進行肛門がんの一次治療にレチファンリマブ+化学療法で全生存期間が向上
POD1UM-303/InterAACT-2試験における全生存期間の最終解析結果
多施設共同ランダム化二重盲検比較試験であるPOD1UM-303/InterAACT-2試験の全生存期間(OS)の最終解析において、進行または転移を有する肛門管扁平上皮がんで全身治療歴のない成人患者に対し、カルボプラチン・パクリタキセルによる化学療法に レチファンリマブ(販売名:ジニイズ)を併用した治療は、カルボプラチン・パクリタキセルにプラセボを併用した場合と比較して、一貫して臨床的に意義のあるOS改善を示した。
本試験は主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を達成した。また、全生存期間(OS)の最終解析や、より長期の追跡による補足的なPFS解析、ヒトパピローマウイルス(HPV)に関連するp16の有無に基づく事後解析においても、これまで報告されていたレチファンリマブの有効性が一貫して確認された。英国サリー州サットンのロイヤルマースデン病院NHS財団トラストのSheela Rao博士らは、2026年5月5日、Annals of Oncology誌でこの結果を発表し、主要解析と比較して新たな安全性シグナルや傾向は認められなかったと報告した。
肛門がんはまれながんであるが、多くの国でその発症率は増加している。この増加は、肛門がんの主な危険因子であるHPV感染に加え、性行動の変化や免疫抑制状態にある人の割合の変化など、肛門がんに関連する環境的リスク因子の広がりが変化していることによる可能性がある。肛門管扁平上皮がんは肛門がんの中で最も多い組織型であり、全症例の約85~95%を占める。
著者らは背景として、進行肛門管扁平上皮がんは白金製剤ベースの化学療法に対して初期奏効は良好であるものの、生存期間は十分とはいえず、予後は不良であり、転移を有する場合は5年相対生存率が36%であると述べる。そのため、進行例に対する有効な治療が依然として求められている。
免疫療法は、肛門管扁平上皮がんなどHPVによって引き起こされるがんに対する新たな治療選択肢として期待されている。レチファンリマブはヒト化抗PD-1モノクローナル抗体であり、第2相POD1UM-202試験において、子宮頸がんおよび白金製剤抵抗性の肛門管扁平上皮がんに対して抗腫瘍活性を示しており、POD1UM-303/InterAACT-2試験においてさらなる検討が行われる根拠となった。
POD1UM-303/InterAACT-2では、これまで全身療法を受けていない局所進行または転移肛門管扁平上皮がん患者が、レチファンリマブまたはプラセボをカルボプラチン・パクリタキセル化学療法に併用する群にランダムに割り付けられた。POD1UM-303/InterAACT-2の主要解析では、試験は主要評価項目であるPFSを達成し、PFS中央値はレチファンリマブ+カルボプラチン・パクリタキセル群で、プラセボ+カルボプラチン・パクリタキセル群より有意に長かった(9.3カ月対7.4カ月:ハザード比[HR]0.63、95%信頼区間[CI]0.47〜0.84、p=0.0006)。さらに、レチファンリマブ+カルボプラチン・パクリタキセル併用療法は管理可能な安全性プロファイルを示した。
POD1UM-202およびPOD1UM-303/InterAACT-2の結果に基づき、米国では、レチファンリマブと、カルボプラチン・パクリタキセルの併用療法は、局所再発または転移肛門管扁平上皮がんの一次治療として承認され、またレチファンリマブ単剤療法は白金製剤抵抗性肛門管扁平上皮がんに対して承認された。Annals of Oncology誌に掲載された最新論文で、研究チームは、POD1UM-303/InterAACT-2の最終OSデータを、サブグループ解析および探索的解析とともに報告した。
