FDAが再発/難治性多発性骨髄腫にメルファランを承認

2021年2月26日、米国食品医薬品局(FDA)は、再発/難治性多発性骨髄腫の成人患者で、4回以上の治療歴があり、1種類以上のプロテアソーム阻害薬、1種類の免疫調節薬、1種類の抗CD38モノクローナル抗体に抵抗性のある患者を対象に、デキサメタゾンと併用でメルファラン フルフェナミド(販売名:Pepaxto、Oncopeptides AB社)を迅速承認した。

有効性は、多施設共同、単群のHORIZON試験(NCT02963493)で評価された。対象患者は再発/難治性の多発性骨髄腫であった。メルファラン フルフェナミド40mgを1日目に静脈内投与し、デキサメタゾン40mg(75歳以上の患者は20mg)を、28日間を1サイクルとして1日目、8日目、15日目、22日目に経口投与し、疾患進行または許容できない毒性が生じるまで継続した。

有効性は、4回以上の治療歴があり、1種類以上のプロテアソーム阻害薬、1種類の免疫調節薬、および抗CD38抗体に抵抗性のある97人の患者を対象に評価した。主要有効性評価項目は、国際骨髄腫ワーキンググループ(IMWG)基準に基づき、治験分担医師により評価された奏効率(ORR)と奏効期間(DOR)であった。ORRは23.7%(95%信頼区間[CI]:15.7~33.4)、DOR中央値は4.2カ月(95%CI:3.2~7.6)であった。

安全性は、HORIZON試験に登録された157人の患者を対象に評価した。最もよくみられた副作用(20%以上)は、疲労、悪心、下痢、発熱、呼吸器感染症であった。最もよくみられた臨床検査値異常(50%以上)は、白血球減少、血小板減少、リンパ球減少、好中球減少、ヘモグロビン減少、クレアチニン増加であった。

移植を受ける患者の移植前処置としてメルファラン フルフェナミドを使用した場合の安全性と有効性は確立されていない。USPI(米国添付文書)には、メルファラン フルフェナミドは、臨床試験で使用する場合を除き、移植前処置としての使用は適応外であり、推奨しないという使用制限事項が記載されている。

メルファラン フルフェナミドの推奨用量は、デキサメタゾンとの併用で、28日間の各治療サイクルの1日目に40mgを30分かけて静脈内投与する。

Pepaxtoの全処方情報はこちらを参照。

翻訳担当者 滝坂美咲

監修 野﨑健司(血液・腫瘍内科/大阪大学大学院医学系研究科)

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