【ASCO26】進行頭頸部がん、低コストな経口3剤+免疫療法薬で生存率・安全性が向上

【ASCO26】進行頭頸部がん、低コストな経口3剤+免疫療法薬で生存率・安全性が向上

ASCOの見解(引用)

「この試験が重要である理由は、試験が行われたインドなど、医療リソースが限られた地域の患者にとって治療選択肢となる可能性を示しているからです。3剤経口薬メトロノミック化学療法+超低用量免疫療法薬の併用群では、化学療法単独群と比較して全生存期間の中央値が改善しました。しかし、対照レジメンは米国では標準的な一次治療ではなく、全生存期間は米国の標準的な一次治療で観察される生存期間よりも短くなっています」と、ダナ・ファーバーがん研究所のがん治療イノベーションセンター所長であり、ASCOの頭頸部がん専門家であるGlenn J. Hanna医師は述べている。

試験概要

焦点プラチナ製剤感受性の進行頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)のうち、緩和治療が予定されている症例
対象者インド出身者422人
主な結果3剤経口薬メトロノミック化学療法+超低用量免疫療法(TMC-I)は、現在の標準治療よりも利用しやすく費用も抑えられる代替療法であり、一部の進行頭頸部扁平上皮がん患者において生存率の向上と副作用の軽減につながる可能性がある。
意義●インドでは、頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)は、年間約15万件新たに診断されており、これは全体で2番目に多く、男性では最も多いがんとなっている。

●進行頭頸部扁平上皮がんの現在の標準治療は、プラチナ製剤を用いた化学療法と、免疫療法(ペムブロリズマブなど)または分子標的療法(セツキシマブなど)の併用療法である。これらの治療法は効果的ではあるが、高額であり、低・中所得国では利用しにくい場合が多い。

●TMC-Iは、進行頭頸部扁平上皮がんの現在の標準治療よりも大幅に費用対効果が高い。米ドル換算では、標準治療は月額1,000ドル以上かかるのに対し、TMC-Iは約230ドルで済む。

●本試験の目的は、TMC-Iが標準的なプラチナ製剤を用いた化学療法と比較して、生存率を向上させ、副作用を軽減できるかどうか明らかにすることであった。

バージニア州アレクサンドリア発― インドで行われた新たな試験結果によると、3剤経口薬メトロノミック化学療法+超低用量免疫療法(TMC-I)の併用療法は、一部の進行頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)患者において、標準治療よりも副作用が少なく、費用も抑えながら、生存期間を延長させる可能性がある。これは、標準治療を受けられない可能性のある低・中所得国の患者にとって特に重要である。この試験結果は、5月29日から6月2日までシカゴで開催される2026年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表された。

試験について

「進行頭頸部がん患者には、免疫療法やセツキシマブなどの効果的な治療法が存在するものの、費用と毒性のため、多くの患者が利用できるわけではないのが現状です。今回の試験は、低コストかつ忍容性の高い治療法が生存率を大幅に改善できることを示しており、世界のがん治療において非常に重要な意義を持つものです」と、インド・ムンバイのタタメモリアルセンターに所属する本試験の筆頭著者Minit Jalan Shah医師(MBBS)は述べている。
 
インドで行われたこの第3相臨床試験には、緩和目的でプラチナ感受性進行頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)の治療を受けた422人が参加した。参加者のほとんどは男性(85.5%)で、年齢の中央値は49.5歳であった。参加者の約87%には喫煙歴があり、これは頭頸部扁平上皮がん患者で多い危険因子である。また、76.3%は口腔がん、25.6%は転移性疾患、約31%はECOGパフォーマンスステータスが2であった。これらの特徴は、一般的により進行度が速い高リスク群の患者を示している。
 
参加者は、パクリタキセルとカルボプラチンを用いたプラチナ製剤ベースの化学療法を受ける群(211人)、またはメトトレキサート、セレコキシブ、エルロチニブ、ニボルマブを超低用量で投与するTMC-I療法を受ける群(211人)にランダムに割り付けられた。

主な知見

●全生存期間(OS)の中央値は、TMC-I群で10.3カ月、化学療法群で6.2カ月であった。全体として、TMC-I群では死亡リスクが43%低下した。

●1年後の全生存率は、TMC-I群が化学療法群の2倍であった(46%対23%)。

●TMC-Iの生存率向上効果はサブグループ間で一貫しており、口腔がん患者および喫煙者または喫煙歴のある患者においてより大きな効果が認められた。

●TMC-I群では、以下の値がより高かった。
   〇全体的な奏効率は、化学療法群の24.1%に対し、53.4%であった。 
   〇治療効果持続期間(DoR)の中央値は、TMC-I群で11カ月、化学療法群で3.6カ月であった。
     1年後のDoR率は、それぞれ44.5%と11.6%であった。TMC-I群では、治療効果が得られた後、がんが
     再発するリスクが68%低下した。
   〇無増悪生存期間の中央値は、化学療法群の2.7カ月に対し、TMC-I群では5.5カ月であった。
     TMC-I群では、病勢進行または死亡のリスクが53%低下した。

TMC-I群では重篤な副作用が少なく、グレード3以上の有害事象を経験した参加者は37.1%であったのに対し、化学療法群では47.5%であった。特に多くみられた副作用は、化学療法群では血液関連のものであったが、TMC-I群では肝酵素上昇(参加者の8.9%)、ビリルビン過剰分泌(4.5%)、発疹(8.4%)であった。

次のステップ

研究者らは、静脈内化学療法とTMC-Iを組み合わせた併用療法戦略を評価する予定であり、治療の個別化に役立つゲノムおよび分子レベルでの反応予測因子を特定することを目指している。また、治療反応や液体生検の結果に基づいて治療薬の強度を増減させるなど、治療適応戦略を検討し、より早期の疾患段階でこのアプローチを研究する予定である。
 
本試験は、タタメモリアルセンターのResearch Administration Council、Nuclear Power Corporation of India Limited社、Mankind Pharmaceuticals社からの資金提供を受けて実施された。

  • 記事担当 仲里芳子
  • 監修 小宮武文(腫瘍内科/Penn State College of Medicine)
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  • 原文掲載日 2026/05/31

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