ウォーキングはがん関連疲労の管理の鍵となることが示唆される

ウォーキングはがん関連疲労の管理の鍵となることが示唆される

ASCOの見解(引用)

「疲労は、がんサバイバーが直面する頻度の高い課題の一つです。本縦断的研究により、早期の大腸がんサバイバーにおいて、身体活動量の増加は生活の質(QOL)の向上につながることが明確に示されました」と、Joel Saltzman医師(Clevelandクリニック タウシグがんセンター地域腫瘍学部門 副部長、ASCO 消化器がん専門医)は述べた。

研究概要

焦点がん関連疲労を経験している大腸がん患者
対象者新たに診断された大腸がん患者1,718人
主な知見定期的な身体活動(特にウォーキング)は、大腸がん患者のがん関連疲労を軽減および生活の質(QOL)を向上させる可能性がある
意義・ 2025年には、米国で15万人が大腸がんと診断され、5万人以上が本疾患で死亡すると推定されている。
・がん関連疲労は、大腸がん患者および生存者が経験する高頻度の副作用の一つである。通常の疲労とは異なり、がん関連疲労は通常、休息を増やしても改善しない。
・疲労は患者の生活の質や機能能力に重大な影響を及ぼし、がん治療終了後も長期間持続することが多い。大腸がん生存者の約40%が、治療終了から数年経っても中等度から重度の疲労感を報告している。
・本研究は、大腸がん診断後2年間における身体活動のタイミングおよびその種類が、疲労感および生活の質にどのように関連するかを検証した、最初の研究の一つである。

定期的な身体活動、特にウォーキングは大腸がん患者のがん関連疲労を大幅に軽減し、生活の質(QOL)を改善することが新たな研究によって明らかになった。これは、特に治療後の状況において効果が顕著である。本研究成果は、2026年1月8日から10日にサンフランシスコで開催される米国臨床腫瘍学会(ASCO)消化器がんシンポジウムで発表される。

研究について

がん関連疲労の管理に役立つ薬剤は存在するものの、医師は治療関連の副作用軽減のため身体活動を推奨することが多い。しかし、大腸がん患者が疲労管理に最も効果的な身体活動のタイミングや種類に関する明確な証拠はこれまで存在しなかった。本研究では、大腸がん診断直後の2年間において、異なるレベルの身体活動ががん関連疲労にどのような影響を与えるかを明らかにすることを目的とした。

本研究では、International ColoCare研究に登録された1,718人の患者を対象とした。参加者の約5人に1人は診断時に転移性疾患を有していた。参加者の平均年齢は67歳で、約半数が女性であった(48%)。人種別では、白人75%、黒人15%、アジア系4%であった。

研究者らは診断時、診断後6カ月、1年、2年時点における参加者の身体活動レベルを評価した。身体活動レベルは国際標準化身体活動質問票(International Physical Activity Questionnaire: IPAQ)を用いて評価され、患者は過去1週間の身体活動頻度と継続時間を記録することが求められた。中程度の活動には早歩きや掃除を行うことなどが含まれ、激しい活動にはランニング、サイクリング、その他の高エネルギー消費活動が含まれた。

研究者らは、参加者の週間総代謝当量分(metabolic equivalent task:MET)を算出した。総代謝当量分は身体活動中に消費したエネルギー量を示す指標であり、総代謝当量分が少ないほど身体活動量が低いことを意味する。身体活動レベルは以下のように分類した。

  • 低度の身体活動(600 週間総代謝当量分 (MET) 未満)
  • 中程度の身体活動(600~3,000 週間総代謝当量分 (MET))
  • 高度の身体活動(3,000 週間総代謝当量分 (MET) 以上)

その後、欧州がん研究治療機構(EORTC)の生活の質(QOL)質問票を用いて、がん関連疲労と生活の質スコアを評価した。

主な知見

  • 本研究において、非転移性大腸がん患者において以下のことが明らかになった。
  • 診断後6~12カ月間にウォーキングを運動療法として実施したと報告した患者は、診断後2年時点でがん関連疲労スコアが低く、生活の質(QOL)スコアが高いという最大の利益を得ていた。
  • 具体的には、疲労スコアは診断時32.5から12カ月後29へ、24カ月後26.8へと有意に改善した。
  • 転移性疾患患者でも疲労の軽減が認められたが(診断時40.7から12カ月後37.1へ、24カ月後36.4へ改善)、その変化幅は小さく統計的有意性に達しなかった。
  • 研究者らはまた、診断時の身体活動レベルが長期的な疲労や生活の質(QOL)の転帰を確実に予測しないことも明らかにした。
  • 代わりに、診断時から1年後のフォローアップまで維持された患者の活動レベルは、より良好な転帰の強力な予測因子になった。
  • これらの知見は、治療後の回復期間が、身体活動を支援して長期的な症状負担を軽減するための行動介入にとって重要な時期である可能性を示唆している。

次のステップ

今後の取り組みでは、身体活動ががん関連疲労や生活の質(QOL)に影響を与える生物学的・行動学的経路の解明に焦点を当てる。研究チームは、ウェアラブルデバイスによるリアルタイムの活動量・睡眠パターンの追跡と、筋機能や回復を評価する代謝検査を統合したバイオマーカーの評価を計画している。さらに、社会経済的・人種的・民族的格差や治療関連の差異など、多様な患者集団における身体活動の障壁を調査し、より個別化されたサバイバーシップ介入策の立案に役立てる方針である。

本研究は米国国立衛生研究所(NIH)傘下の米国国立看護研究所(NINR)の助成を受けた。

  • 監訳 加藤恭郎(緩和医療、消化器外科、栄養管理、医療用手袋アレルギー/天理よろづ相談所病院 緩和ケア科)
  • 翻訳担当者 平 千鶴
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  • 原文掲載日 2026/01/06

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