HER2変異肺がん初回治療でトラスツズマブ デルクステカンが無増悪生存期間延長
ダナファーバーがん研究所の研究者らが主導した新たな研究により、進行または転移性HER2変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、初回治療としてのトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd、販売名:エンハーツ)が、ペムブロリズマブ+プラチナ製剤ベースの化学療法と比較して、無増悪生存期間を有意に延長したことが明らかになった。この知見は、トラスツズマブ デルクステカンがこの患者集団にとって新たな初回治療の選択肢となり得ることを示唆している。
この結果は、2026年9月14日に大韓民国ソウルで開催された国際肺癌学会(IASLC)2026年世界肺癌会議(WCLC)において、ダナファーバーのLowe胸部腫瘍センター臨床部長兼胸部腫瘍学臨床研究部長であるJulia Rotow医師によって発表された。
DESTINY-Lung04は、HER2変異陽性非小細胞肺がん患者において、HER2標的療法が標準的な初回化学免疫療法を上回る効果を示した世界初の無作為化第3相試験である。本試験において、盲検化独立中央審査による無増悪生存期間の中央値は、トラスツズマブ デルクステカン群で14.3カ月であったのに対し、ペムブロリズマブ+化学療法の併用群では8.3カ月であり、これは進行または死亡のリスクが37%低減したことを示している。
「DESTINY-Lung04は、HER2変異陽性非小細胞肺がん患者に対する初回治療として、世界的な標準治療と比較したHER2標的療法の有用性を実証した初の第3相試験です」とRotow医師は述べた。
本試験には、HER2エクソン19またはエクソン20変異を有する、切除不能な局所進行または転移性非扁平上皮非小細胞肺がんの未治療患者454人が登録された。患者は、3週間ごとにトラスツズマブ デルクステカンの単剤療法を受ける群、またはペムブロリズマブ+プラチナ系化学療法およびペメトレキセドの併用療法を受ける群に無作為に割り付けられた。
トラスツズマブ デルクステカンはまた、ペムブロリズマブ+化学療法の併用療法よりも高い奏効率を示した。客観的奏効率は、トラスツズマブ デルクステカン群で70.0%、標準治療群で44.5%であり、奏効期間の中央値はそれぞれ13.4カ月と9.7カ月であった。
「これらの結果は、進行または転移性HER2変異陽性非小細胞肺がん患者にとって、初回治療としてのトラスツズマブ デルクステカンが、無増悪生存期間および奏効において著しい改善をもたらすことを示している」とRotow医師は述べた。「この知見は、より効果的なHER2標的療法が求められているこの患者集団にとって、トラスツズマブ デルクステカンが新たな初回治療選択肢となることを裏付けている」。
トラスツズマブ デルクステカン群の全生存期間中央値は29.3カ月、ペムブロリズマブ+化学療法の併用群では33.1カ月であったが、研究者らは、両群間でその後の治療に違いがあったことが結果の解釈を複雑にしている点を指摘した。DESTINY-Lung04試験の結果は、HER2変異陽性非小細胞肺がん患者にとって、初回治療としてのトラスツズマブ デルクステカンが重要な新たな治療選択肢であることを裏付けている。
- 記事担当 山口 美智子
- 監修 吉松由貴(呼吸器内科/University of Greenwich, Queen Elizabeth Hospital)
- 原文を見る
- 原文掲載日 2026/9/14
【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。
肺がんに関連する記事
肺がんリスクを劇的に高める稀な遺伝性EGFR T790M遺伝子変異
2026年10月14日
米FDAが局所進行/転移性の非扁平上皮、非小細胞肺がんにセバベルチニブを迅速承認
2026年10月9日
ダラクソンラシブ、RAS変異肺がんで有望な抗腫瘍活性を示す
2026年9月28日
EGFR標的抗体イボネスシマブが治療抵抗性の進行肺がんの転帰を改善
2026年9月18日



