【ASCO25】ダナファーバー①乳がん、大腸がん標準治療の再定義、KRASG12C肺がん、脳リンパ腫、前立腺がん

【ASCO25】ダナファーバー①乳がん、大腸がん標準治療の再定義、KRASG12C肺がん、脳リンパ腫、前立腺がん

以下の研究結果は、2025年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表された。

• ダナファーバーの研究は、希少がんや悪性腫瘍に対する有望な治療法もサポートしている。

研究チームは、2025年5月30日から6月3日までシカゴで開催される2025年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で、その研究結果を発表する。ASCOは世界最大の臨床がん研究学会であり、世界中から腫瘍学専門家が3万人以上参加する。
ASCO年次総会では、ダナファーバー連携研究者が主導する115件以上の研究が発表される。

2025年ASCO年次総会におけるダナファーバー口頭発表の全リストはこちら(原文)
2025 ASCO 年次総会におけるダナファーバー ポスターディスカッションの全リストはこちら(原文)

ASCOプレスプログラム

ダナファーバーがん研究所の臨床研究責任者であるJeffrey Meyerhardt医師は、「ステージIII DNAミスマッチ修復機能欠損大腸がん患者に対する術後補助療法としての標準化学療法単独またはアテゾリズマブ併用のランダム化比較試験(Alliance A021502; ATOMIC)」の統括著者である。本研究は6月1日(日)午後2時~5時(米国東部標準時、以下同様)に開催されるASCOプレナリーセッションで発表。

ダナファーバーがん研究所乳がん科長のSara Tolaney医師は、6月2日(月)午前8時30分に開催される「口頭発表アブストラクト・セッション: LBAセッション: LBA1008の発表とディスカッションー乳がん」において、「ヒト上皮成長因子受容体2陽性(HER2+)進行/転移性乳がん患者の一次治療におけるトラスツズマブ デルクステカン+ペルツズマブ vs タキサン+トラスツズマブ+ペルツズマブ:DESTINY-Breast09試験の中間解析」を発表。

Tolaney氏は、5月31日(土)午後4時35分に開催される口頭発表アブストラクト・セッション「乳がん―転移性」において、「未治療PD-L1陽性進行トリプルネガティブ乳がん(TNBC)におけるサシツズマブ ゴビテカン+ペムブロリズマブと化学療法+ペムブロリズマブの比較:ランダム化比較第3相試験ASCENT-04/KEYNOTE-D19の主要評価結果」を発表。

ダナファーバーがん研究所の血液腫瘍学部門臨床フェローであるSara Char医師は、6月1日(日)午後5時42分に開催される臨床科学シンポジウム「消化器がん―大腸・肛門がん」において、「ステージIII大腸がん患者における経験的食事性炎症パターン(EDIP)と生存率の関連性:CALGB/SWOG 80702(ALLIANCE)の知見」を発表。

早期段階の臨床試験、希少がんおよび進行がんに有望な結果を示す

アダグラシブ+ペムブロリズマブは、KRASG12C変異陽性進行非小細胞肺がんに対して有望

ダナファーバーがん研究所のトランスレーショナル・メディシン担当上級副所長であるPasi Jänne医師は、同種の試験としては過去最大規模のKRYSTAL-7試験の第2相試験から得たデータを発表する。試験結果は、KRASG21C阻害薬アダグラシブとPD-L1免疫チェックポイント阻害薬ペムブロリズマブを併用する一次治療が、腫瘍中のPD-L1発現の有無にかかわらず、KRASG12C変異陽性進行または転移性非小細胞肺がん患者にとって、副作用を管理可能である、有効な治療薬となり得ることを示唆している。第3相KRYSTAL-7試験は現在進行中で、PD-L1が50%を超えるKRASG12C変異陽性非小細胞肺がん患者を対象に、この併用療法とペムブロリズマブ単独療法を比較する。

試験名:KRYSTAL-7試験の第2相試験における進行/転移性KRASG12C遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象とした、アダグラシブ(ADA)+ペムブロリズマブ(PEMBRO)併用による一次治療
口頭発表アブストラクト番号:8500
セッション:口頭アブストラクト・セッション「肺がん―非小細胞、転移」 2025年6月1日午前9時
発表著者:Pasi Jänne医学博士

