標準治療+メジグドミドで再発/難治性多発性骨髄腫の転帰が有意に改善
ダナファーバーがん研究所の研究者らが主導した第3相臨床試験の結果によると、再発・難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者において、カルフィルゾミブ(販売名:カイプロリス)とデキサメタゾンを用いた標準治療に経口薬mezigdomide[メジグドミド]を追加することで、標準治療単独と比較して無増悪生存期間が著しく改善したことが明らかになった。
Paul G.Richardson医師(ダナファーバーのジェローム・リッパー多発性骨髄腫センター臨床研究部長およびハーバード大学医学部のR.J. Corman教授)は、次のように述べた。「多発性骨髄腫が再発した患者や現在の標準治療に反応しなくなった患者にとって、利用可能な治療選択肢は比較的少ないのです。強力かつ新規の経口治療薬であるメジグドミドは、本知見により様々な治療状況において再発・難治性多発性骨髄腫の新たな標準治療となる裏づけが得られました」。
本知見は、5月29日~6月2日までシカゴで開催された2026年ASCO年次総会で最新の速報として発表され、The Lancet誌に掲載される予定である。
メジグドミドは、免疫系に強力な作用を及ぼす新しいクラスの経口薬である。セレブロンE3リガーゼ調節薬(CELMoD)として知られるこれらの薬剤は、標的タンパク質の分解と免疫系の活性化という二重の作用機序によって効果を発揮する。
メジグドミドはセレブロンと呼ばれるタンパク質に結合し、その構造を変化させることで骨髄腫細胞の生存に不可欠なタンパク質の動員(リクルートメント)と破壊を促進する。これらのがんを促進するタンパク質を排除することで、メジグドミドは体内の免疫系を刺激し、残存するがん細胞を攻撃・死滅させるよう促す。
これらの新薬は、レナリドミド(販売名:レブラミド)やポマリドミド(販売名:ポマリスト)といった他の免疫調節薬よりもセレブロンへの結合力が強いため、はるかに強力な治療効果をもたらし、薬剤耐性を克服する上でも有効である。
Richardson医師は次のように語った。「メジグドミドは、実験モデルにおいてセレブロンE3リガーゼ複合体を100%完全に閉鎖させます。これに対してレナリドミドやポマリドミドでは、せいぜい15~20%にとどまります。このことは前臨床段階において、骨髄腫細胞および免疫系に劇的な下流効果をもたらし、患者さんにとって顕著な臨床的利益につながります」。
「本薬剤は経口剤であるため、外来での使用が可能という利点があり、管理しやすく予測可能な安全性プロファイルを備えています。また、他の薬剤との併用も容易であり、再発・難治性多発性骨髄腫において顕著な相乗効果が示されています」。
Richardson医師および共同研究者らは、SUCCESSOR-2試験において、カルフィルゾミブとデキサメタゾンによる標準治療にメジグドミドを追加した場合、この3剤併用療法が、標準治療単独と比較して、疾患の進行がない期間(無増悪生存期間)などの治療成績を改善するかどうかを評価した。
本試験では、再発・難治性多発性骨髄腫の成人患者479人が、メジグドミド、カルフィルゾミブ、デキサメタゾンの群(288人)またはカルフィルゾミブとデキサメタゾンの群(191人)のいずれかの群に無作為に割り付けられた。患者はこれまでに、レナリドミド、ポマリドミド、プロテアソーム阻害剤、抗CD38モノクローナル抗体薬、BCMA標的薬など、少なくとも1次、最大8次治療を受けていた。これらの患者は、病気が再発したか、治療への反応が得られなくなっていた。
追跡期間の中央値10.6カ月後、メジグドミド群の患者は疾患の進行がない期間が中央値18カ月であったのに対し、標準治療を受けた患者では8.3カ月であった。これらの改善は、より進行性の疾患を有する患者を含む複数のサブグループで認められた。
メジグドミド群の患者の圧倒的多数(80.2%)が治療に対して何らかの反応を示したのに対し、標準治療群では患者のわずか半数(53.4%)にとどまった。完全寛解(疾患の徴候が認められない状態)については、メジグドミド群の患者のうち26.7%が達成したのに対し、標準治療のみを受けた群ではわずか8.9%にとどまった。
メジグドミド群の患者は治療期間が大幅に長かったため、標準治療群(56.5%)と比較して、治療関連の副作用の発生率が高かった(83.7%)。これらの副作用には、白血球数の減少(好中球減少症)や一部の感染症などが含まれていたが、管理可能であり、容易に回復することが確認された。予期せぬ副作用は認められず、毒性による治療中止率は著しく低かった。
研究者らは、SUCCESSOR-2試験の患者を対象に、全生存期間および特定のサブグループにおける有益性について引き続き評価を行っている。また、本試験およびその他の状況におけるメジグドミドの最適な使用法を明らかにするため、相関研究も実施している。
「再発・難治性多発性骨髄腫を対象としたメジグドミドに関するいくつかの重要な臨床試験では、ボルテゾミブとデキサメタゾンのような他の標準治療との併用が検討されており、実臨床におけるその有用性を確認するとともに、規制当局の承認に向けた幅広い基盤を提供しています。さらに、免疫疲労を解消し、免疫活性を高めるその能力により、メジグドミドは現在の免疫療法やその他の新規経口剤との理想的な併用薬となり得ており、現在、数多くの臨床試験が進行中です」とRichardson医師は述べた。
2017年以来、Richardson医師とダナファーバーがん研究所の同僚たちは、第1相試験を皮切りに、その後も継続して実施されている複数の臨床試験を通じて、メジグドミドの開発を主導してきた。これまでに同研究所では120人以上の患者にメジグドミドによる治療を行っており、同チームはこの治療法の第一人者と見なされている。このアプローチは、世界中の再発・難治性多発性骨髄腫患者の治療選択肢を拡大する可能性を秘めている。
- 記事担当 平 千鶴
- 監修 パーキソン理咲 (血液内科)
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- 原文掲載日 2026/05/29
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