FDAが低悪性度上部尿路上皮がんにマイトマイシンを承認

2020年4月15日、食品医薬品局(FDA)は低悪性度上部尿路上皮がん(LG-UTUC)の成人患者の治療にマイトマイシン(販売名:JELMYTO、UroGen Pharma社)を承認した。

有効性は、腎盂尿管移行部より近位部に測定可能な乳頭状腫瘍がひとつ以上ある、未治療または再発性の低悪性度非浸潤性UTUC患者71人を対象とした現在進行中の単群多施設試験OLYMPUS(NCT02793128)に基づいて判定された。腫瘍の大きい患者では、先に腫瘍減量術を受けていても可とした。患者には毎週マイトマイシン4mg/mLを尿管カテーテルまたは腎瘻チューブを介して、6週間注入した。3カ月で完全奏効(CR)に達した患者には、最大でさらに11回、毎月注入した。

主要有効性評価項目は完全奏効(CR)およびCRの持続性であった。CRはJELMYTO開始から3カ月後の腫瘍病変の完全消失と定義し、尿細胞診および尿管鏡検査で評価した。必要な場合には生検を行なった。患者41人(58%)が治療開始から3カ月後にCRに達した。さらに追跡調査を継続し、患者29人に1回以上の維持投与を実施した。

完全奏効(CR)に達した患者における効果の持続性は、CR判定から3、6、9および12カ月後に評価した。患者7人に再発を確認したが、19人はCRの判定から12カ月後でもCRを維持していた。奏効期間中央値には到達しなかった(範囲:0~18.8+カ月)。

マイトマイシンを投与した患者に最もよくみられた副作用(発生率20%以上)は、尿管閉塞、側腹痛、尿路感染、血尿、腎機能障害、疲労、悪心、腹痛、排尿障害および嘔吐であった。尿管閉塞はマイトマイシンを投与した患者の58%に発生し、これらの患者の88%に尿管ステントの留置が必要であった。

マイトマイシンの推奨用量は、4mg/mLで尿管カテーテルまたは腎瘻チューブから注入される。総注入量は腎盂造影による容積の測定に基づいて決定され、15mL(マイトマイシン60mg)を超えない。

JELMYTO全処方情報はこちらを参照。

本審査ではFDAの評価を円滑に進めるため、申請者が自発的に申請を行うAssessment Aidを使用した。

FDAは本申請を優先審査に指定し、ファーストトラックおよび画期的治療法に指定した。FDA迅速承認プログラムに関する情報は、「企業向けガイダンス:重篤疾患のための迅速承認プログラム―医薬品およびバイオ医薬品」(Guidance for Industry: Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている。

翻訳担当者 小縣正幸

監修 東 光久(総合診療、腫瘍内科、緩和ケア/福島県立医科大学白河総合診療アカデミー)

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