【SABCS25】新たなホルモン療法薬ギレデストラント、早期乳がんで無病生存期間が標準治療を上回る
早期のホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性の乳がん患者に対し、臨床試験段階の経口選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)であるギレデストラント(giredestrant)を術後治療として投与したところ、現行の標準ホルモン療法と比較して無浸潤疾患生存期間(iDFS)が有意に改善した。結果は第3相IidERA試験によるもので、サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)(2025年12月9日〜12日)で発表された。
「HR陽性乳がんの患者さんは、乳がん全体の約70%を占めます。こういった患者さんに対して、早期段階で効果的な術後治療を行うことで、微小転移を根絶し、根治を目指す治療環境で生存率を高める現実的なチャンスが生まれます」「現在、これらの患者さんの最大3分の1が術後ホルモン療法中または終了後に再発し、多くの患者さんが治療の忍容性の問題を抱えています。より効果的で、より忍容性の高い治療選択肢が必要です」と、発表者であるAditya Bardia医師(MPH)(カリフォルニア大学ロサンゼルス校ジョンソン総合がんセンター医学教授、トランスレーショナル・リサーチ統合部門ディレクター)は述べた。
この国際共同ランダム化非盲検化多施設試験において、Bardia氏らはHR陽性HER2陰性ステージ1〜3の乳がん患者を登録し、ギレデストラントと現行の標準治療とで安全性および有効性を比較評価した。登録患者は全員手術を受け、適応があれば術後または術前化学療法を完了していた。参加者の年齢中央値は54歳で、59%が閉経後であった。
このランダム化臨床試験では、研究者らは4,170人の患者を、ギレデストラント30 mgを投与する群、または、標準ホルモン療法薬4種(タモキシフェン、レトロゾール、アナストロゾール、エキセメスタン)から処方医が選択した1種を投与する群のいずれかに1:1で割り付けた。患者は28日サイクルで毎日投与を受け、5年経過するか許容できない毒性が出現するまで治療を継続した。
研究者らは主要評価項目をiDFSとし、副次評価項目を全生存期間(OS)および無遠隔再発生存期間(DRFI)とした。
試験は事前に定められた中間解析で主要評価項目を達成した。追跡期間中央値32.3カ月時点で、ギレデストラントを投与された患者は標準ホルモン療法を受けた患者よりもiDFSが有意に改善し、追跡時点で浸潤性乳がんの発症リスクが30%低かった。
副次評価項目であるDRFIも達成された。追跡時点でギレデストラント群は標準治療群と比べて遠隔再発のリスクが31%低かった。
「ギレデストラントは、現在確立されている標準ホルモン療法薬であるアロマターゼ阻害薬およびタモキシフェンに対して臨床的に意味のある優越性を示しました」とBardia氏は述べた。「特に注目すべき重要な点は、生存曲線が早期に分離していることです」と予備的なOSデータに言及して付け加えた。追跡期間が限られているためOSデータは未成熟であるが、標準治療よりギレデストラントで良い傾向を示していたと説明した。
ギレデストラント群および標準治療群の双方で多くみられた治療関連有害事象(TEAE)は関節痛、ほてり、頭痛であり、いずれも主に低グレードで非重篤であった。これらTEAEの頻度は両群で類似していた。グレード3および4のTEAEは高血圧と関節痛などであった。TEAEによる死亡は少数であり、ギレデストラント群で6人、標準治療群で16人が死亡したが、ギレデストラント群では治療関連死は認められなかった(標準治療群では1人)。
Bardia氏によれば徐脈は経口SERDに共通するクラス効果であり、ギレデストラント群の方が11.3%と高く、標準治療群では3.2%であった。大部分はグレード1で無症状かつ非重篤であり、治療の中断や中止を要しなかった。グレード2の有害事象(1%未満)は併存疾患や降圧薬が影響していたが、すべて改善した。ギレデストラント群で6人、標準治療群で16人が死亡したが、治療関連有害事象で死亡した人はわずかであり、ギレデストラント群ではゼロ、標準治療群で1人であった。
「四半世紀以上にわたり、タモキシフェンとアロマターゼ阻害薬は早期乳がん患者の標準ホルモン療法として用いられてきました」とBardia氏は述べた。「lidERAの結果は、ギレデストラントがタモキシフェンおよびアロマターゼ阻害薬に対して臨床的優越性を示し、HR陽性HER2陰性早期乳がん患者に対するホルモン療法の新たな標準となりうることを示しています」と述べた。
本研究の限界には、追跡期間が短いことおよびOSデータが未成熟であることが含まれる。
*本研究の情報開示については、原文を参照のこと。
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