まれな胆管がんにHER2標的ザニダタマブが有望との最終結果が示される

まれな胆管がんにHER2標的ザニダタマブが有望との最終結果が示される

  • HER2陽性転移性胆道がんは稀かつ進行度の高いがんであり、治療の選択肢は限られている。
  • 胆道がんを対象としたHER2標的薬の試験としては最大規模となるHERIZON-BTC-01臨床試験の最終結果から、 zanidatamab[ザニダタマブ]が臨床的に意義のある奏効を示すことが明らかになった。
  • この標的治療を受けた胆道がん患者の一部において、持続的な奏効、生存期間の延長ならびに腫瘍縮小が認められた。
  • これらの試験結果に基づき、2024年11月にザニダタマブはHER2陽性胆道がんの治療薬としてFDAから迅速承認された。

HER2標的二重特異性抗体であるザニダタマブが、HER2陽性胆道がん患者において臨床的に意義があり、かつ持続的な奏効を示すことが、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らが主導したHERIZON-BTC-01臨床試験の最終結果で明らかになった。

本臨床試験においてザニダタマブは、客観的奏効率41.3%、奏効期間中央値15.5カ月を示した。さらに、HER2過剰発現が最も強い腫瘍を有する患者では、奏効率51.6%、奏効期間中央値18.1カ月と、より高い治療効果が認められた。

本試験は、消化器腫瘍内科およびがん治療薬研究部門(Investigational Cancer Therapeutics)教授であるShubham Pant医師が主導し、その結果はJAMA Oncology誌に掲載された。初期の試験結果は、2023年6月、The Lancet Oncology誌で最初に報告された。

「示された客観的奏効率、奏効期間の延長、ならびにIHC3+腫瘍における一貫した有効性は、胆道がんにおいてHER2が有効な治療標的であることを裏づけるものであり、治療パラダイムにおけるザニダタマブの新たな役割を支持するものです」と、Pant医師は述べた。

HERIZON-BTC-01試験結果の意義は何か?

切除不能または転移性の胆道がんは、稀で進行性の高いがんであり、標準治療が無効となった場合、治療の選択肢は極めて限られている。本試験の結果は、胆道がんにおけるHER2標的治療として最大規模の臨床データベースであり、これまでに報告された中で最長の追跡期間を有している。

80人の患者からなるコホートにおいて、ザニダタマブが奏効した患者は、特に疼痛レベルにおいて症状の有意な改善を報告した。多くの患者が、治療開始時と比較して疼痛の軽減または安定化を経験したことから、治療が腫瘍増殖を抑制するだけでなく、疾患に伴う不快症状の緩和にも寄与したことが示唆された。さらに、追跡評価を完了するまで試験を継続した患者では、全体的な症状コントロール率がより高かった。

胆道がん患者に対し、本試験はどのような意味を持つのか?

ザニダタマブは、HER2受容体上の2つの異なる部位に結合する二重特異性抗体であり、従来のHER2標的治療と比較して、がん細胞増殖をより効果的に抑制し、免疫介在性の腫瘍細胞排除を促進することが可能である。

これらの試験結果を受け、米国食品医薬品局(FDA)は、既治療歴のある切除不能または転移性IHC3+胆道がんの成人患者を対象として、ザニダタマブを迅速承認した。その効果持続性および安全特性から、ザニダタマブはこの治療困難ながんに対して強力な治療可能性を持っていると考えられる。

本試験はBeOne Medicines社、Jazz Pharmaceuticals社およびZymeworks社の支援を受けて実施された。共同著者の一覧および利益相反の開示については、JAMA Oncology誌に掲載された論文に記載されている。

  • 監修 泉谷昌志(消化器内科、がん生物学/東京大学医学部附属病院)
  • 記事担当者 田村克代
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  • 原文掲載日 2025/12/25

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