虫垂がんの多くは手術後に化学療法を回避できる可能性あり
MDアンダーソン研究ニュース 2026年9月8日
● 手術後にがんが再発した患者は10%未満であったことが明らかになった
● 術後の化学療法は、生存期間の延長や再発率の低下とは関連していなかった
● 特定の腫瘍型や遺伝子変異が、再発リスクの高い患者の特定に役立つことが示された
テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの新たな研究によると、限局性虫垂がんの患者の多くは、手術後に化学療法を安全に回避できる可能性があるという。
JAMA Surgery誌に掲載されたこの研究によると、術後に再発した患者は10%未満であり、高リスクとみなされる患者であっても、術後の化学療法は生存率の向上や再発リスクの低下とは関連していなかった。また研究者らは、どの患者で再発の可能性が最も高いかを医師がより正確に予測するのに役立つ可能性のある、特定の腫瘍特性やゲノム変異を特定した。
消化管腫瘍内科の准教授であるJohn Paul Shen医師と、同科の研究員であるSacha El Khoury医師が主導したこの解析は、限局性虫垂がんを対象とした研究としては、現時点で最大規模のものである。
「長い間、虫垂がんは大腸がんと同様の経過をたどるという古い考え方が、患者の治療方針を左右してきました」とShen氏は述べた。「今回の研究結果から、虫垂がんには独自の生物学的特性があり、限局性病変にとどまっている患者の多くでは、再発リスクが低いことが明らかになりました。それぞれの腫瘍が持つ特性を理解することで、より綿密な経過観察が必要な患者を適切に見極め、一方で他の患者に対しては不必要な治療を回避する助けとなります」。
本研究において、その他の主な知見は何か?
研究者らは、2000年から2024年にかけてテキサス大学MDアンダーソンがんセンターで治療を受けたステージ1~3の虫垂がん患者439人の転帰を検証した。そのうち、手術を受けた202人の患者について、がんの再発状況を評価した。
中央値が5年を超える追跡期間中に、19人の患者(9.4%)に再発が認められた。再発率は、ステージ2の患者で6%、ステージ3の患者で19.5%であった。
再発した患者の予後は悪く、5年全生存率は77.2%であったのに対し、再発しなかった患者では95.7%であった。
遺伝子検査は、再発リスクの高い患者の特定にどのように役立つのか?
研究者らは、特定の遺伝子変異ががんの再発リスクの上昇と関連していることを発見した。杯細胞腫瘍ではTP53遺伝子の変異が再発と関連しており、一方で、非杯細胞腫瘍ではGNAS遺伝子の変異が再発リスクの上昇と関連していた。
「虫垂がんはすべて同じというわけではありません」とEl Khoury氏は述べている。「腫瘍の組織学的特徴と分子学的特徴を併せて検討することで、どの患者が実際に再発リスクが高いかをより正確に特定できます。この疾患に対する治療を個別化する取り組みは、そこから始めなければならないのです」。
この研究は患者にとってなぜ重要なのか?
虫垂がんはまれな疾患であるため、医師は治療や経過観察の方針を決定する際に、大腸がんに関する知見を参考にすることがよくある。この研究は、虫垂がんの経過が大腸がんとは異なり、再発の有無を予測するためには、虫垂がん特有のリスク要因を特定する必要がある可能性を示唆している。
腫瘍の種類や遺伝的特徴を調べることで、専門家はがんが再発するリスクが高い患者を特定できる可能性があるほか、他の患者については化学療法やそれに伴う副作用を回避できるようになる可能性がある。
本研究の限界としては、患者が単一のがんセンターで治療を受けたことが挙げられる。そのため、今回の研究結果を裏付けるためにはさらなる研究が必要である。
本研究は、Cancer Prevention and Research Institute of Texas(CPRIT)、Appendix Cancer Pseudomyxoma Peritonei Research Foundation(ACPMP)、およびASCO財団のConquer Cancerの支援を受けて実施された。共同執筆者の全リストおよび開示事項については、JAMA Surgery誌に掲載された論文全文をご覧ください。
- 記事担当 青山真佐枝
- 監修 加藤恭郎(緩和医療、消化器外科、栄養管理、医療用手袋アレルギー/天理よろづ相談所病院 緩和ケア科)
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- 原文掲載日 2026/09/08
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