進行ステージIII非小細胞肺がんに対する化学免疫療法戦略の有望性

進行ステージIII非小細胞肺がんに対する化学免疫療法戦略の有望性

研究タイトル

切除不能および切除可能境界のステージIII非小細胞肺がんに対して抗PD-1抗体薬/抗PD-L1抗体薬と化学療法を併用する術前療法

概要

ダナファーバーがん研究所の研究者らが主導した研究で、手術による切除が困難または不可能とみなされる高悪性度ステージIII非小細胞肺がん患者において、化学療法と免疫療法の術前併用療法は腫瘍を縮小させ、手術を可能にすることが明らかになった。

この多施設共同観察研究は、スローンケタリング記念がんセンターおよびイタリア・ローマのIRCCSレジーナ・エレナ国立がん研究所の共同で実施された。米国およびイタリアのがんセンターで化学免疫療法(化学療法と、PD-1またはPD-L1を阻害する免疫チェックポイント阻害薬の併用)を受けた患者112人のデータを解析した。治療後、患者の75%が手術を受けることができる状態になった。これらの患者のうち、3人に1人は腫瘍が完全に消失した。この治療では、特に腫瘍が完全に消失した患者において、無増悪生存期間も有意に延長した。腫瘍中のPD-L1レベルが高い患者では、病理学的完全奏効と無イベント生存期間延長が得られる可能性が高かった。KRASおよびSTK11、または、KRASおよびKEAP1の変異を有する患者においては、このアプローチによる有益性はみられなかった。

意義

切除不能または切除可能境界のステージIII非小細胞肺がん患者は、治療選択肢が限られている。本研究の結果は、この患者群のうち慎重に選定された患者に対し、術前化学免疫療法を治療戦略として提供する新たな可能性を示唆している。今回の知見を確認し、この治療法が最も奏効する患者を特定するために、前向きランダム化試験を行う必要がある。

  • 監修 小宮武文(腫瘍内科/Penn State College of Medicine)
  • 記事担当者 山田登志子
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  • 原文掲載日 2025/06/27

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