フルダラ+ノバントロン導入療法後セヴァリン強化療法は濾胞性リンパ腫に100%寛解率をもたらす

キャンサーコンサルタンツ
2006年12月

イタリアの研究者は、少なくとも部分寛解または完全寛解(100%)を得た患者に、フルダラ(フルダラビン)[Fludara (fludarabine) ]とノバントロン(ミトキサントロン)(FM)[Novantrone (mitoxantrone)]の経口投与導入療法に、セヴァリンの追加治療をすることによって、100%の完全寛解率が得られたと報告した。この研究の詳細は、2006年の米国血液学会会議で発表された。

セヴァリンは、チウキセタン(MXDTPA)に接合されたマウスIgG1カッパモノクローナル抗体で、イットリウムやインジウムをキレート化し、Bリンパ球のCD20分子をターゲットにする。リツキサン (リツキシマブ)250mg/m2は通常セヴァリンによる治療が始まる7日前と、1日前に投与される。セヴァリンは、用量によって幹細胞サポートを行いながら投与することができる。標的化ラジオアイソトープを使用する根拠は、さらに特異性の高い放射線治療を行うことにより、毒性を減少させるためである。

完全寛解を得ることは、濾胞性リンパ腫患者の、最終的生存を予測するうえで重要な判断材料である、という新たな研究結果が報告されている。いくつかの研究は、完全寛解を得るためには、初期診断時に早期積極的治療を行うことが、現在の治療法において、もっとも有効である、と示唆している。米国血液学会会議で研究者グループは、濾胞性リンパ腫患者に完全寛解をもたらすための、一次治療の各種投薬計画の有効性についての評価を発表した。著者は、2421人の濾胞性リンパ腫患者における、化学療法のみによる治療、化学療法とリツキサン、フルダラ、または放射免疫療法の併用による治療(セヴァリンと、化学療法またはフルダラの併用)に関する25の論文を評価した。一番高い寛解率は、セヴァリン放射性免疫療法(79%)によって得られたと報告された。これに比べ、リツキサンによる投与計画は53%、フルダラによる投薬計画は68%の寛解率を得た。また、完全寛解を得た患者は、病気悪化の危険性が低かった。

この研究は、62人の未治療の低悪性度濾胞性リンパ腫患者における、フルダラ経口投与-ノバントロン(FM)による導入療法後の、セヴァリン強化療法を評価した。患者は6サイクルのFMを受け、4~6週時に再度評価された。計41人の患者が、FM後に完全寛解率73%と部分寛解率27%と評価された。よって、全ての患者がセヴァリンによる強化療法を受けた。全ての部分寛解患者は、セヴァリン投与後完全寛解になり、総体的完全寛解率は100%になった。全体的または無増悪生存率に関するデータは発表されなかった。

同研究者グループは、26人の未治療低悪性非濾胞性リンパ腫患者における、FMとセヴァリン追加療法の有効性について評価した。この2つの試験の大きな違いは、濾胞性リンパ腫患者にはフルダラが経口投与され、一方、非濾胞性リンパ腫患者には静脈内投与がされた。これらの患者は6サイクルのFM治療を受け、4~6週目に再度判定された。少なくとも部分寛解を得た患者はセヴァリンによる治療を受けた。FM治療後、完全寛解率は50%で、部分寛解率は31%であった。FMとセヴァリン治療の療法を受けた17人の患者が、評価可能であった。このうち、13人 (73%) の患者はFM後に完全寛解であり、この数字が(ゼヴァリン治療後に)88%に増えた。(部分寛解2例が、完全寛解を得た。) 全体的または無増悪生存率に関するデータは発表されなかった。

コメント

これらの研究結果は、フルダラ導入療法とセヴァリン追加治療は、低悪性リンパ腫患者に完全寛解をもたらすのに、とても有効な方法であると示唆し、最終的に、全体的生存率と無増悪生存率を向上させる可能性がある。


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翻訳担当者 ラスコ

監修 林 正樹(血液・腫瘍科)

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