抗体薬物複合体Zociは治療歴ある小細胞肺がんに臨床効果を示す

抗体薬物複合体Zociは治療歴ある小細胞肺がんに臨床効果を示す

第1相臨床試験で、脳転移を有する患者にも効果が認められた

DLL3タンパク質を標的とする薬剤として検証中の抗体薬物複合体(ADC)Zocilurtatug pelitecan (略称:Zoci[ゾシ]、別称:ZL-1310)は、第1相臨床試験において、進展型小細胞肺がん患者における安全性と抗腫瘍効果の可能性の両方を示した。この試験結果は、10月22日から26日に開催された米国癌学会(AACR)-NCI-EORTC分子標的・がん治療国際会議で発表された。

小細胞肺がん(SCLC)は米国の肺がん症例全体の約12%を占め、最新のデータによると5年相対生存率は9%と、極めて悪性度の高い疾患である。「進展期小細胞肺がんの患者の多くは依然として、化学療法と免疫療法による標準治療後も再発することが多い」と、ロズウェルパーク総合がんセンター胸部トランスレーショナルリサーチディレクターのGrace K. Dy医師は説明する。

「DLL3は小細胞肺がん細胞で高発現する傾向があるため、同肺がんの薬剤開発において有効な標的です。最新のリンカー/ペイロード技術を採用した新規抗体薬物複合体(ADC)であるzociは、従来のDLL3を標的とするADCのアプローチを改良し、毒性を低減して治療指数を高めます。これにより、患者転帰の改善につながることを期待しています」。

Dy医師によると、小細胞肺がん細胞上のDLL3タンパク質に結合するよう設計された抗体に、がんを殺すトポイソメラーゼ1阻害剤のペイロードを付加することにより、健康な細胞には影響を与えずにSCLCに細胞死を誘導するよう薬剤設計された、とのことである。

Dy医師らは、多施設共同の非盲検第1相臨床試験において、プラチナ製剤ベースの化学療法後に病勢進行した進展型小細胞肺がん患者115人を対象にZociを検討した。これらの患者のうち、37人(32%)は脳転移のある進展型小細胞肺がんであった。これらの患者は、利用可能な治療法をすでに複数受けており、90%はPD-L1阻害薬による治療、44%は2種類以上の前治療を受けていた。全患者は、病勢進行または許容できない毒性が発現するまで、Zociを3週間ごとに静脈内投与され、投与量は0.8 mg/kgから2.8 mg/kgまで漸増された。治療サイクルは1サイクルから22サイクルまでで、評価対象となった患者が受けた治療サイクルの中央値は6サイクルであった。Zociは、データカットオフ時に評価可能であった102人の患者で抗腫瘍活性を示し、確定された客観的奏効率(ORR)は全用量レベルで47%であった(加えて未確定の奏効が3%に認められた。研究者らによると、すべての用量レベルを通じて、完全奏効3人、部分奏効45人(加えて、未確定の部分奏効3人)、および病状安定39人が観察された。1.6 mg/kgの患者コホートは、19人の患者(前治療歴1ライン)において、治療に対する客観的奏効率が最も高く、部分奏効58%(加えて未確定10%)であった。無症候性脳転移のある32人の患者は、他のいかなる患者サブグループよりも治療効果が良好であり、奏効率(ORR)66%で、その内訳は完全奏効1人、部分奏効19人(加えて未確定の部分奏効1人)であった。治療開始時点で未治療の脳転移を有する患者においても奏効が認められた(10人中8人)。

研究チームは、DLL3発現検査で陰性であった4人の患者においても治療効果を観察し、この患者群の奏効率は50%であった。DLL3を標的とした治療を既に受けたことのある10人の患者は、Zociへの奏効率が40%で、完全奏効1人、部分奏効3人が含まれた。

「これらの結果は、Zociが進展期小細胞肺がん患者において、現在利用可能な標準治療選択肢と比較して優れた奏効率を達成できることを示しています」とDy医師は述べる。

Dy医師によれば、患者のZoci忍容性は比較的良好で、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は115人中23人(20%)で報告された。最も頻度の高いTRAEは貧血と好中球減少症(血中好中球数の異常低下)であった。1.2 mg/kgおよび1.6 mg/kgの用量では、有害事象により5.6%の患者で用量減量が必要となったが、薬剤の投与中止はなかった。

「拡大コホート試験で評価中の現行用量において、Zociの毒性プロファイルは管理可能であり、有害事象によって用量減量や投与中止に至る割合は低い」とDy医師は言う。「本試験で観察された比較的高い奏効率は、現在検証中である、小細胞肺がん(SCLC)に対する一次治療としてのZociの可能性を示唆している」。

「今回、進展期小細胞肺がんに対してこれまで用いられてきた二次治療より高い奏効率を得たのですが、この試験は厳選された患者集団を対象としているため、Zociの治療薬としての優位性を確立するには、より大規模な試験が必要となるでしょう」と同医師は指摘した。

本研究の限界は、その規模と、登録患者が主に大学病院における臨床試験への参加資格に基づいて厳選された点である。本研究はZai Labの資金提供を受けた。Dy医師がコンサルタント料または謝礼報酬を受け取っていたことを明らかにした企業は以下の通りである:Amgen, AstraZeneca, Bayer, Bristol Myers Squibb, Janssen, Novartis, Regeneron, Whitehawk Therapeutics

  • 監修 田中文啓(呼吸器外科/産業医科大学)
  • 原文を見る
  • 原文掲載日 2025/10/22

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

肺がんに関連する記事

【ASCO26】イボネスシマブが一部の肺がん患者の全生存期間を延長の画像

【ASCO26】イボネスシマブが一部の肺がん患者の全生存期間を延長

PD-L1タンパクの発現レベルに関わらず効果があることが新たなデータで示された。ASCOの見解(引用)「これは、進行扁平上皮肺がん患者において、抗PD-1/VEGF二重...
【ASCO26】セルペルカチニブ、早期RET陽性肺がんの補助療法で再発、進行を抑制の画像

【ASCO26】セルペルカチニブ、早期RET陽性肺がんの補助療法で再発、進行を抑制

ASCOの見解(引用)「LIBRETTO-432試験は、RET融合遺伝子陽性で早期の非小細胞肺がん(NSCLC)を対象に、RETキナーゼ阻害薬を補助療法として評価した初めてかつ...
【ASCO26】GLP-1受容体作動薬が特定の肥満関連がんの転移進行を抑制する可能性の画像

【ASCO26】GLP-1受容体作動薬が特定の肥満関連がんの転移進行を抑制する可能性

ASCOの見解(引用)「GLP-1受容体作動薬は、単なる血糖降下薬ではありません。その抗炎症作用や免疫調節作用から、以前からより広範な効果が示唆されていました。ここで注目すべき...
【AACR26】進行肺がんに次世代KRAS G12C阻害薬エリスラシブが有望な奏効率を示すの画像

【AACR26】進行肺がんに次世代KRAS G12C阻害薬エリスラシブが有望な奏効率を示す

これまでKRAS G12C阻害薬による治療を受けていない患者、およびKRAS G12C阻害薬による治療中に病状が進行した患者の両方で効果が認められた
 
開発中の次世代KRAS G12C阻...