【AACR26】胞巣状軟部肉腫でアテゾリズマブの長期使用は安全な可能性
主に思春期および若年成人に発症する胞巣状軟部肉腫(ASPS)患者において、2年という標準的な期間を超える免疫療法薬の投与を受けた場合でも、長期的な有害事象はまれであり、管理可能であったことが、4月17日から22日にかけて開催された米国がん学会(AACR)2026年次総会で発表された第2相臨床試験の結果により示された。
本研究の結果は、Journal of Clinical Oncology誌にも同日に掲載された。
免疫チェックポイント阻害剤を投与されているほとんどのがん患者については、初期の臨床試験で確立された治療期間に加え、肺がんやメラノーマ(黒色腫)において2年間の投与で十分な効果が得られることを示す追加の証拠に基づき、2年後に治療を中止することが推奨されている。しかし、15才から35才に最も高い発生率を示す超希少がんである胞巣状軟部肉腫の治療における免疫チェックポイント阻害剤の長期使用に関する臨床データは不足していると、米国国立衛生研究所(NIH)傘下の米国国立がん研究所(NCI)がん治療・診断部門治療開発クリニック長であるAlice P. Chen医師は説明した。2022年12月、Chen医師らが行っている進行中の第2相試験の初期結果に基づき、免疫チェックポイント阻害剤アテゾリズマブ(販売名:テセントリク)が、2才以上の胞巣状軟部肉腫患者に対して米国食品医薬品局(FDA)により承認された。承認時点で、49人の患者のうちの42%が12カ月以上の奏効期間を示した(訳注:49人中12人に客観的奏効が認められ、そのうちの42%が12カ月以上の奏効期間を示した)。
「多くの患者が持続的な奏効を示し、数年にわたり免疫療法薬を継続していたため、特に長期にわたる免疫療法薬の投与を受ける可能性のある胞巣状軟部肉腫の思春期および若年成人患者において、この治療の潜在的な長期的影響を理解したいと考えました」とChen氏は述べた。「長期にわたる治療中および治療後の遅発性有害事象のリスクを研究することは、これらの治療法がこうした若い患者集団にとって安全であり続けることを保証するのに役立ちます。」
2025年6月時点で、Chen氏らは54名の患者を本試験に登録し、アテゾリズマブによる奏効持続期間は、10~69カ月の範囲であった。2才以上の患者に、3週間ごとにアテゾリズマブ1,200mg、または1,200mgを上限とする小児用用量15mg/kgが投与された。病状が悪化した場合、成人患者にはアテゾリズマブと血管内皮増殖因子(VEGF)阻害剤ベバシズマブ(販売名:アバスチン)の併用療法を受ける選択肢が与えられた。有害事象の評価は、有害事象共通用語基準(CTCAE)第5版を用いて3週間ごとに実施された。11才から56才(中央値29才)の患者17名が、2年以上にわたりアテゾリズマブ単独(12名)またはアテゾリズマブ単独に続いてアテゾリズマブ+ベバシズマブの併用療法(5名)を受けた。
「ASAPは極めて希少ながんであるため、この患者集団を対象とした研究は必然的に小規模になります」とChen氏は説明した。「長期的な分析において、これら17名の患者は、アテゾリズマブによる長期療法の安全性に関する貴重な知見を提供してくれました。」
17名の患者のうち、3名がグレード2または3の治療関連有害事象(TRAE)を経験した。これらは中等度から重度の症状とみなされるが、直ちに生命を脅かすものではなく、入院を必要としないものである。アテゾリズマブとベバシズマブの併用療法を受けていた1名の患者は、肝障害の兆候となり得るグレード3のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の上昇を経験した。また、アテゾリズマブとベバシズマブの併用療法を受けていた別の患者では、グレード2の高血圧症(または高血圧)および腎障害の兆候となり得るグレード2のタンパク尿が認められた。さらに、アテゾリズマブ単独療法を受けていた1人の患者では、皮膚をかきむしりたくなるようなかゆみの感覚であるグレード2のそう痒症が認められた。
「2年以上免疫療法薬の投与を受けた患者において、毒性の増加を示す証拠は認められず、この知見は5年以上治療を受けた患者においても同様でした」とChen氏は述べた。「これは、転移性疾患を抱えながら長期間生存する可能性がある思春期および若年成人の胞巣状軟部肉腫患者にとって、特に重要なことです。」
Chen氏はさらに、アテゾリズマブに関連するTRAEのいずれもが治療の中止につながることはなく、すべての症状は最終的に解消されたと付け加えた。そう痒症は外用薬および内服薬で治療され、AST値の上昇はベバシズマブの減量後に解消し、高血圧は降圧薬による治療後に解消した。
「重要な点として、肺がんなどの他のがんに対する免疫療法薬の長期使用時に時折見られるような遅発性TRAEは、本研究では観察されませんでした」とChen氏は付け加えた。「これは、患者の年齢が若いこと、あるいは胞巣状軟部肉腫特有の生物学的特性に関連している可能性があります。胞巣状軟部肉腫を適応症とするアテゾリズマブの承認が複数の国で進んでいる中、実臨床の医療データも、この患者集団における免疫療法薬の長期的な影響を理解する上で重要な役割を果たすことになるでしょう。」
本研究の限界には、対象患者数の少なさがある。試験治療計画(プロトコル)では、無増悪治療を2年間継続した後、アテゾリズマブの投与休止が認められていたため、2年を超えて治療を受けた患者数をさらに減少させた。
本研究は、NCIおよびNIHからの連邦資金により支援され、薬剤と資金を提供したジェネンテック社からも一部支援を受けた。NCIは、ジェネンテック社およびアストラゼネカ社と協同研究開発協定(CRADA)を締結している。Chen氏は利益相反がないことを表明している。
NIH所属著者の貢献は、NIHの連邦職員としての公務の一環として行われたものであり、機関の方針要件に準拠しており、米国政府の著作物とみなされる。ただし、本会議で提示された知見および結論は発表者個人のものであり、必ずしもNIHまたは米国保健福祉省の見解や方針を反映するものではない。また、市販製品への言及は、米国政府による推奨を意味するものではない。
- 監修 遠藤 誠 (肉腫、骨軟部腫瘍/九州大学病院)
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- 原文掲載日 2026/04/18
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