チラブルチニブ、希少かつ悪性度の高い脳リンパ腫に有望

中枢神経系リンパ腫センター長のLakshmi Nayak医師は、多施設共同第2相PROSPECT試験のデータを発表する。この試験は、再発または難治性の原発性中枢神経系リンパ腫(PCNSL)患者に対してチラブルチニブが、副作用を管理可能で有効な治療薬であることを示唆している。チラブルチニブは第二世代ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬であり、PCNSLは脳、脊髄、脳脊髄液、または眼に発生する希少かつ悪性度の高い非ホジキンリンパ腫である。米国および欧州において、PCNSLに対する承認済みの治療法はない。

試験タイトル:再発または難治性原発性中枢神経系リンパ腫の治療におけるチラブルチニブ:第2相PROSPECT試験における有効性と安全性
口頭発表アブストラクト番号:2019
セッション:迅速口頭発表アブストラクト・セッション 「中枢神経系腫瘍」 2025年5月31日午後5時06分
発表著者:Lakshmi Nayak医師

オラパリブとラジウム223の併用は、進行性去勢抵抗性前立腺がんにおいてラジウム223単独よりも優れた効果を示す

ダナファーバーがん研究所開発治療部門上級副所長であるGeoffrey Shapiro医師は、医師主導第2相試験COMRADEの筆頭著者である。本試験は、骨転移を伴う去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)患者において、PARP阻害薬オラパリブと、骨にアルファ線を照射する薬剤であるラジウム223の併用が、ラジウム223単独よりも優れた効果を示すことを示唆している。併用療法を受けた患者は、相同組換え修復(HRR)遺伝子の遺伝子変異の有無にかかわらず、画像診断による無増悪生存期間の有意な改善を示した。PARP阻害薬は、HRR遺伝子変異および放射線治療との相乗効果を示している。

試験タイトル:骨転移(BM)を伴う去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)男性におけるオラパリブ+ラジウム223とラジウム223単独を比較する医師主導による多施設共同ランダム化第2相ETCTN試験(COMRADE):初期有効性およびバイオマーカー解析
口頭発表アブストラクト番号:5007
セッション:口頭発表アブストラクト・セッション「泌尿生殖器がんー前立腺がん、精巣がん、および陰茎がん」 2025年6月3日午後12時57分
発表著者:Geoffrey Shapiro医学博士

  • 監修 パーキソン理咲 (血液内科)
  • 記事担当者 山田登志子
  • 原文を見る
  • 原文掲載日 2025/05/23

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

乳がんに関連する記事

【AACR2025】 オラパリブ+ペムブロリズマブ併用は、分子マッチングによる臓器横断的試験で有望な結果の画像

【AACR2025】 オラパリブ+ペムブロリズマブ併用は、分子マッチングによる臓器横断的試験で有望な結果

● オラパリブ(商品名:リムパーザ)とペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の併用は、複数のがん種、特にBRCA1/2遺伝子変異(乳がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がんなどの発症リス...
【ASCO2025】年次総会注目すべき追加研究・LBA ②の画像

【ASCO2025】年次総会注目すべき追加研究・LBA ②

5月30日-6月3日イリノイ州シカゴおよびオンラインで開催された2025年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会では、がんのさまざまな部位にわたる幅広いテーマについて探究した44件の研究...
【ASCO2025】年次総会注目すべき追加研究・LBA ①の画像

【ASCO2025】年次総会注目すべき追加研究・LBA ①

ASCOの見解(引用)5月30日-6月3日イリノイ州シカゴおよびオンラインで開催された2025年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会では、がんのさまざまな部位にわたる幅広いテー...
【ASCO2025】トラスツズマブ デルクステカン+ペルツズマブ併用はHER2陽性進行乳がんの一部でがん増殖を抑制の画像

【ASCO2025】トラスツズマブ デルクステカン+ペルツズマブ併用はHER2陽性進行乳がんの一部でがん増殖を抑制

ASCOの見解(引用)「Destiny-Breast09試験で得た知見は、HER-2陽性転移性乳がんに対する新たな一次標準治療法に相当するものです。治療期間が年単位で評価できる...