EGFR変異非小細胞肺がんで、オシメルチニブと化学療法の併用が全生存期間を延長

EGFR変異非小細胞肺がんで、オシメルチニブと化学療法の併用が全生存期間を延長

標準の一次治療であるEGFR-TKI療法に化学療法の追加で有益性を確認: ダナファーバーが共同で主導した第3相FLAURA2試験の最終解析

EGFR変異陽性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)と新たに診断された患者に対するオシメルチニブ(商品名:タグリッソ)と化学療法(プラチナ製剤+ペメトレキセド)の併用療法は、オシメルチニブ単独と比較して統計学的に有意かつ臨床的に意味のある全生存期間の改善を示した。これは、ダナファーバーがん研究所およびグスタフルーシー研究所(フランス、グランパリ、ヴィルジュイフ)の研究者らが共同で主導した国際第3相試験FLAURA2の全データを解析して得られた結果である。全生存期間の中央値は、オシメルチニブと化学療法(プラチナ製剤+ペメトレキセド)群で47.5カ月、オシメルチニブ単独群で37.6カ月であった。

FLAURA2試験の結果は、ドイツ、ベルリンで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2025)で発表され、同時にNew England Journal of Medicine誌にも掲載された。

「これは、この患者集団においてこれまでの臨床試験で確認された中で最も長い全生存期間です。併用療法が単剤治療を上回る改善をもたらすことを示しています。このデータは、オシメルチニブと化学療法の併用を一次治療の標準治療として確立する根拠となります」とダナファーバーLowe Center for Thoracic Oncologyの所長であり、ESMOの発表者で共同主任研究者であるPasi A. Jänne医師は述べる。

Jänne氏は、併用療法が予後不良のグループにも有益である可能性を示すデータを発表した。たとえば、中枢神経系に転移を有する患者では、オシメルチニブと化学療法群の全生存期間中央値が40.9カ月であったのに対し、オシメルチニブ単独群では29.7カ月であった。

米国では非小細胞肺がん患者の約10〜15%、アジアでは約50%が腫瘍に上皮成長因子受容体(EGFR)変異を有しており、この変異ががんの増殖を促進している。

FLAURA2試験では、オシメルチニブ単剤療法でみられる再発を防ぐ目的で、治療初期からプラチナ製剤+ペメトレキセドを併用する効果を検証した。オシメルチニブは第3世代のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬である。

この併用療法は、オシメルチニブ単剤と比較して無増悪生存期間を延長したというFLAURA2試験の結果をもとに、2024年2月に米国食品医薬品局(FDA)により承認された。今回の最終報告では、全生存期間の延長が示され、特に予後不良の患者を含む幅広い患者に対する併用療法の有益性が裏づけられた。

「これは非常に喜ばしい進展です」とJänne氏は述べ、「治療の初期段階から併用療法を導入することによる利点が示されました。今後、この成果を基盤として、治療開始時から有効性を高める新たな併用療法の開発につなげることができると思います」と語っている。

併用療法を受ける患者では、化学療法による副作用が加わる。副作用には、吐き気、嘔吐、倦怠感、骨髄抑制などがあり、特にプラチナ製剤を使用する最初の数カ月に強くみられるが、オシメルチニブとペメトレキセドによる維持療法の段階では軽減する。

「EGFR変異陽性非小細胞肺がんと新たに診断された患者さんには現在、併用療法や単剤療法など、複数の選択肢があり、大変素晴らしいことです」とJänne氏は述べる。「患者さんには選択肢があり、最大の生存利益と副作用のバランスをとるために、患者さんと共に意思決定をすることが非常に重要です」と語っている。

本研究はAstraZenecaの資金提供により実施された。

  • 監修 稲尾 崇(呼吸器内科/神鋼記念病院)
  • 記事担当者 平沢沙枝
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  • 原文掲載日 2025/10/17

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