【SABCS25】乳がん、術前放射線で抗腫瘍免疫反応高める可能性

【SABCS25】乳がん、術前放射線で抗腫瘍免疫反応高める可能性

ホルモン受容体(HR)陽性、HER2陰性乳がん患者において、術前放射線療法をペムブロリズマブ(販売名:キイトルーダ)および化学療法と併用することで、T細胞浸潤(TCI)が改善し、術前の治療反応が向上したことが、サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)(2025年12月9日~12日)で発表された第2相P-RAD臨床試験の結果から明らかになった。
 
「HR陽性HER2陰性乳がんは最も一般的な乳がんのタイプであり、多くの患者さんが後期再発を経験します。この患者集団の転帰を改善することが極めて重要です」と、発表者であるGaorav Gupta医学博士(ノースカロライナ大学ラインバーガー総合がんセンター放射線腫瘍学准教授、乳がん研究プログラム共同リーダー)は述べている。「免疫療法は初期の段階では有望な徴候を示していますが、このタイプの乳がんでより効果的にするためには新たな戦略が必要です。免疫チェックポイント阻害薬はがんを効果的に抑制するためにTCI(T細胞浸潤)に依存しており、放射線治療によってTCIが改善されることを示した過去の研究に基づき、乳がんでその効果を検証することを目的としました」。
 
本臨床試験では、Gupta氏らトランスレーショナル乳がん研究コンソーシアムの研究者が、所属リンパ節に転移を有するHR陽性HER2陰性乳がん患者を登録した。患者の年齢中央値は49.5歳で、年齢範囲は23歳から78歳であった。51人の患者は1:1:1の割合で、放射線治療を行わない(0 Gy)群、低線量放射線(9Gy)群、高線量放射線(24Gy)群のいずれかに無作為に割り付けられ、化学療法開始前にペムブロリズマブと併用して治療を受けた。放射線治療は3日間にわたり実施された。
 
全患者はその後、12週間のペムブロリズマブ+パクリタキセルの投与、続いてペムブロリズマブ+ドキソルビシン+シクロホスファミドの投与を4サイクル受けた。研究者らは2つの主要評価項目を評価した: 放射線治療2週間後に採取した生検時のT細胞浸潤(TCI)と、がんを切除する根治手術時点におけるリンパ節の病理学的完全奏効(ypN0)である。副次的評価項目は病理学的完全奏効(pCR)および残存腫瘍量であった。
 
放射線療法および免疫療法後、T細胞浸潤(TCI)の評価が可能な49人において、上位四分位のTCIを示す腫瘍の割合は放射線線量に応じて増加した: 0 Gy群で31%、9 Gy群で40%、24 Gy群で53%であった。
 
治療後、すべての患者においてTCIの中央値が上昇した。これは、放射線照射によってより多くのT細胞が腫瘍内に侵入し、腫瘍を攻撃できるようになったことを意味する。しかし、未治療腫瘍と比較して統計的に有意なTCIの改善が認められたのは24Gy照射群の患者のみであった。
 
Gupta氏らはリンパ節における線量依存的な反応も観察した。評価可能な48人において、手術で摘出されたリンパ節からの腫瘍消失率は全体では29%であり、放射線量の増加に伴い上昇する傾向を示した: 0 Gy群で24%、9 Gy群で29%、24 Gy群で33%であった。
 
副次的評価項目も同様に、放射線量の増加に伴い改善した。全患者における病理学的完全奏効(pCR)率と残存腫瘍量(RCB)0-1率はそれぞれ18%と27%であった。群別では、pCR率は0Gy群6%、9Gy群29%、24Gy群19%であり、RCB 0-1率はそれぞれ18%、29%、33%であった。患者数が限られていたため、これらの外科的奏効率の差は統計学的有意差には至らなかった。
 
「現代の放射線治療は安全かつ精密で、乳がん治療において広く利用可能となっています。本研究は、放射線治療が新たな方法で活用できる可能性を示唆しています。すなわち、HR陽性HER2陰性乳がんにおいて免疫系を「プライミング(活性化)」させ、免疫療法の効果を高めることです」とGupta氏は述べた。「3日間にわたり24Gyの集中放射線照射をペンブロリズマブと併用することで、免疫活性を高め、手術前の腫瘍消失を改善する可能性があるという初期的なエビデンスが得られました。これらの結果は、乳がん患者の長期転帰の改善に向けた有望なアプローチを検証する今後の臨床試験の基盤となるものです」。
 
本研究の限界として、登録された参加者の数が限られていることが挙げられる。
 
*本研究の情報開示については、原文を参照のこと。

  • 監修 下村昭彦(腫瘍内科/国立国際医療センター乳腺・腫瘍内科)
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  • 原文掲載日 2025/12/11

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