米FDAが再発/難治性の多発性骨髄腫にリンボセルタマブ-gcptを迅速承認
2025年7月2日、米国食品医薬品局(FDA)は、プロテアソーム阻害薬(PI)、免疫調節薬(IMiD)、抗CD38モノクローナル抗体を含むフォースライン(4次治療)以上の治療を受けた再発または難治性の多発性骨髄腫の成人患者を対象に、二重特異性B細胞成熟抗原(BCMA)を標的としたCD3 T細胞誘導抗体であるlinvoseltamab-gcpt[リンボセルタマブ-gcpt](販売名:Lynozyfic、Regeneron Pharmaceuticals, Inc.社)を迅速承認した。
Lynozyficの詳細な処方情報はこちらに掲載される。
有効性と安全性
非盲検多施設共同多コホート試験であるLINKER-MM1(NCT03761108)で有効性を評価した。本試験には、プロテアソーム阻害薬、免疫調節薬、抗CD38抗体を含む少なくとも3種類の治療歴を持つ患者が組み入れられた。BCMA標的二重特異性抗体療法、二重特異性T細胞誘導療法、またはBCMA CAR-T細胞療法の治療歴を持つ患者は除外された。有効性評価対象集団には、プロテアソーム阻害薬、免疫調節薬、抗CD38モノクローナル抗体を含む少なくともフォースラインの前治療歴を持つ患者80人が含まれた。
有効性は、国際骨髄腫ワーキンググループ規準を用いた盲検独立中央判定によって評価された客観的奏効率(ORR)に基づいている。ORRは70%(95%信頼区間:59~80)であった。奏効例における追跡期間の中央値は11.3カ月であり、推定奏効期間(DOR)は9カ月時点で89%(95%信頼区間:77~95)、12カ月時点で72%(95%信頼区間:54~84)であった。
リンボセルタマブ-gcptの処方情報には、生命を脅かすサイトカイン放出症候群(CRS)および免疫エフェクター細胞関連神経毒性(ICANS)を含む神経毒性に関する枠囲み警告が含まれている。LINKER-MM1臨床試験において推奨用量でリンボセルタマブ-gcptを投与された患者では、サイトカイン放出症候群の発現率は46%、免疫エフェクター細胞関連神経毒性を含む神経毒性の発現率は54%であった。グレード3のサイトカイン放出症候群の発現率は1%未満、グレード3または4の神経毒性の発現率は8%であった。
サイトカイン放出症候群および神経毒性(免疫エフェクター細胞関連神経毒性を含む)のリスクがあるため、リンボセルタマブ-gcptは、リスク評価・緩和戦略(REMS)に基づく限定プログラム(Lynozyfic REMS)を通じてのみ入手可能である。その他の警告および注意事項には、感染症、好中球減少症、肝毒性、および胚・胎児毒性が含まれる。
推奨用量
リンボセルタマブ-gcpt静脈内投与の推奨用法は、5 mg、25 mg、200 mgと段階的に増量した後、200 mg 週1回で10回投与、その後200 mg 隔週1回投与である。24週目以降に最良部分奏効またはそれ以上の奏効を達成し、かつ200 mgを17回以上投与された患者では、投与頻度は200 mg 4週間に1回投与に減らされる。
- 監修 パーキソン理咲 (血液内科)
- 記事担当者 仲里芳子
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- 原文掲載日 2025/07/02
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