ホジキンリンパ腫に対するニボルマブのFDA迅速承認

Oncology Approved Drug

2016年5月17日、米国食品医薬品局(FDA)は、自家造血幹細胞移植および移植後のブレンツキシマブ ベドチン(商品名:アドセトリス)投与後に、再発あるいは進行した古典的ホジキンリンパ腫患者の治療にニボルマブ(商品名:オプジーボ、ブリストル・マイヤーズスクイブ社より発売)を迅速承認した。

本承認は、再発あるいは難治性の古典的ホジキンリンパ腫の成人患者を対象とした、2件のニボルマブの単一群多施設臨床試験に基づいたものである。各試験には、リード-スターンバーグ細胞のPD-L1発現の状態を問わず患者を登録した。有効性の主要評価項目は、独立X線画像審査委員会により判定された奏効率であった。その他の評価項目は奏効期間などであった。

有効性の評価は、過去に自家造血幹細胞移植および移植後ブレンツキシマブ ベドチン治療を受けた95人の患者を対象に行った。患者は、過去に中央値で5回の全身的治療を終えており(3~15回)、試験では中央値17回(3~48回)のニボルマブの投与を受けた。ニボルマブ単剤での奏効率は65%(95% CI: 55%、75%)で、58%が部分寛解、7%が完全寛解に達した。効果発現までの期間中央値は2.1カ月(0.7カ月~5.7カ月)であった。奏効期間中央値は8.7カ月と推定された。

安全性は、再発あるいは難治性の古典的ホジキンリンパ腫患者263人を対象に評価したが、その98%が自家造血幹細胞移植を受けていた。患者には承認された投与計画に沿って中央値10回(1~48回)のニボルマブを投与した。最も多くみられた(少なくとも20%に報告された)すべてのグレードの副作用は、疲労、上気道感染、咳嗽、発熱、下痢であった。その他の多くみられた(少なくとも10%に報告された)副作用は、発疹、そう痒症、筋骨格痛、悪心、嘔吐、腹痛、頭痛、末梢性ニューロパチー、関節痛、呼吸困難、注入に伴う反応、甲状腺機能低下症および甲状腺炎などであった。

免疫介在性の副作用は、患者の1~5%に発生し、発疹、肺臓炎、肝炎、甲状腺機能亢進症、大腸炎などであった。重篤な副作用は、患者の21%に報告された。患者の1~3%で報告された最も多くみられた重篤な有害事象は、肺炎、胸水、肺臓炎、発熱、注入に伴う反応、発疹であった。

新しい「警告および使用上の注意」は、ニボルマブ投与後の同種造血幹細胞移植の合併症に対し示された。移植に関連した死亡が発生しており、医療従事者は、超急性対宿主性移植片病、重症急性対宿主性移植片病、ステロイド要求性発熱性症候群、肝中心静脈閉塞症、その他の免疫介在性の副作用などの移植後合併症の早期徴候に関して患者を注意深く観察する必要がある。FDAは製造業者に、ニボルマブ投与後の自家造血幹細胞移植の安全性をさらに検討するよう求めている。

推奨されるニボルマブの投与計画は、疾患の進行まで、あるいは容認できない毒性の発現まで、2週間毎に3mg/kgを静脈内投与するというものである。

古典的ホジキンリンパ腫治療薬としての承認は、ランダム化第3相試験による臨床的な有益性の検証次第で継続か否かが決まるだろう。

この申請は、処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)の審査期限である2016年9月1日よりも前に承認された。ニボルマブは、自家造血幹細胞移植およびブレンツキシマブ ベドチン治療無効後の、再発あるいは難治性の古典的ホジキンリンパ腫に対する画期的治療薬指定を受けた。ニボルマブはさらにホジキンリンパ腫治療に対する希少疾病用医薬品でもある。この申請は優先審査が認められ、FDAの迅速承認プログラムのもとで承認された。これらの促進プログラムの詳細は業界向けのガイダンス「重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品および生物学的製剤(Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)」http://www.fda.gov/downloads/drugs/guidancecomplianceregulatoryinformation/guidances/ucm358301.pdf.に記載されている。

全処方情報はhttp://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2016/125554s019lbl.pdfを参照のこと。

医療従事者は、医薬品および医療機器の使用との関連が疑われる重篤な有害事象をすべてFDAのMedWatch Reporting Systemに報告すること。報告は、オンライン上のフォーム(http://www.fda.gov/medwatch/report.htm)に入力するか、オンラインで提供されているフォームをFAX(1-800-FDA-0178)もしくは受取人払いで郵送するか、または電話(1-800-FDA-1088)で行うこと。

翻訳担当者 白鳥理枝

監修 金田澄子(薬学博士)

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原文掲載日 

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