POD1UM-303/InterAACT-2は、欧州、オーストラリア、日本、英国、米国で実施された試験である。主要評価項目はPFSであり、OSは主要な副次評価項目であった。その他の評価項目は、奏効率、安全性、探索的サブグループ解析などであった。合計308人がランダム化され、レチファンリマブ+カルボプラチン・パクリタキセル群、プラセボ+カルボプラチン・パクリタキセル群にそれぞれ154人が割り付けられた。また、プラセボ+カルボプラチン・パクリタキセル群の77人は、レチファンリマブ単剤療法へクロスオーバーした。
更新された有効性解析において、レチファンリマブ+カルボプラチン・パクリタキセル群を、プラセボ+カルボプラチン・パクリタキセル群と比較したところ、PFSの有益性は持続していた(HR 0.62、95%CI 0.47〜0.81、名目上のp=0.0002)。また、OSについても一貫性があり臨床的に意義のある改善が認められた(HR 0.75、95%CI 0.55〜1.01、p=0.0305)。OS中央値は32.8カ月対22.2カ月であった。
全奏効率は56.5%対44.8%であり、病勢制御率は87.7%対80.5%であった。クロスオーバー調整解析の結果は主要解析と一致しており、解析したすべてのグループで、レチファンリマブ+カルボプラチン・パクリタキセル群に一貫したOSの有益性が認められた。
レチファンリマブ+カルボプラチン・パクリタキセルによる治療は概して忍容性が良好であり、予測可能で管理可能な安全性プロファイルを示し、これは主要解析で報告された安全性プロファイルと一致していた。また、OS解析のための長期の追跡においても、新たな安全性シグナルや傾向は報告されなかった。
著者らは、レチファンリマブ+カルボプラチン・パクリタキセル群とプラセボ+カルボプラチン・パクリタキセル群のOS中央値の差が10.6カ月であり、中間OS解析で認められた6カ月の差よりも大きな改善であったと述べている。クロスオーバー調整OS解析は、レチファンリマブ+カルボプラチン・パクリタキセルによるOS改善効果の頑健性を示すとともに、レチファンリマブ単剤療法へのクロスオーバーがOSに大きな影響を及ぼしたことを示した。
増悪後に実施された治療の種類や実施時期にはばらつきがあったが、その傾向は両群で類似しており、感度解析では後治療がOSに影響を及ぼさないことが示された。
POD1UM-303/InterAACT-2は、進行肛門管扁平上皮がん患者において、化学免疫療法が化学療法単独と比較してOSを改善することを示した唯一のランダム化第3相試験である。進行肛門管扁平上皮がんの予後不良を考慮すると、クロスオーバー調整解析によって裏づけられた、レチファンリマブ+カルボプラチン・パクリタキセル群とプラセボ+カルボプラチン・パクリタキセル群のOS中央値の差は大きい。これらの結果は、PFSおよび安全性の結果と合わせて、POD1UM-303/InterAACT-2が進行肛門管扁平上皮がん患者を対象とする今後の試験の基準となるべきであることを示唆している。
著者らはまた、このような希少がんにおいて、OS解析に十分な検出力を持たせるために、十分な数の患者を長期間にわたり登録することには実務上の課題があると述べている。そのため、本試験の主な限界は、OSが副次評価項目として設定されていたことであり、本試験に登録された少数の患者集団では、検出力がおよそ70%にとどまっていた点である。
著者らは、この最終解析により、肛門管扁平上皮がんにおけるレチファンリマブ+化学療法の有益性が確認されたと結論づけている。レチファンリマブ+カルボプラチン・パクリタキセルの有効性とリスクのバランスは良好であり、レチファンリマブは、手術不能、局所再発、または転移肛門管扁平上皮がん患者に対する新たな基準治療および標準治療となることが示唆される。
本試験はIncyte Corporationの資金提供を受けて実施された。
- 記事担当 平沢沙枝
- 監修 中村能章(消化管悪性腫瘍/オックスフォード大学腫瘍部門)
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- 原文掲載日 2026/05/18
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