【ASCO26】塞栓療法適応の肝細胞がんにトレメリムマブ+デュルバルマブ追加の治療戦略が有望
ASCOの見解(引用)
「第3相EMERALD-3試験で観察された無増悪生存期間の有意な改善により、STRIDE療法(トレメリムマブ(販売名:イジュド)単回投与+デュルバルマブ(販売名:イミフィンジ)定期投与)に、レンバチニブ(販売名:レンビマ)併用の有無に関わらず、肝動脈化学塞栓療法(TACE)を組み合わせたこの併用療法は、塞栓療法適応の切除不能肝細胞がん患者にとって、有力な治療選択肢として位置づけられます。これらの知見は臨床現場に影響を与える可能性が高く、世界中の肝細胞がんを治療する腫瘍内科医にとって、診療の在り方を変えるものと考えられます」とASCO専門家、Vishwanath Sathyanarayanan医師(インド、カルナーカタ州バンガロールのアポロ病院腫瘍科学部門主任)は述べた。
試験概要
| 焦点 | 塞栓療法適応の切除不能肝細胞がん(eeHCC) |
| 対象者 | 参加者760名 |
| 主な結果 | トレメリムマブ単回投与+デュルバルマブの定期投与(STRIDE)を、レンバチニブ併用の有無にかかわらず肝動脈化学塞栓療法(TACE)と併用することで、手術による切除が不可能な、塞栓療法適応の切除不能肝細胞がん患者において、がんの進行を遅らせ生存期間の延長に寄与する可能性がある。 |
| 意義 | ●米国がん協会(ACS)の推計によると、2026年には米国で42,340人が肝臓がんの診断を受け、30,980人がこの病気で死亡すると見込まれている。過去40年間で、米国における肝臓がんの診断数は3倍に増加した。 ●最も頻度の高い肝臓がんのタイプは、肝細胞がん(HCC)と呼ばれ、肝臓がん診断の8割以上を占めている。HCCは、手術が選択肢とならない進行期に診断されることが多い。 ●進行期において、患者の約30%がTACEによる治療の適応となる。20年以上にわたり、TACEは手術で切除できない進行性肝細胞がん(eeHCC)患者に対する標準治療となっている。しかし、TACEでの治療後8~10カ月以内に、がんの進行や転移が高頻度で起こる傾向がある。 |
標準治療であるTACE(肝動脈化学塞栓療法)に、免疫療法をベースとしたSTRIDE(トレメリムマブ単回投与+デュルバルマブ定期投与)レジメンを組み合わせることで、分子標的薬であるレンバチニブ併用の有無にかかわらず、がんの増殖を遅らせ、手術で切除できない塞栓療法適応の肝細胞がん患者の生存期間を延長できる可能性があることが、第3相EMERALD-3試験の結果により判明した。本研究は、5月29日から6月2日までシカゴで開催される2026年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表される。
試験について
「肝細胞がんにおいて塞栓療法適応となる症例では、20年以上にわたり、肝動脈化学塞栓療法(TACE)が世界的に最も広く行われている標準治療でした。しかし、無増悪生存期間の中央値は8~10カ月にとどまり、治療成績は依然として不良です。TACEの反復施行は、時間の経過とともに効果が減衰し、肝機能のさらなる低下のリスクを伴います。現在、これらの患者を対象として世界的に承認されている、全身療法に基づく治療選択肢はありません」と、本研究の筆頭著者であるGhassan K. Abou-Alfa 医学博士(経営学修士、法務博士、米国臨床腫瘍学会フェロー)は述べた。
国際共同試験EMERALD-3では、塞栓療法適応の切除不能肝細胞がん患者を対象に、STRIDE+TACEの併用療法が、経口標的治療薬レンバチニブの追加有無にかかわらず、TACE単独療法と比較して、がんの増殖を遅らせることができるかどうかを検証した。本研究には、760名の参加者が含まれており、全員が18才以上、エジプトまたはシンガポール在住の場合は21才以上であった。参加者は主に男性(83.2%)およびアジア系(72.1%)であった。
参加者は無作為に、STRIDE+レンバチニブ+TACE群(293名)、STRIDE+TACE群(175名)、またはTACE単独群(292名)に割り付けられた。
主な知見
●STRIDE+レンバチニブ+TACE群における無増悪生存期間(PFS)の中央値は13カ月であったのに対し、TACE単独群では9.8カ月であった。
●STRIDE+レンバチニブ+TACE群の全生存期間(OS)の中央値は39.5カ月であったのに対し、TACE単独群では34.7カ月であった。
●3剤併用群の2年生存率は66.9%であったのに対し、TACE単独群では61.5%であった。
●レンバチニブ非併用のSTRIDE+TACEを受けた175名の参加者と、TACE単独を受けた最初の175名の参加者を比較した場合でも、STRIDE+TACEを受けた参加者の方が無増悪生存期間が依然として長かった(それぞれ12.9カ月対8.1カ月)。2年生存率もこの群で高かった(それぞれ68%対57.8%)。
レンバチニブ併用または非併用のSTRIDE+TACE群の患者は、TACE単独群と比較してより多くの副作用を経験した。重篤または生命を脅かす副作用を示すグレード3または4の有害事象の発生率は、STRIDE+レンバチニブ+TACE群で62.7%、STRIDE+TACE群で48.6%、TACE単独群で18.6%であった。各群で最も頻度の高かった副作用は、各治療法において既知の副作用と一致していた。
次のステップ
EMERALD-3試験は現在も進行中であり、全生存期間の最終解析に向けて患者の追跡調査が行われている。
EMERALD-3試験はアストラゼネカ社の資金提供を受けて実施された。
- 記事担当 山口みどり
- 監修 泉谷昌志(消化器内科、がん生物学/東京大学医学部付属病院)
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- 原文掲載日 2026/06/01
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