プレリキサホルのFDA承認

原文 2008/12/16 掲載 2013/07/03更新

商標名:Mozobil™

・ 非ホジキンリンパ腫および多発性骨髄腫に対して承認(2008/12/15)

臨床試験情報、安全性、投与量、薬物間の相互作用および禁忌などの全処方情報がFull prescribing information(英文)で参照できます。

2008年12月15日、米国食品医薬品局(FDA)は、皮下注射用の液剤であるプレリキサホル(Mozobil™、製造元:Genzyme Corportaion社)を承認しました。非ホジキンリンパ腫(NHL)および多発性骨髄腫(MM)患者において、造血幹細胞を末梢血中に動員後、回収し、その後、自家移植時に顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)と併用して用いられます。

非ホジキンリンパ腫および多発性骨髄腫患者を対象とした、プレリキサホルのG-CSFとの併用療法の有効性および安全性は、2つのプラセボ対照試験(試験1および試験2)において、評価されました。患者は、アフェレーシスに先立ち、毎晩0.24mg/kgのプレリキサホルを投与される群と、プラセボを投与される群に、ランダムに割り付けられました。また全ての患者は、アフェレーシスに先立ち、プレリキサホルまたはプラセボ初回投与時の4日前から毎日G-CSFを10 μg/kg 投与されました。298人の非ホジキンリンパ腫患者を対象とした試験1の結果、および302人の多発性骨髄腫患者を対象とした試験2の結果が解析されました。

試験1では、プレリキサホルおよびG-CSF投与を受けた非ホジキンリンパ腫患者の59%が、4回以下のアフェレーシスによって末梢血から5 × 106 CD34+ cells/kg以上を回収されたのに比べ、プラセボおよびG-CSF投与を受けた患者では20%でした(p < 0.001)。5 × 106 CD34+ cells/kg以上を回収するのにかかった日数の中央値は、プレリキサホル投与群では3日、プラセボ群では評価不可能でした。

試験2では、プレリキサホルおよびG-CSF投与を受けた多発性骨髄腫患者の72%が、2回以下のアフェレーシスにより末梢血から6 × 106 CD34+ cells/kg以上を回収されたのに比べ、プラセボおよびG-CSF投与を受けた患者では34%でした(p < 0.001)。6 × 106 CD34+ cells/kg以上を回収するのにかかった日数の中央値は、プレリキサホル投与群では1日、プラセボ群では4日でした。

プレリキサホルのG-CSFとの併用における安全性データは、16の臨床試験に登録された983人の患者より得られました(598人の患者がランダム化された試験1および2に登録されたのに加え、410人の患者が14の非ランダム化試験に登録されました)。患者はまず、毎日0.24 mg/kg SCのプレリキサホル投与を受けました。プレリキサホル投与日数の中央値は2日(範囲1-7日)でした。

プレリキサホルをG-CSFとの併用で投与された患者において、最も頻発した有害事象(10%以上)は、下痢、悪心、疲労、注射部位反応、頭痛、関節痛、眩暈、嘔吐で、それらは、プラセボを投与された患者より高い頻度で起こりました。処方する医師や患者は、白血病患者における腫瘍細胞の集積、循環白血球の増加および血小板数の減少、脾臓増大、妊婦に投与した際の胎児への害、の可能性があることに注意しなければなりません。

------------
椎名 千尋 訳
関屋 昇(薬学) 監修 
------------

この薬剤情報のサマリーは、FDA抗腫瘍薬製品室長のRichard Pazdur医師により作成されています。米国食品医薬品局(FDA)とは米国保健社会福祉省(HHS)の一部門で、新薬その他の製品の安全性と有効性を確保するための機関です。 (FDA:医薬品・医療機器の承認方法の理解(原文)を参照。
FDAの使命は、安全かつ有効な製品の迅速な市場流通を促し、流通後も継続的に製品の安全性を監視することによって、国民の健康を守り、推進することです。

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

リンパ腫に関連する記事

CAR-T細胞療法は侵攻性リンパ腫に有益の画像

CAR-T細胞療法は侵攻性リンパ腫に有益

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ個別化免疫療法の一種であるCAR-T細胞療法は、一部の侵攻性非ホジキンリンパ腫(NHL)の治癒に役立つ可能性がある。これは、CAR-T細胞療...
FDAがびまん性大細胞型B細胞リンパ腫にglofitamab-gxbmを承認の画像

FDAがびまん性大細胞型B細胞リンパ腫にglofitamab-gxbmを承認

米国食品医薬品局(FDA)2023年6月15日、米国食品医薬品局(FDA)は、2ライン以上の全身療法後の再発または難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫非特定型(DLBCL, NOS)...
axi-celが早期再発/難治性大細胞型B細胞リンパ腫の生存期間を有意に改善-ASCO2023の画像

axi-celが早期再発/難治性大細胞型B細胞リンパ腫の生存期間を有意に改善-ASCO2023

MDアンダーソンがんセンター(MDA)第3相ZUMA-7試験で、CAR-T細胞療法は標準治療と比較して死亡リスクを27.4%低下させることが判明

早期再発または難治性の大細胞型B細胞リン...
原発性縦隔B細胞リンパ腫に化学免疫療法後の放射線治療は不要な可能性の画像

原発性縦隔B細胞リンパ腫に化学免疫療法後の放射線治療は不要な可能性

米国臨床腫瘍学会(ASCO2023)ASCOの見解「これらの知見は、若年成人に多く発生する悪性度の高い種類のリンパ腫において特に重要である。これらの心強いデータにより、高用量の...