FDAが移植に適格な多発性骨髄腫にダラツムマブを承認

2019年9月26日、米国食品医薬品局(FDA)は、自家移植(ASCT)に適応のある初発多発性骨髄腫の成人患者に対して、ボルテゾミブ、サリドマイド、デキサメタゾンとの併用でのダラツムマブ(販売名:DARZALEX、Janssen社)を承認した。

有効性はCASSIOPEIA試験(NCT02541383)で評価された。本試験は、非盲検、ランダム化、実薬対照の第3相試験であり、ASCTに適応のある初発多発性骨髄腫患者を対象として、ボルテゾミブ、サリドマイド、デキサメタゾンとの併用でのダラツムマブ16mg/kg(DVTd)による寛解導入および地固め療法をボルテゾミブ、サリドマイド、デキサメタゾン(VTd)による治療と比較した。

今回の承認は、無増悪生存期間(PFS)、自家移植(ASCT)後100日目での厳格な完全奏効(sCR)率、ASCT後100日目での完全奏効(CR)率など、CASSIOPEIA試験からのデータに基づいている。この試験では、VTd群に比べてDVd群で無増悪生存期間(PFS)の改善がみられた。追跡期間の中央値18.8カ月の時点で、どちらの治療群もPFSの中央値に達していなかった。DVTd療法では、VTd療法に比べて増悪または死亡のリスクが53%減少した(ハザード比[HR]=0.47;95%信頼区間[CI]:0.33~0.67;p<0.0001)。自家移植(ASCT)後100日目での厳格な完全奏効率(sCR)は、DVTd群では28.9%、VTd群では20.3%であった。

ボルテゾミブ、サリドマイド、デキサメタゾンとの併用でダラツムマブを投与された初発多発性骨髄腫患者に最もよくみられた副作用は、インフュージョンリアクション、末梢性感覚ニューロパチー、便秘、無力症、悪心、末梢性浮腫、好中球減少症、血小板減少症、発熱、知覚異常であり、20%以上に認められた。DVTd群での発現頻度が少なくとも5%以上高かった副作用は、インフュージョンリアクション、悪心、好中球減少症、血小板減少症、リンパ球減少症、咳嗽であった。両治療群に、重篤な有害事象の頻度や種類の有意差はみられなかった。

ダラツムマブの推奨用量は、実際の体重1kgあたり16mgである。

DARZALEXの全処方情報はこちらを参照。

FDAは本申請を優先審査に指定した。FDA迅速承認プログラムに関する情報は、企業向けガイダンス「重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品およびバイオ医薬品」に記載されている。

翻訳担当者 福原真吾

監修 野﨑健司(血液・腫瘍内科/大阪大学大学院医学系研究科 )

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

骨髄腫に関連する記事

モメロチニブは骨髄線維症の症状や貧血を有意に改善の画像

モメロチニブは骨髄線維症の症状や貧血を有意に改善

第3相試験により標準療法を上回る意味のある効果が報告された骨髄線維症を標的治療薬モメロチニブで治療した場合、疾患関連症状(貧血や脾臓肥大など)に臨床的に有意な改善がみられたことが、テキ...
高リスクくすぶり型骨髄腫の治療効果予測に免疫プロファイルが関与の画像

高リスクくすぶり型骨髄腫の治療効果予測に免疫プロファイルが関与

多発性骨髄腫の前段階にいる多くの患者では、早期治療により骨髄腫への進行を遅らせることが可能である。ダナファーバーがん研究所の研究者らによる新たな研究で、免疫系細胞に認められる変化から、高リスク...
FDAが再発または難治性多発性骨髄腫にteclistamabを承認の画像

FDAが再発または難治性多発性骨髄腫にteclistamabを承認

2022年10月25日、米国食品医薬品局は、プロテアソーム阻害剤、免疫調節剤、抗CD38モノクローナル抗体を含む4ライン以上の治療を過去に受けたことがある再発または難治性多発性骨髄腫の成人患者に対し、初の二重特異性T細胞誘導抗体(BCMA:
GPRC5D抗原を標的としたCAR-T細胞療法が抵抗性多発性骨髄腫に有効性を示すの画像

GPRC5D抗原を標的としたCAR-T細胞療法が抵抗性多発性骨髄腫に有効性を示す

ダナファーバーがん研究所、スローンケタリング記念がんセンター、およびロズウェルパーク総合がんセンターの研究者らは、多発性骨髄腫患者を対象として、まだ十分に解明されていない細胞タンパク質を標的とするよう操作された免疫系T細胞による治療法を検討