FDAが古典的ホジキンリンパ腫の小児にブレンツキシマブ ベドチン+化学療法併用を承認

2022年11月10日、米国食品医薬品局(FDA)は、2歳以上の小児で治療歴のない高リスクの古典的ホジキンリンパ腫(cHL)患者を対象に、ブレンツキシマブ ベドチン(販売名:アドセトリス、Seagen, Inc.社)とドキソルビシン + ビンクリスチン + エトポシド + プレドニゾン + シクロホスファミドとの併用療法を承認した。ブレンツキシマブ ベドチンの小児に対する承認はこれが初めてである。

この投与方法に対する有効性はランダム化、非盲検、実薬対照試験で検討された。高リスクとは、Ann Arbor病期分類での IIB期で巨大腫瘤性病変を伴うもの、および、IIIB期、 IVA期、IVB期と定義した。計600人の患者のうち、300人がブレンツキシマブ ベドチン+ ドキソルビシン(A)にビンクリスチン(V)+ エトポシド(E)+ プレドニゾン(P)+ シクロホスファミド(C)を併用する「ブレンツキシマブ ベドチン+ AVEPC」群に、300人がAにブレオマイシン(B)+ V + E + P + Cを併用する「ABVE-PC群」にそれぞれ無作為に割り付けられた。試験では各群の患者に以下のレジメンを最大5サイクル実施した。

・ブレンツキシマブ ベドチン+ AVEPC群:30分かけてブレンツキシマブ ベドチンを1.8 mg/kg(サイクルの1日目)、ドキソルビシンを25 mg/m2(1日目および2日目)、ビンクリスチンを1.4 mg/m2(8日目)、エトポシドを125 mg/m2(1~3日目)、プレドニゾン20 mg/m2を1日2回(1~7日目)、シクロホスファミドを600 mg/m2(1日目および2日目)を投与。

 ・ABVE-PC群:ドキソルビシンを25 mg/m2(サイクルの1日目および2日目)、ブレオマイシンを5 単位/m2(1日目)+ 10 単位/m2(8日目)、ビンクリスチンを1.4 mg/m2(1日目および8日目)、エトポシドを125 mg/m2(1~3日目)、プレドニゾン20 mg/m2を1日2回(1~7日目)、シクロホスファミドを600 mg/m2(1日目および2日目)を投与。

有効性の主要評価項目は無イベント生存期間(EFS)とし、これは無作為割付けの時点から、疾患進行または再発、二次性悪性腫瘍の発現、原因を問わない死亡のうち、いずれかで最も早いものまでの期間と定義された。EFSはどちらの群も中央値に達しなかった。ブレンツキシマブ ベドチン+ AVEPC群に23件(8%)、ABVE-PC群に52件(17%)のイベントが認められ、対応するハザード比は0.41(95%CI:0.25, 0.67、p=0.0002)であった。

ブレンツキシマブ ベドチン+ AVEPC群の小児患者で最も多くみられたグレード 3以上の副作用(≥5%)は好中球減少、貧血、血小板減少、発熱性好中球減少、口内炎、感染症であった。

2歳以上の小児に対するブレンツキシマブ ベドチンの推奨用量は、AVEPCとの併用下で1.8 mg/kgから最大180 mgを3週間に1回、最大投与回数は5回である。

アドセトリスの添付文書全文はこちらを参照。

監訳:喜安 純一(血液内科・血液病理/飯塚病院 血液内科)

翻訳担当者 伊藤 美奈子

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