EGFR標的抗体イボネスシマブが治療抵抗性の進行肺がんの転帰を改善
- 第3相HARMONi試験では、治療に対して腫瘍が反応しなくなったEGFR変異陽性肺がん患者を対象に、ivonescimab[イボネスシマブ]と化学療法の併用療法を評価した
- この併用療法は、化学療法単独と比較して、がん進行のリスクをほぼ半減させた
- イボネスシマブ+化学療法併用群では、無増悪生存期間が2カ月超延長した
テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者による新たな研究によると、新規の二重特異性免疫療法であるイボネスシマブと化学療法の併用治療を受けたEGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者では、化学療法単独を受けた患者と比較して、がんの進行または死亡を経験する可能性が48%低かった。
The Lancet Oncology誌に掲載された国際第3相HARMONi試験の結果によると、この併用療法を受けた患者の無増悪生存期間(PFS)中央値は6.8カ月であり、化学療法単独群の4.4カ月を上回った。また、この治療法は、管理可能な安全性プロファイルを維持しながら、腫瘍奏効の向上も示した。
本試験の共同責任者であるXiuning Le医学博士(胸部・頭頸部腫瘍内科准教授)は次のように述べた。「EGFR標的療法は著しい進歩を遂げているものの、ほとんどの患者では最終的に薬剤耐性の出現が避けられず、病勢進行後の治療選択肢は限られています」。「これらの結果は、化学療法にイボネスシマブを追加することで疾患制御を延長でき、こうした患者にとって重要な新たな治療選択肢となり得ることを示しています」。
イボネスシマブは、EGFR変異陽性肺がん患者における治療上の課題にどのように対処するのか?
EGFR変異陽性非小細胞肺がん患者は、EGFR標的療法から大きな恩恵を受ける一方で、その大半が最終的に治療耐性を獲得する。耐性獲得後は、治療成績が十分とは言えないにもかかわらず、プラチナ製剤ベースの化学療法が依然として標準治療の選択肢となっている。
イボネスシマブは、腫瘍増殖や免疫回避に関与する2つのタンパク質であるPD-1およびVEGFの両方を標的とするよう設計された二重特異性抗体である。研究者らは、これらの経路を同時に阻害することで、EGFR変異陽性肺がんにおける耐性のメカニズムを克服できる可能性があると考えている。
HARMONi試験で明らかになった主な結果は何か?
この無作為化第3相試験には、第3世代EGFR標的療法後に病勢が進行したアジア、欧州および北米の患者438人が登録された。患者は、イボネスシマブと化学療法の併用療法を受ける群、または化学療法を単独で受ける群に無作為に割り付けられた。
イボネスシマブは、無増悪生存期間を改善しただけでなく、腫瘍奏効率も向上させた。この併用療法により、45%の患者で腫瘍縮小が得られたのに対し、化学療法単独群では34%であった。奏効期間もより長く、併用療法群では中央値7.6カ月であったのに対し、化学療法単独群では4.2カ月であった。
また研究者らは、これらの患者において、進行が生じやすく治療も困難な脳での疾患制御が改善したことも確認した。イボネシマブを投与された患者では、脳内でがん進行が認められるまでの期間の中央値が13.7カ月であったのに対し、化学療法単独群では10.3カ月であった。全生存期間の中央値は、イボネスシマブ投与群で16.8カ月、化学療法単独群で14.0カ月であった。
特に多くみられた重度の副作用は、血球数減少および貧血であった。本研究の限界の一つとして、北米および欧州の患者における追跡期間が当初の計画より短かったことが挙げられる。そのため、治療が長期生存に与える影響をより深く理解するためには、さらなる追跡調査が必要である。
- 監訳 高濱隆幸(腫瘍内科・呼吸器内科/近畿大学病院 ゲノム医療センター)
- 記事担当者 山口美智子
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- 原文掲載日 2026/09/14
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