC-West Halls B3–B4、12月7日(日)午後6時
PROMISE試験は骨髄腫前駆状態の早期発見を前進させ、リスク評価を向上させた
Sabine Allam医師は、質量分析を用いて骨髄腫前駆状態について高リスク者を対象に実施された、米国初の全国規模スクリーニングであるPROMISE試験の結果を発表した。本研究では約30,000人を検査したところ、全体で12.6%に意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)が認められた。高リスク群のうち50歳以上の成人では、有病率は血液がんの家族歴を有する非黒人参加者の14.8%と比べ、黒人参加者で17.8%と高かった。年齢が最も強力な予測因子であり、アフリカ系の遺伝的祖先も有病率の高さと関連していた。研究チームは、集団ごとにMGUSのタイプや濃度に差があることも観察し、リスク評価およびフォローアップが向上するような生物学的手がかりを示した。患者にとってこれは、最もリスクの高い人をより早期に特定できることを意味し、より厳密なモニタリングと適切なタイミングでの介入を可能にすることで、多発性骨髄腫の発症予防につながる。
「この研究はリスクが非常に高い人々に、早期発見の機会を提供できるかどうかを検証しました。PROMISE試験は、簡単な血液検査でこれを大規模に実施でき、年齢や祖先に結び付いたリスクを活用して、より賢く公平なスクリーニングを行えることを示しています」とAllam氏は述べた。
●研究タイトル:単クローン性ガンマグロブリン血症について約30,000人をスクリーニングしたPROMISE試験の結果
●セッション:OCCC-West Hall E2、12月6日(土)午後4時
【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。
血液腫瘍に関連する記事
米FDAが白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫にピルトブルチニブを通常承認
2025年12月19日
米FDAが再発/難治性の辺縁帯リンパ腫にリソカブタゲン マラルユーセルを承認
2025年12月19日
慢性リンパ性白血病患者の生涯を通じてのイブルチニブ服用量を減らせる可能性がある併用療法
2025年12月5日
急性骨髄性白血病の治療には年齢への柔軟性が必要と示唆される
2025年12月9日



